社会保険労務士との顧問契約を変更・解約はできる?必要な手続きは?【社労士が解説】
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「今契約している社会保険労務士との契約を解除したい……」
「相談してもレスポンスも悪く、偉そうに法律の解説をするだけで会社にあった提案をしてくれない」
こういったお声をよくお聞きします。一方で、 社会保険労務士には会社・従業員の情報を多く共有しているため、切り替えや契約解除は難しいのではないか?と思っている方も多くいらっしゃいます。
今回は、社労士事務所との契約を解除できるのか、契約先を変更する場合には手続きが必要なのかについて、解説いたします。
矢野 貴大
TSUMIKI社会保険労務士事務所/代表・社会保険労務士
金融機関・社会保険労務士法人・国内大手コンサルティング会社を経て大阪で社会保険労務士事務所を開業。
25歳で社労士資格を取得した後、社会保険労務士・経営コンサルタントとして延べ200社を超える企業・経営者をサポートする。その経験を活かし「想いを組み立て、より良い社会環境を形づくる」というMISSIONに向かって日々活動中。
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結論:契約の解除も、契約先の変更も可能
実は、顧問契約の解除・変更は珍しくはありません。
士業は専門家とはいえサービス業と同じですので、自社にあったサービス提供が受けられる社労士と契約をするべきです。そのため、
- 従業員が増えてきて、どのような社内ルールを策定すべきなのか提案をしてほしい
- 労使トラブルが相次いでいるが、今の社労士はレスポンスが悪く困っている
- 助成金の申請をサポートしてほしいが、顧問社労士から助成金は対応ができないと言われている
などといった、自社のニーズに対応ができない場合は顧問解約や顧問先の変更を進めたほうが良いでしょう。
社労士事務所側でも、サービス品質を見直したり、新しいサポート商品を作るなど、企業から「選ばれる努力」をしております。 新しい社会保険労務士と契約することは全く問題ありませんのでご安心ください。
よくある顧問社労士の解約・切り替えの理由とは
当事務所でも、社会保険労務士との解約・切り替えのご相談はよくいただいております。 理由は様々ですが、根本的な課題は次の3つに分類できると考えています。
- レスポンスが遅く信用ができない
- コミニュケーション・相性が合わない
- 情報提供がない・サービス内容が合わない
上記に少しでも悩まれている方は、本記事を参考にしていただき、契約を続けるのか、それとも別の社労士と契約するのか判断材料にしていただければと思います。
レスポンスが遅く信用ができない
- 従業員の入社手続きの依頼のため連絡をしたのに、一週間後に返信があった
- 法改正について問い合わせをしたら、窓口担当からすぐに折り返します、と言われたのに一向に連絡が来ない
- 常に代表の社労士は忙しそうで、ゆっくり相談することができない
このように、業務の依頼や労務管理について相談をしたいにも関わらず、レスポンスが遅くて困っている方も多いのではないでしょうか。
社会保険労務士に相談される場合、従業員とのトラブルで一刻を争うこともあるでしょう。その矢先にレスポンスが悪ければ、信用して相談することも難しくなります。
また、レスポンスが遅い社労士事務所には
- ITツールに疎く、業務効率化ができていない
- 顧客目線ではないため、業務品質に疑問がある
といった特徴にも繋がりかねませんので、注意が必要です。
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当事務所ではChatworkやSlackといったITツールを積極的に利用しており、レスポンス速度にはこだわりを持って取り組んでおります。
コミニュケーション・相性が合わない
- 相談しても法律一辺倒の回答しか貰えない
- 上から目線で偉そうに喋ってくる
- 労働基準監督署の調査があったから同席を依頼したが、頼りない対応しかしてくれなかった
このような場合には、契約を続けるメリットは薄いのではないでしょうか。
社会保険労務士と顧問契約をする理由は、
- 人事労務の専門家としての知識や事例を共有してほしい
- 企業経営に重要な「人」の領域でアドバイスをいただきたい
- 社外人事役員のようなビジネスパートナーとして協力してほしい
こういった考えの方もいらっしゃるかと思います。
社会保険労務士との付き合いも「人と人」のコミニュケーションであり、相性です。 人となりが合わないな、と感じる場合には、業務を依頼してもスムーズに行かず、本業に支障をきたすこともあります。
社会保険労務士事務所も数多くありますので、今の社労士に違和感を覚えるのであれば変更を考えてみましょう。
情報提供がない・サービス内容が合わない
- 顧問契約を結んでいるが、法改正等の新しい情報提供がない
- こちらから問い合わせなければ何ヶ月も連絡がないのに、顧問料だけ支払っている
- 助成金の相談をしたところ「助成金は取り扱っていない」と断られた
このような不満はございませんか?
