祝日=祭日は間違い?言葉の違いと由来をわかりやすく解説!【2025年祝日一覧付き】

私たちが日々の生活でよく耳にする「祝日」と「祭日」。
どちらも学校や仕事が休みになる日というイメージがありますが、実はこの2つの言葉には明確な違いがあるのをご存じでしょうか?
本記事では、「祝日」と「祭日」の定義や歴史的な背景、それぞれの由来をわかりやすく解説します。なぜ「祭日」という言葉が最近あまり使われなくなったのか、その理由にも迫りながら、言葉の正しい使い分け方を一緒に学んでいきましょう。
祭日と祝日の基本的な違いって?
「祝日」と「祭日」という言葉は一見同じように使われがちですが、実は意味も成り立ちも異なります。この章では、それぞれの言葉の定義と役割の違いについて明らかにしていきます。
祝日とは何を指す?
「祝日」とは、日本において法律で定められた国民の休日のことを指します。正式には「国民の祝日」と呼ばれ、国民全体で祝い、感謝し、記念することを目的としています。
祝日の特徴
- 「国民の祝日に関する法律」(祝日法)によって定義されている
- 現在は年間16日間(※変動あり)
- 学校や多くの会社が休みとなる公的な休日
たとえば「建国記念の日」や「勤労感謝の日」などがこれに該当します。これらの日は、現代の日本社会における文化的・歴史的な意味合いに基づいて制定されています。
現在、日本の祝日は一年間の内16日設定されています。
2025年(令和7年)の祝日一覧
| 名称 | 日付 | 備考 |
|---|---|---|
| 元日 | 1月1日 | |
| 成人の日 | 1月13日 | |
| 建国記念の日 | 2月11日 | |
| 天皇誕生日 | 2月23日 | |
| 休日 | 2月24日 | 祝日法第3条第2項による休日 |
| 春分の日 | 3月20日 | |
| 昭和の日 | 4月29日 | |
| 憲法記念日 | 5月3日 | |
| みどりの日 | 5月4日 | |
| こどもの日 | 5月5日 | |
| 休日 | 5月6日 | 祝日法第3条第2項による休日 |
| 海の日 | 7月21日 | |
| 山の日 | 8月11日 | |
| 敬老の日 | 9月15日 | |
| 秋分の日 | 9月23日 | |
| スポーツの日 | 10月13日 | |
| 文化の日 | 11月3日 | |
| 勤労感謝の日 | 11月23日 | |
| 休日 | 11月24日 | 祝日法第3条第2項による休日 |
2026年(令和8年)の祝日一覧
| 名称 | 日付 | 備考 |
|---|---|---|
| 元日 | 1月1日 | |
| 成人の日 | 1月12日 | |
| 建国記念の日 | 2月11日 | |
| 天皇誕生日 | 2月23日 | |
| 春分の日 | 3月20日 | |
| 昭和の日 | 4月29日 | |
| 憲法記念日 | 5月3日 | |
| みどりの日 | 5月4日 | |
| こどもの日 | 5月5日 | |
| 休日 | 5月6日 | 祝日法第3条第2項による休日 |
| 海の日 | 7月20日 | |
| 山の日 | 8月11日 | |
| 敬老の日 | 9月21日 | |
| 休日 | 9月22日 | 祝日法第3条第3項による休日 |
| 秋分の日 | 9月23日 | |
| スポーツの日 | 10月12日 | |
| 文化の日 | 11月3日 | |
| 勤労感謝の日 | 11月23日 |
祭日とは何か?
一方で「祭日」とは、もともと皇室の祭祀(さいし)に関連する宗教的・儀式的な意味を持つ日でした。戦前の日本において、天皇や皇室が行う重要な神事の日を「祭日」として位置づけ、国家的な休みとしていたのです。
祭日の特徴
- 皇室の祭祀に基づく伝統的な儀礼日
- 明治時代には「祝祭日」として区別されていた
- 戦後、法的な休日としての「祭日」は廃止
具体的には、「春季皇霊祭(春分の日)」や「新嘗祭(にいなめさい)」などがこれに該当していました。これらは戦後、宗教色を排した形で「春分の日」「勤労感謝の日」といった祝日に改められました。
このように、「祝日」は法律上の休日、「祭日」は伝統的な神事に基づく日という明確な違いがあるのです。
【歴史背景】祝日と祭日の取り扱いはいつから変わった?
