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タイムカード押し忘れ問題!経営リスクや押し忘れ対策を社労士が解説

タイムカード 押し忘れ 放置
本記事ではこのようなお悩みを解決いたします
  • 勤怠管理のためにタイムカードを導入しているが、従業員が押し忘れることがあり困っている。会社の規定で処罰できるのか気になる
  • タイムカードの押し忘れがたまに見られるが、放置するとどういったリスクがあるのか知りたい
  • タイムカードで労務管理をする際の注意点を教えてほしい

タイムカードは、従業員の勤務時間を正確に記録し、労働時間の管理と給与計算の正確性を保証するツールです。

しかしながらタイムカードに「入力漏れ」「記載内容が間違っている」といったことがどのような企業でも発生しており、特に「押し忘れ」については正確な打刻時間が分からなくなるため注意しなければなりません。

タイムカードの押し忘れ問題は、従業員からすると単なる小さなミスでしかありませんが、経営者・人事労務担当からするときちんとタイムカードで打刻をしてほしいですよね。

タイムカードの押し忘れがもたらす経営リスクと、それを回避するための具体的な対策について今回は解説をいたします。

執筆者プロフィール

矢野 貴大

TSUMIKI社会保険労務士事務所/代表・社会保険労務士

金融機関・社会保険労務士法人・国内大手コンサルティング会社を経て大阪で社会保険労務士事務所を開業。

25歳で社労士資格を取得した後、社会保険労務士・経営コンサルタントとして延べ200社を超える企業・経営者をサポートする。その経験を活かし「想いを組み立て、より良い社会環境を形づくる」というMISSIONに向かって日々活動中。

このページの概要

タイムカードの押し忘れ、放置は経営リスクになりえる

タイムカードの正確な管理は、経営者や人事労務担当者にとって、日常業務の一部であると同時に、経営上のリスクを回避するための重要な手段です。

従業員のタイムカードの押し忘れが放置されると、その影響は労務管理の問題を超え、企業のコンプライアンス違反として重大な結果を招く可能性があります。

タイムカードの押し忘れの影響:労務管理

タイムカードの押し忘れは、まず最も直接的に労務管理に影響を与えます

従業員の労働時間が正確に計上されないことで、残業時間の計算ミスや休憩時間の不足など、様々な問題が生じる可能性があります。それだけでなく、従業員が日々どの程度働いているのか可視化することができません

同じオフィス・フロアで働いており、経営者や上長から見える範囲で働いているのであれば別ですが、別の就業場所にいるのであれば労働時間を把握する意味合いでもタイムカードへの打刻は必要不可欠です。

労働時間が把握できない状態が続くと、従業員の過労や健康被害が発生するリスクが高まった結果、労務管理ができていない企業と信頼性を失うことにつながります。

タイムカードの押し忘れの影響:コンプライアンス違反

更に重要なのは、タイムカードの押し忘れが放置されることで生じるコンプライアンス違反のリスクです。

労働基準法に基づき、企業は従業員の労働時間を正確に記録・管理する責務があります。タイムカードの押し忘れによる不正確な記録は、これに反する形となり、

  • 長時間労働になっているのではないか?
  • 割増(残業)手当が正確に支払われていないのではないか?

こういった観点から労働基準監督署の指導を受けるリスクがあります。

また、近年ではSNS社会になっているため、会社としてタイムカードの押し忘れ対応ができていない場合「ブラック企業」と名指しされる可能性もあります。コンプライアンス違反の企業として広まってしまうと、社会的信用を損ない、ビジネスにも悪影響が考えられるのです。

社会保険労務士 矢野貴大

経営者や人事労務担当者の方は、タイムカードの管理体制を見直し、従業員への教育や通知システムの導入など、押し忘れを予防するための取り組みを積極的に進めることが求められます。打刻忘れを放置してしまうと、その結果は経営全体に深刻な影響を及ぼす可能性がありますので、注意が必要です。

タイムカードの押し忘れを放置しないための対策とは?

タイムカードの押し忘れは、従業員にとっても経営者にとっても悩みの種です。特に、頻繁に発生する場合、これに対する適切な対応や予防策が必要です。

  • 押し忘れを未然に防止する方法
  • 押し忘れが発生した場合の対応策

この2つの観点から会社が取れるアクションを確認してみましょう。

押し忘れを未然に防止する方法

タイムカードの押し忘れは、未然に防ぐことが理想です。そのためには従業員の意識向上と機械的な対応でヒューマンエラーを抑制する方法が考えられます。

タイムカードの押し忘れを未然に防止する4つの方法
  1. 教育と啓発
    • 従業員のオリエンテーションや研修の際に、タイムカードの重要性と正確な打刻方法を教える。
    • 前日の出退勤で打刻が漏れてしまった場合の対応や連絡先の周知も重要。
  2. リマインド付きシステムの導入
    • 出退勤の時間帯に、タイムカードの打刻をリマインドするシステムを導入。
    • 紙のタイムカードでは限界があるため、クラウド化も検討。
  3. 打刻場所の見直し
    • 従業員が通りやすい場所にタイムカードの打刻機を配置する。
  4. 打刻忘れのフィードバック
    • 毎週末・月中などに打刻の確認を促すメールや通知を送る。
    • 定期的に打刻状況を確認させることで、日々の意識向上を図る・