顧問契約を結んだ背景等によるため一概には言えませんが、社労士事務所によっては 労務相談は受け身でしか対応をしない場合もあります。
また、社会保険労務士もサービス業ですので、
- 大企業のアウトソーシングに強いが、零細企業の労使トラブルには対応が遅い
- 労務相談のレスポンスは早いが、助成金やコンサル業務の提案をしない
- 親身に話は聞いてくれるものの、法改正の情報発信ができていない
このように「強み・弱み」は当然ございます。
例えレスポンスが早かったり、人間関係が良好だったとしても、企業のステージやサポート内容が望んでいるものと異なる場合には、顧問契約解約・変更のきっかけにもなります。
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当事務所では情報発信の一環としてWEBサイトの更新を定期的に行っています。労務管理のノウハウをできるだけわかりやすく発信することを心掛けていますので、ぜひご一読ください。
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顧問社労士を変更する場合に必要な期間・手続きとは
顧問契約の変更をすることは一般的とはいえ、顧問契約を解約・変更する際に、期間や手続きについて気になる方も多いのではないでしょうか。
何かしらの不満はあっても、円満に契約解除はするべきですので、注意点をいくつか解説いたします。
現在の社労士との顧問契約解除に必要な期間について
解約する意思決定をした後は、基本的にはどのタイミングでも解約の申し出は可能ですが、 下記2点に注意して現在の顧問社労士と解約時期について調整されることをおすすめします。
契約書上の期間を確認する
顧問契約を依頼する際に、業務委託契約書等を双方で交わすことが基本になります。
契約書には「契約の有効期限がいつからいつまでなのか」「途中で解除するための条件(解約条項)はどのように定められているのか」等の解約要件が具体的に記載されていることがありますので、 それに基づいて解約の申し出を行いましょう。
一般的には、
- 一ヶ月前までの申し出
- 契約更新の三ヶ月前までの申し出
のようなケースが多いのではないでしょうか。
もし「解約申し出期間は過ぎているけど、顧問解約をしたい」「期間満了前だが契約を解除したい」といった場合、 契約書に基づいた契約終了にはなりません。この場合は顧問社労士との交渉・同意を得る必要があります。
依頼している業務の進行状況を確認する
契約書上は一ヶ月前までの申し出であっても、依頼している業務が完遂していない場合には注意が必要です。
例えば、毎月の給与計算の業務を依頼している中で、給与の計算期間の途中で解約をすると納品はされない可能性が高いです。そのため、依頼している業務が終了し、その費用を支払ったタイミングで顧問解約が望ましいと言えます。
新しい社労士への顧問契約引き継ぎに必要な期間について
会社の規模・業種・委託される業務量にもよりますが、
- 通常であれば1ヶ月前後
- 大企業(規模数百名から千名以上)の労働保険・社会保険手続きおよび給与計算の代行であれば2〜3ヶ月の期間
上記のような移行期間があれば問題なく引き継ぎ可能です。
顧問契約の切り替えをする場合は、予め契約変更の時期を新しく依頼する社労士と調整をすることをおすすめいたします。
引き継ぎに必要な書類・手続きについて
顧問業務の引き継ぎには、
- 従業員様情報
- 直近1年分の労働・社会保険関係書類の控え
- 直近1年分の賃金台帳
- 就業規則や賃金規程等の諸規程
- 各種労使協定
労務管理に関する書類が必要となります。
変更手続きについては、上記書類の準備の他には、経営者が行うことはほとんどありません。
- 現在の顧問社労士に解約の申し出、時期を確定する
- これから依頼する社労士と顧問業務の委託契約書を締結する
このように、基本は契約関係の手続きがメインとなりますのでご安心ください。
まとめ・顧問社労士の解約・変更について
業の事業ステージの変化や、売上・従業員数の増加に伴って社労士に期待するサービスが変わることは、何ら不思議なことではありません。
当事務所に新規のお問い合わせや、お知り合いの経営者から相談をいただく中で
「顧問社労士って変更できるの?」「今の社労士先生から返答がないので、代わりに相談に乗って欲しい」という理由は多くございます。
社会保険労務士もサービス業ですので、提供するサービスや品質、料金は異なります。顧問の切り替えは少し時間もかかり、新しく人間関係を築くのはストレスにはなりますが、安心して業務を依頼できる事務所と契約をしましょう。