「上旬・中旬・下旬」って結局いつまで?意味と使い方を徹底解説

「上旬」「中旬」「下旬」という言葉は、日常会話やビジネスシーン、さらにはお知らせや天気予報など、さまざまな場面で目にする表現です。
しかし、「具体的にいつからいつまでを指すの?」と疑問に感じたことはないでしょうか。曖昧なまま使われがちなこれらの期間表現には、実は明確な区切りがあります。
本記事では、「上旬・中旬・下旬」が指す具体的な期間や、その使い方のポイント、さらには誤解を招かないための注意点までを徹底的に解説します。正しく理解し、適切に使いこなすことで、情報の伝達力がぐっと高めていただければ幸いです。
上旬・中旬・下旬とは?意味と語源
「上旬」「中旬」「下旬」とは、ひと月をおおまかに三つに分けて表現する言葉で、特にカレンダーやお知らせ、ビジネス文書などでよく用いられ、日付を柔軟に伝える手段として用いられています。
この区分には、それぞれ具体的な日付範囲が割り当てられており、「大体このあたり」といった曖昧さを持ちながらも、一定の共通認識が形成されています。
また、これらの表現の語源をたどると、中国古来の暦や漢語表現に由来しており、長い歴史の中で日本語としても定着してきた背景があります。
上旬とは?(1日〜10日)
「上旬(じょうじゅん)」は、月の最初の10日間、すなわち「1日から10日まで」を指します。たとえば「1月上旬に会議を予定しています」と言えば、1日から10日の間を念頭に置いたスケジュールと解釈されます。
「上旬」の文章例と注意点
- 商品の発送は1月上旬を予定しております。
- 10日までを含むため、「上旬=1日から9日」と誤解されないように注意が必要です。
「上」は“はじめ”や“先”を意味し、古来より時間の流れを上中下で表す文化の中で使われてきたようです。
中旬とは?(11日〜20日)
「中旬(ちゅうじゅん)」は、その名の通り月の中ほど、具体的には「11日から20日まで」を指します。「中」は真ん中を意味し、時間の流れのちょうど中間地点に位置します。
日常的な使い方としては、次のようなものがあります。
「中旬」の文章例と注意点
- プロジェクトの進捗確認は4月中旬に行います。
- 2月のように月末が28日(または29日)の場合でも、「中旬=11日〜20日」は変わりません。
下旬とは?(21日〜月末)
「下旬(げじゅん)」は、月の最後の期間を指し、「21日からその月の最終日まで」が範囲となります。「下」は終わりや後半を意味し、締めくくりを示す表現として多く使われます。
月末の日付が月によって異なるため、下旬の終わりはその月に応じて変動します。
「中旬」の文章例と注意点
- 書籍の発売は10月下旬を予定しております。
- 月末が30日なのか31日なのかによって1日分前後する点も押さえておくと丁寧です。
上旬・中旬・下旬の各期間の定義と日数の違い
「上旬・中旬・下旬」という区切りは、一見すると均等に分かれているようでいて、実際には少し違いがあります。ここでは、それぞれの期間がどのように定義され、日数にどのような違いがあるのかを詳しく見ていきましょう。
10日間の区切りとしての「旬」の仕組み
調べたところ「旬」という漢字の由来にはいくつかの説がありますが、共通して「勹(ほう)」と「日」の二つの部分に注目されています。
「日」は太陽を表し、古代の人々にとって時間を計る重要な基準でした。一方の「勹」は、人が腕で何かを包み込むような動きを示しており、「囲む」「まとめる」といった意味合いを持ちます。
この二つを組み合わせて、「一定のまとまった日数」という意味を表す漢字が作られました。古代では日数を10日ごとに区切って考える習慣があったため、「旬」は「10日間」という意味になったようです。
このように「上旬=1〜10日」「中旬=11〜20日」と、最初の20日間はそれぞれ10日間で明確に区切られています。これが「旬」という単位が持つ基本的な仕組みです。
- 上旬:1日〜10日(10日間)
- 中旬:11日〜20日(10日間)
この二つは常に10日間と決まっており、月による違いはありません。
下旬だけ日数が変動する理由【2月や暦日数が31日ある月の例】
下旬は「21日〜月末」までを指しますが、ここでポイントとなるのが「月末の日付は月ごとに異なる」という点です。これにより、下旬だけは10日とは限らず、月によって9日間〜11日間と変動します。
暦日数によって「下旬」が指す日にちは変わる!
