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「見合わせる」は中止と違う?正しい意味と使い方をわかりやすく紹介

本記事ではこのようなお悩みを解決いたします
  • 「見合わせる」と「中止」の違いがよくわからない
  • ビジネスで適切に使える表現を知りたい
  • ニュアンスの違いを理解して、誤解のない文章を書きたい

日常会話やビジネスシーンでよく使われる「見合わせる」という言葉。たとえば「イベントの開催を見合わせる」「出発を見合わせる」など、さまざまな場面で耳にする表現ですが、「中止」との違いが曖昧なまま使っている人も多いのではないでしょうか? 

本記事では、「見合わせる」の正しい意味と使い方をわかりやすく解説し、「中止」との違いや注意点についても詳しくご紹介します。言葉のニュアンスを正しく理解することで、より的確なコミュニケーションにしていただければ幸いです。

このページの概要

「見合わせる」の基本的な意味

「見合わせる」という言葉は、一見単純なようでいて、実は複数の意味を持つ日本語です。現代において最も一般的に使われる意味から、歴史的・文語的なニュアンスまで、場面によってその用法は異なります。以下では、「見合わせる」が持つ代表的な3つの意味について詳しく解説します。

事情を考慮して一時的に控える意味

現代日本語で最もよく使われる「見合わせる」の意味は、「状況を見て一時的に控える」というものです。たとえば、天候や社会情勢などの外的要因を理由に、予定していた行動を一旦保留する際に用いられます。

  • 台風接近のため、運行を見合わせています。
  • 感染症の拡大を受けて、イベント開催を見合わせることにした。

この場合、「中止」とは異なり、後日改めて実施される可能性があるのがポイントです。「一旦様子を見る」という柔らかいニュアンスを含んでおり、ビジネス文書や報道などでもよく使われます。

顔を見交わす・比べる昔の意味

「見合わせる」にはもともと、「お互いに顔を見交わす」「物事を比較する」といった意味もあります。これはやや古風な表現で、現代では日常会話であまり使われることはありませんが、文学作品などで目にすることがあります。

  • 二人は何も言わずに顔を見合わせた。
  • 各案を見合わせて、最適なものを選ぶ。

このように、単に「控える」だけでなく、「互いに見る」「見比べる」という視覚的な動作が含まれる点が特徴です。

好機を見計らうという意味

さらに、「見合わせる」には「最適なタイミングを探る」といった意味合いも含まれることがあります。この場合、「すぐに行動を起こさず、状況を見ながら判断する」といったニュアンスです。

  • 発言のタイミングを見合わせていた。
  • 投資の開始時期を見合わせている。

この用法はやや抽象的ですが、慎重さや計画性を表す際に便利な表現として使われます。

以上のように、「見合わせる」は単なる「中止」や「延期」とは異なり、文脈に応じて柔軟に意味を変える言葉です。そのニュアンスを正確に理解することで、より的確で丁寧な日本語表現が可能になるでしょう。

「見合わせる」と「中止」「見送る」との違い

「見合わせる」と似た表現に「中止」や「見送る」がありますが、それぞれ微妙にニュアンスが異なります。ビジネスメールや公式発表の場面では、この違いを正確に理解して使い分けることが重要です。ここではそれぞれの言葉の違いを具体的に比較して解説します。

中止との違い:再開の可能性があるかどうか

「中止」は、予定されていた物事を完全に取りやめることを意味します。再開の見込みはなく、「終了」のニュアンスが強い言葉です。

一方で「見合わせる」は、あくまで一時的に控える意味であり、状況が好転すれば再開・実施される可能性があります。

見合わせると中止の比較
  • イベントを中止する → もう開催されない
  • イベントを見合わせる → 状況を見て後日開催する可能性あり

このように、「中止」は明確な決定、「見合わせる」は柔軟な対応を示す際に使われます。

見送るとの違い:遠回しの断りのニュアンス

「見送る」は、「実施しないことを決定したが、明言は避けてやわらかく伝える」といったニュアンスが含まれる場合があります。とくにビジネスの場では、「断念」「採用しない」といった意味合いで使われることが多いです。