押し忘れが発生した場合の対応策

タイムカードの押し忘れが発生してしまうと、速やかに対応することが求められます。長期間放置してしまうと、実際に働いた従業員ですら「何時に出勤(退勤)したのか、曖昧です」と正確な時間が分からなくなります。

そのため次の4つのポイントを意識しながら速やかな対応を心がけましょう。

タイムカードの押し忘れが発生した場合の4つの対応策
  1. 事実確認
    • 押し忘れが発生した事実とその理由を従業員から確認する。
  2. 正確な労働時間の記録
    • 従業員との確認を基に、労働時間を修正し、正確に記録する。
  3. 再発防止策の検討
    • 押し忘れが繰り返される場合は、原因を特定し、再発防止策を検討する。
  4. 社内ルールの見直し
    • 押し忘れに対する報告ルールなど、社内での対応フローを明確にし、従業員に周知する。

タイムカードの押し忘れを発生させないポイントは?

タイムカードの押し忘れは、小さなミスかもしれませんが、それが経営のリスクにつながる可能性も考慮しなければなりません。日々の業務の中で、正確な労務管理を実現するために、経営者や人事労務担当者が率先して取り組むことが重要です。

タイムカードの押し忘れを放置しないためのポイントを知り、より会社にあった効果的な対策を取りましょう。

タイムカードの押し忘れを「問題」として認識する

まずはタイムカードに勤務時間が記載されていない状況について、単なる押し忘れではなく「問題」として捉えることが大切です。そのため「従業員への啓発」「会社としての問題認識」の観点で捉えましょう。

従業員への啓発

タイムカードの正確な打刻の重要性を従業員に定期的に伝えることで、意識の向上を図りましょう。従業員からすると打刻時間が適切でない場合、給与計算に悪影響があることを知ると「タイムカードは正確に記録しなければいけない」と感じていただきやすいです。

また、新しい従業員を採用した場合には、自社のタイムカードがどのようなシステムなのか、使い方・打刻方法・打刻できる場所などをしっかりと伝えておきましょう。

会社としての問題認識

タイムカードの押し忘れは、労務管理やコンプライアンス上のリスクを生む可能性があるため、経営層や人事労務担当者はこれを真摯に受け止める必要があります。

そのため押し忘れが多い場合は、タイムカード自体の見直しや打刻している環境(打刻機の置き場所)に問題がないのか精査しましょう。管理者・上司が率先して打刻することも大切です。

タイムカードの押し忘れを放置しないための体制を整える

タイムカードの正確な管理は、従業員の労働環境の向上だけでなく、企業の信頼性や持続的な成長の基盤となるため、適切な対策と実行が求められます。

タイムカードの押し忘れを放置しない体制づくりの一環では主に「デジタルツールを徹底的に活用する」や「勤怠の中締めなどで定期的に確認を実施する」方法が考えられます。

デジタルツールを徹底的に活用する

タイムカードを打刻しなかった従業員への自動通知やリマインダーが設定できる打刻機の導入は検討してください。

また、打刻方法についてもスマートフォンやPCでの行えるものもあり、物理的なカード以外も可能にするなど、打刻がしやすい環境づくりを行いましょう。

勤怠の中締めなどで定期的に確認を実施する

定期的にタイムカードの打刻状況をチェックし、押し忘れが発生していないか確認するルーチンをつくることが大切です。

企業によっては、勤怠締めのタイミングを2つ設けることで、定期的に打刻時間に漏れがないのか、正確に記録されているのか確認しているケースがあります。

従業員・管理者ともに勤怠確認を行うタイミングを増やすことも一つの手段です。

社会保険労務士 矢野貴大

近年、紙のタイムカードでは労働時間の集計が煩雑なことから、クラウドシステムと連携した打刻機の導入が進んでいます。クラウドシステムであれば打刻忘れがあった場合のリマインドができたり、メリットもありますのでぜひ検討ください。

タイムカードの押し忘れを放置しないために

タイムカードの押し忘れは、単なる日常的な過ちと捉えられがちですが、労務トラブルの種になる可能性が大いにあります。そのため、経営者や人事労務担当者は、押し忘れを放置することのリスクを改めて把握し、適切な対策を講じることが求められます。

現時点でタイムカードの打刻忘れが散見している場合は、

  1. 状況の再確認:タイムカードの押し忘れがどの程度発生しているのか整理し、問題になっていると受け止めましょう。
  2. システムやツールの検討:紙のタイムカードのみ利用している場合、労務リスクを減らすの観点から不十分な場合があります。打刻忘れの自動通知システムや、クラウドツール等を導入し機械的に対応できる環境づくりを進めましょう。
  3. 従業員とのコミュニケーション:定期的な教育や啓発活動を通じて、従業員の意識自体を高めることが求められます。

こういったアクションが重要になります。

しかし、どのように対策を実施すれば良いのか、疑問や不安を持っている方々もおられると思います。TSUMIKI社会保険労務士事務所では労務管理を適切に行うためのアドバイスやフォローも行っております。

タイムカードの管理やその他の労務管理に関する課題に直面している方は、お気軽に弊社までご相談ください。

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