現在では「祝日」という言葉が一般的に使われていますが、かつては「祭日」も法的な休日として存在していました。この章では、「祝日」と「祭日」がどのような歴史的変遷をたどって現在の形に至ったのかを解説します。
明治〜昭和における「祭日」と「祝日」
明治時代の日本政府は、近代国家の構築の一環として、国民統合のための象徴的な休日制度を整備しました。1873年(明治6年)、太政官布告により「祝日」と「祭日」が法的に制定され、それぞれが国家的な休日とされました。
この時代における祝日と祭日の違いについて
- 祝日:天皇誕生日や即位記念日など、国家的な慶事に基づく日
- 祭日:皇室の祖先や神々に対する祭祀を行う日(例:春季皇霊祭、秋季皇霊祭)
このように、祝日は国家の慶びごとを祝う日、祭日は宗教的・儀式的な意味合いを持つ日として、明確に区別されていたのです。
戦後の祝日法制定と祭日の廃止(1947〜1948年)
第二次世界大戦後、日本はGHQ(連合国軍最高司令官総司令部)の占領下に入り、日本国憲法が新しく制定されるタイミングで、祝祭日の取り扱いについても見直しが実施。これにより、「祭日」は廃止されることになります。
祝日法制定の影響
- 祭日はすべて廃止
- 宗教的儀式に基づかない「祝日」が中心に
- 一部の祭日由来の行事は、意味を変更して祝日として継承
例として、「春分の日」はもともと「春季皇霊祭」、「勤労感謝の日」は「新嘗祭」としての意味を持っていましたが、戦後はその宗教的意味合いを排除し、現代的な形で国民の祝日に改められました。
このようにして、「祝日」は法的な公休日として残され、「祭日」は歴史の中で姿を消したのです。
現在「祭日」は存在する?
「祭日」という言葉は現在の日常会話ではあまり聞かれなくなりましたが、完全に消えてしまったわけではありません。実際にはどのような扱いになっているのでしょうか?この章では、現在の法律と社会における「祭日」の位置づけを解説します。
祝日だけが法律上の休日である理由
現在、日本で法的に定められている休日は「国民の祝日」のみです。
これは1948年に施行された「国民の祝日に関する法律(祝日法)」によって明確に規定されています。この法律には「祭日」という用語は一切登場しません。
【国民の祝日に関する法律】
第一条自由と平和を求めてやまない日本国民は、美しい風習を育てつつ、よりよき社会、より豊かな生活を築きあげるために、ここに国民こぞつて祝い、感謝し、又は記念する日を定め、これを「国民の祝日」と名づける。
e-Gov:国民の祝日に関する法律(昭和二十三年法律第百七十八号)より引用
法律上、祭日という表現が使われていない背景としては、調べたところ
- 国家と宗教を分離するという戦後憲法の原則(政教分離)
- 宗教的色彩を含む「祭日」は公的な休日に適さないと判断
- 近代国家として宗教中立性を保つための方針
上記により、戦後以降は「祝日」が唯一の公的休日となり、「祭日」は法制度上は完全に廃止された形になったと考えられます。
祭日由来の祝日とその例(建国記念の日・春分・昭和の日・文化の日・勤労感謝の日)
現在の祝日の中には、かつて「祭日」として祝われていた日が由来となっているものも少なくありません。これらは宗教的要素を薄め、現代的・文化的な意義を持たせた形で継承されています。
祭日由来の主な祝日とその変遷
- 建国記念の日(2月11日):もとは「紀元節」。神武天皇即位を祝う祭日であった。
- 春分の日(3月20日前後):かつては「春季皇霊祭」。皇室の祖先をまつる祭祀の日。
- 昭和の日(4月29日):昭和天皇誕生日→みどりの日→昭和の日と変遷。
- 文化の日(11月3日):明治天皇の誕生日(明治節)に由来。
- 勤労感謝の日(11月23日):元は新嘗祭(にいなめさい)、五穀豊穣を感謝する重要な神事。
このように、現在の祝日は「祭日」の精神や意味合いを受け継ぎながらも、現代社会にふさわしい形に再構築されています。表現こそ変わったものの、古くからの伝統や文化は今なお息づいていると言えるでしょう。
「祝日」と「祭日」 なぜ混同されやすい?