一方の「見合わせる」は、あくまで状況に応じた一時的な保留であり、否定的な意味合いは比較的薄いのが特徴です。

見合わせると見送るの比較
  • プロジェクトを見送る → 実施しないという消極的決定
  • プロジェクトを見合わせる → 今は保留、後日実行の可能性あり

この違いを理解することで、相手に与える印象や期待値を適切に調整できます。

類義語とのニュアンス比較(延期・差し控える・先送り)

「見合わせる」と似た意味を持つ言葉として、「延期」「差し控える」「先送り」などもありますが、それぞれ少しずつ異なるニュアンスを持っています。

表現意味・ニュアンス
見合わせる状況を見て一時的に控える(再開の可能性あり)
延期具体的に日程を後にずらす
差し控える控えめにする、慎重に行動する(自主的・敬意を含む)
先送り問題や決定を後回しにする(やや否定的な印象)

たとえば、公式なイベントの開催を一時的に保留する場合は「見合わせる」、新しい日程が決まっている場合は「延期」、政治的判断を意図的に遅らせる場合は「先送り」など、文脈によって最適な語を選ぶ必要があります。

言葉の微妙な違いを理解し、正しく使い分けることで、伝えたい意図をより正確に表現できるようになるでしょう。

「見合わせる」の使い方と例文集

「見合わせる」は日常生活からビジネス、メディア表現に至るまで幅広い場面で使われています。それぞれのシーンにおける使い方と、実際の例文を紹介しながら、そのニュアンスを具体的に確認していきましょう。

日常会話での使い方と例文

日常のやり取りでも「見合わせる」は、何かを一時的に控える意図を伝えるのに便利な表現です。家族や友人とのやり取りでも柔らかく意思を伝えることができます。

  • 今日は雨が強いから、外出は見合わせようか。
  • 熱があるから、旅行は見合わせることにしたよ。
  • 体調が万全じゃないので、今回は参加を見合わせます。

このように、「無理に行わない」「一旦控える」という配慮や判断を穏やかに伝えられる点が魅力です。

ビジネスシーンでの使い方と例文

ビジネス文書や会議で「見合わせる」を使うことで、決定事項を丁寧に、かつ柔軟な印象で伝えることができます。中止と断定するのではなく、慎重な判断を強調する表現として重宝されます。

  • 新商品の発売は、現状を踏まえて見合わせる方向です。
  • 今回の提携については、社内で再検討するため見合わせさせていただきます。
  • 市場動向を注視しつつ、プロジェクトの進行は一旦見合わせます。

言い回しのトーンが柔らかいため、相手に与える印象も穏やかになり、ビジネスマナーとしても適切です。

メディア・交通機関アナウンスでの使い方

ニュースやアナウンスで使われる「見合わせる」は、公共機関の公式な対応や一時的措置を伝える際に使われます。特に鉄道や航空など、運行状況の報告で頻繁に耳にする表現です。

  • 台風の影響により、一部の列車で運転を見合わせております。
  • 地震の影響で、現在、全線で運行を見合わせています。
  • 感染拡大の状況を受け、イベントは当面の間開催を見合わせます。

このように、社会全体への影響がある内容でも、「見合わせる」を使うことで事実を冷静かつ中立的に伝えることができます。

「見合わせる」を使う際の注意点

便利で柔らかな表現である「見合わせる」ですが、その曖昧さゆえに使い方には注意が必要です。相手に正しく意図を伝えるためには、文脈や言い回しに工夫が求められます。以下に、よくある注意点とその対策を解説します。

遠回しの断りとしてのニュアンスを理解

「見合わせる」はあくまで“保留”や“一時中断”を意味する言葉ですが、受け手によっては「やんわりと断られた」と感じてしまうこともあります。特に依頼や提案に対する返答として使う場合には、「断り」のニュアンスを読み取られやすい点に注意が必要です。

「ご提案いただいた件については、今回は見合わせます。」
→ このような表現は、実質的に「断り」として受け止められることが多いです。

このような場合、曖昧なまま終わらせず、理由や背景を補足することで印象を和らげることができます。

相手に誤解を与えない表現の工夫

「見合わせる」は便利な表現ですが、状況説明が不十分だと、「いつ再開するのか」「本当に再開の意志があるのか」といった疑問を相手に抱かせてしまいます。誤解を避けるためには、次のような情報を添えると良いでしょう。