- 30日ある月:下旬は21日〜30日(10日間)
- 31日ある月:下旬は21日〜31日(11日間)
- 2月(通常年):下旬は21日〜28日(8日間)
- 2月(うるう年):下旬は21日〜29日(9日間)
2月は他の月に比べて日数が少ないため、下旬がとくに短くなります。通常年は28日まで、うるう年は29日までとなるため、下旬の日数もそれに応じて少なくなるのです。
一方、31日ある月(1月・3月・5月・7月・8月・10月・12月)は、下旬が11日間とやや長めになります。
日常生活で「上旬・中旬・下旬」を使い分けるポイント
「上旬・中旬・下旬」という表現は便利ではあるものの、相手に誤解を与えたり、スケジュールの認識にズレが生じたりすることもあります。ここでは、日常生活やビジネスシーンでこれらを使う際の注意点や、よくある誤解について解説します。
「○月上旬」と言われたらいつまでか
「○月上旬」と言われた場合、それが1日〜10日までを意味することを前提としつつ、具体的な日付を伴わない限り、多少の幅をもって受け取ることが一般的です。
ただし、相手が明確な日付を求めている場合や、締切・納期などの重要な場面では、あいまいなままにせず「○日頃」といった補足を加えるのが望ましいでしょう。
「~下旬までに」と伝えるときの注意
「○月下旬までにご対応ください」といった表現は、締切の印象を与えるため、慎重な使い方が求められます。下旬の終わりは月末と解釈されるため、月によっては30日か31日になります。特に2月のように28日しかない場合は、思わぬ行き違いを招くこともあります。
「下旬」を使うときの注意点と例文
- 【注意点】「月末=下旬の最終日」と明確に示したいときは、「○月31日までに」と具体的な日付で伝えるほうが確実です。
- 例:「提出は9月下旬までにお願いします」→実際の提出締切が30日かどうかは明記するのが理想です。
「月末」や「末日」との混同に注意
「下旬」と似た表現に「月末」や「末日」がありますが、これらは意味が異なります。
- 月末:月の最後の数日間を指す曖昧な表現。具体的には28日〜31日の間の感覚。
- 末日:月の最終日をピンポイントで指す、たとえば「7月末日=7月31日」。
- 下旬:21日から月末までを含む幅のある表現。
これらを混同すると、日付の認識がズレることがあります。
特に「月末までに対応」と「下旬までに対応」では、相手が受け取る印象が異なるため、文脈に応じて使い分けることが重要です。
- 例:「契約書の返送は末日までにお願いします」→明確に最終日であることを伝えている。
- 例:「発送は下旬頃になります」→ある程度の幅を持たせた表現。
相手との意思疎通をスムーズにするためにも、こうした細かな違いに気を配ることが信頼感につながるでしょう。
ビジネス場面における「上旬・中旬・下旬」の使い方
ビジネスシーンにおいて「上旬・中旬・下旬」という表現は、スケジュールの調整や期日設定に柔軟性を持たせるうえで非常に便利です。しかし、相手に誤解を与えないための配慮も欠かせません。このセクションでは、実務的な使い方とその工夫について解説します。
納期や期日の曖昧さ解消に役立つ使い方
業務の納期や締切を伝える際、「○月下旬」などの表現は、一定の幅を持たせたいときに有効です。
特にプロジェクトの進捗により日程が前後する可能性がある場合には、あえて「○月中旬頃」などとすることで、柔軟な対応が可能となります。
ただし、曖昧さがトラブルの原因となることもあるため、状況に応じて具体的な日付を明示することが重要です。
メールや文書で「上旬・中旬・下旬」を用いる例文紹介
以下に、ビジネスメールや報告書などでよく使われる例文をいくつかご紹介します。
納期の提示
- 製品の納品は9月上旬(1日〜10日頃)を予定しております。
- ご依頼の件は、10月中旬を目処に対応させていただきます。
- 書類一式は11月下旬(21日〜末日)までにお届けいたします。
スケジュール調整
- お打ち合わせは8月中旬頃に調整させていただければと存じます。
- ご都合を伺いながら、9月下旬(21日以降)での実施を検討しております。
- 次回ミーティングは10月上旬を目安に日程をご相談させてください。
書類提出の依頼
- 書類のご提出は、8月上旬(1日〜10日)までにお願いいたします。
- お手数ですが、必要書類を9月中旬頃までにご送付いただけますと幸いです。
- ご対応可能であれば、10月下旬(21日以降)までにご提出をお願い申し上げます。
納品日の再確認
- ご確認ですが、納品日は8月上旬(1日〜10日)でお間違いないでしょうか。
- 念のため、9月中旬頃の納品予定に変更がないかご確認させていただけますと幸いです。
- 納品日について、10月下旬(21日〜末日)までにご手配いただけるかご確認をお願い申し上げます。
相手によって誤解を避ける工夫(具体的日付との併記など)
相手によって「上旬=何日まで」といった認識にズレがある場合もあるため、以下のような工夫を取り入れることが推奨いたします。
- 具体的日付を併記する
- 例:「○月上旬(1日〜10日)に発送予定です」
- 「頃」「目処」「前後」などの緩和語を活用
- 例:「○月中旬頃の納品を予定しております」
- 相手が誤解しないよう補足説明を入れる
- 例:「下旬(21日〜末日)までにご確認をお願いいたします」
とくにメールや契約書などの文書では、「曖昧さを残さない」ことが信頼関係の維持に直結します。柔軟さと明確さを両立するためにも、こうした配慮が欠かせません。
「上旬・中旬・下旬」に関する疑問をFAQ形式で紹介
ここでは、「上旬・中旬・下旬」に関して多くの人が疑問に思う点をQ&A形式でまとめました。曖昧になりやすい表現や、似た言葉との違いについてもわかりやすく解説します。
まとめ:上旬・中旬・下旬を正しく使い分けよう
「上旬・中旬・下旬」は、月を三分割して表現する便利な日本語の時間区分です。それぞれの定義は以下の通り明確に決まっています。
上旬・中旬・下旬の定義まとめ
- 上旬:1日〜10日
- 中旬:11日〜20日
- 下旬:21日〜月末(変動あり)
日常生活やビジネスの場面では、これらの表現を適切に使うことで、相手に柔軟かつ分かりやすくスケジュールを伝えることができます。ただし、「曖昧さ」が思わぬ誤解を招くこともあるため、具体的な日付との併記や補足表現が重要です。
また、「末日」や「月末」、「初旬」といった似た表現との違いを理解することで、より正確で丁寧なやり取りが可能になるでしょう。