「祝日」と「祭日」は本来異なる意味を持つ言葉ですが、今なお多くの人が混同して使っているのが現状です。では、なぜこのような誤解が生じているのでしょうか?この章では、その背景にある言葉の使われ方や社会的な要因を探っていきます。
「祝祭日」という言葉の定着
混同の一因として挙げられるのが、「祝祭日(しゅくさいじつ)」という言葉の存在です。これは戦前から使われていた言葉で、「祝日」と「祭日」をまとめて指すための表現として広まりました。
そのため、
- 法律文書や新聞などで広く使われた歴史がある
- 両者を一括りにすることで、意味の違いが曖昧に
- 戦後も慣習的に使われ続けたことで誤解が定着
現在では「祝祭日」という言葉は法律上の正式用語ではありませんが、商業施設の案内などでも使われており、人々の中で「祝日=祭日=休みの日」という認識が根強く残っていると考えられます。
日常会話でのあいまいな使い方
日常生活の中でも、「祭日だからお休みだね」といった表現を耳にすることがあります。こうした使い方も、両者の違いを曖昧にしてしまう一因となっています。
- 正確な定義を意識せず使われている
- 年配層では「祭日」という言葉への親しみが残っている
- メディアでも厳密な区別がされないケースがある
とくに高齢者層には、戦前から使われていた「祭日」の感覚が残っているため、無意識のうちに現代の「祝日」と同義で使ってしまう傾向があります。また、テレビや雑誌でも両者の違いに触れずに紹介することが多く、混同を助長している側面もあるでしょう。
このように、「祝日」と「祭日」の違いが社会的・言語的な慣習によって見えにくくなっていることが、混同の背景にあるのです。
まとめ:正しく使い分けるには?
「祝日」と「祭日」は似た響きを持ちながら、実は成り立ちも意味も異なる言葉です。正しく使い分けることは、単に言葉遣いの問題だけでなく、日本の歴史や文化を理解する上でも大切な視点となります。
日常では「祝日」が正しい表現
現在の日本において、法的に認められている休日は「国民の祝日」のみです。そのため、ビジネス文書や公共のお知らせ、日常会話でも「祝日」が正確な表現となります。
- 「祝日」は法律に基づく公的な休日
- 「祭日」は制度上すでに廃止されている
- 現代では「祝祭日」よりも「祝日」で統一するのが望ましい
正しい知識をもって言葉を使うことで、誤解や混乱を防ぎ、より洗練されたコミュニケーションが可能になるでしょう。
祭日の意味を知ることで日本の文化への理解が深まる
「祭日」は制度としては廃止されましたが、その背景にある神道の祭祀や皇室の儀礼は、日本の伝統文化に深く根ざしています。これらの歴史や意味を知ることは、日本の成り立ちや精神性を知る手がかりにもなります。
- 古来の「祭日」は皇室行事と密接に結びついていた
- 現代の祝日にもその名残がある
- 歴史的背景を知ることで祝日に込められた意味がより理解できる
日々の生活の中で何気なく迎える祝日も、そのルーツや背景を知ることで、より豊かに、意味深く過ごせるようになるかもしれません。正しい知識と共に、日本の文化や歴史にも目を向けてみましょう。