  • 見合わせる理由
  • 今後の見通しや判断時期
  • 代替案や今できる対応

例えば、下記のように背景を明示することで、相手に安心感と信頼を与えることができます。

  • 現段階では情報が不足しているため、判断を見合わせています。来週の会議で再度検討いたします。
  • 社内調整が必要なため、一旦見合わせておりますが、来月中には結論を出す予定です。

言い換え表現を添えるとより丁寧に伝わる

「見合わせる」は万能な表現ですが、相手や場面によっては、より具体的・丁寧な言い換えを用いると伝わりやすくなります。以下に、よく使われる言い換えの例を紹介します。

表現ニュアンス・使いどころ
延期する日程変更が決定している場合に明確に伝える
控える慎重さや配慮を強調する丁寧な表現
一旦保留にする現時点で決定を下さない意図を示す
当面見送る実施しない方針をやわらかく伝える

例えば、

  • 現時点では判断が難しいため、一旦保留とさせていただきます。
  • 社内事情により当面は見送らせていただきますが、引き続き検討を進めてまいります。

こうした表現を組み合わせることで、「見合わせる」だけでは伝えきれない意図を丁寧に補足することができるでしょう。

「見合わせる」に関するよくある疑問をQ&A形式でご紹介

「見合わせる」という言葉は一見便利に思えますが、使い方や意味に対して疑問を持つ人も少なくありません。ここでは、特によくある3つの質問にQ&A形式でご紹介いたします。

「見合わせる」と「一旦保留」の違いは?

どちらも「今すぐには決定・実行しない」という意味合いですが、ニュアンスに微妙な違いがあります。

「見合わせる」は、状況や条件を考慮して一時的に実施を控える意味が強く、外的要因への対応が含まれることが多いです。

一方「一旦保留」は、何らかの判断を後回しにすることで、判断材料が不足している、検討時間が必要といった内的要因が強調されます。

  • 悪天候のため、イベントを見合わせる
  • 議論がまとまらないため、提案を一旦保留する。

つまり、「見合わせる」は外的な事情を反映した表現であり、「一旦保留」は意思決定プロセスを強調する言い方と言えるでしょう。

「運転を見合わせる」って結局止まっている?

「運転を見合わせる」とは、現時点では列車やバスなどの運行を一時的に停止していることを意味します。

ただし、「中止」ではないため、状況が改善すれば再開の可能性があるという前提です。これは交通機関などでよく使われる表現で、再開の時期が不明な場合でも柔らかく伝えられるため、多用されています。

  • 強風の影響で一部区間の運転を見合わせています。(→止まっている)
  • 点検作業のため、現在運行を見合わせております。(→再開見込みあり)

「止まっているが、完全な終了ではない」ことを示す表現として理解すると良いでしょう。

「見合わせる」はどの程度の中止感?

「見合わせる」は「中止」とは異なり、再開の可能性を残した一時的な停止を意味します。そのため、完全な中止感はなく、柔軟な判断を前提とした措置です。

とはいえ、使い方によっては「事実上の中止」として理解されることもあるため、文脈や補足説明が重要になります。

  • 天候不良のため撮影を見合わせます。(→後日撮影予定)
  • 業績悪化により新規出店を見合わせます。(→場合によっては中止に近い意味合い)

このように、「見合わせる」は「状況によってはやらない可能性もある」ことを含んだ表現であり、相手に意図が伝わるよう補足するのが望ましいでしょう。

まとめ:適切な使い方と印象を知っておこう

「見合わせる」という言葉は、その柔らかい響きと汎用性から、日常会話からビジネス、報道まで幅広く使われています。しかし、その曖昧さゆえに誤解を招くこともあり、正しい意味や使い方を理解しておくことが非常に重要です。

ポイントとして押さえておきたいのは以下の通りです。

  • 「見合わせる」は一時的な保留・中断を意味し、再開の可能性を含む表現。
  • 「中止」「見送る」「延期」などとの違いを理解して、文脈に応じた使い分けが必要。
  • 相手に誤解を与えないよう、理由や見通しを補足する表現を添えるのが望ましい。
  • ビジネスや公共の場では、丁寧な言い換えや説明を加えることで信頼性が高まる。

言葉はただの伝達手段ではなく、相手との関係性や信頼感にも大きく影響します。「見合わせる」という表現の意味と印象を正確に理解し、状況に応じた使い方ができるようになることで、より円滑で丁寧なコミュニケーションが可能となるでしょう。

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