勤続年数とは?計算方法からExcel・スプレッドシートで入社何年目か分かる方法まで解説

社会保険や退職金、昇給・昇格の基準など、働く上でさまざまな場面で重要となるのが「勤続年数」です。
勤続年数を正しく把握することで、自分が会社でどれだけキャリアを積んできたのかを客観的に確認できるだけでなく、将来的なキャリア設計や福利厚生の活用にも役立ちます。
本記事では、勤続年数の基本的な考え方から具体的な計算方法、さらにExcelやGoogleスプレッドシートを使って「入社何年目か」を簡単に確認できる方法まで、実務に直結する形でわかりやすく解説します。ぜひご一読ください。
勤続年数とは?基本の定義をわかりやすく解説
勤続年数は「その会社に何年間勤めているか」を示す指標であり、退職金や昇給、有給休暇が付与される日数に関わる条件など、多くの場面で重要な役割を果たします。ここでは勤続年数の基本的な意味や数え方のポイントを整理し、誤解しやすい点についても解説します。
勤続年数の意味とは?
勤続年数とは、従業員が入社してから現在まで継続して勤務している期間を指します。
例えば、
- 2020年4月1日に入社し、2025年3月31日時点であれば「勤続5年」
- 2020年4月1日に入社し、2025年3月30日時点であれば「勤続4年」
ただし、会社で勤続年数の定義がされている場合、その就業規則に準ずるため多少の違いはありますが、一般的には次のような場面で勤続年数が利用されます。
「勤続年数」が関わるシチュエーション例
- 退職金の計算基準
- 有給休暇の付与日数の決定
- 賞与や昇給の判断材料
- 永年勤続表彰の対象者選定
つまり、勤続年数は従業員の「会社におけるキャリアの長さ」を表す指標といえるでしょう。
「満」を使う意味とその注意点
勤続年数を表すときによく使われるのが「満〇年」という表現です。これは実際に働いた年数を満了した時点を意味します。たとえば「勤続満3年」は、入社日から3年が経過した時点を指します。
注意したいのは、「満〇年」と「〇年目」が異なる点です。
勤続満3年
入社から3年をすでに経過した状態
入社3年目
入社から2年以上が経過し、3年目に突入した状態
この違いを混同すると、有給休暇の付与される日数や福利厚生の対象年数を誤解する可能性があるため、就業規則や制度の表記を確認することが大切です。
休職・育児休暇中は勤続年数にカウントされる?
勤続年数の計算で迷いやすいのが、休職期間や育児休業の扱いがあります。
原則として、休職や育児休暇を取得していても「在籍している」ことに変わりはないため、勤続年数には含まれるケースが多いです。
ただし、次のような点には注意が必要です。
- 会社独自の退職金規程で「無給休職期間は勤続年数に含めない」とされる場合がある
- 福利厚生の制度によっては、休職期間を除外して計算する場合がある
したがって、自身の勤続年数を正確に把握するには、就業規則や人事部門の取り扱いを確認することが重要といえるでしょう。
就業規則や各種諸規程に定められた「勤続年数の定義」によって取り扱いがことなります。例えば、退職金規程上「業務上の傷病を理由とした休職については、その期間も勤続年数に含める」と定められている場合、業務上の傷病を理由とした休職期間中も勤続年数に含めて退職金規程の計算をすることになります。
勤続年数の数え方・計算方法
勤続年数を算出する際には、「入社日からどのように年数を数えるか」「端数をどのように扱うか」といったルールが関わってきます。企業や制度によって多少の違いがあるため、基本的な考え方を理解しておくと安心です。
勤続年数の端数の扱い:「ヶ月」は「切り上げ」が一般的?
勤続年数を計算する際、月や日単位の端数をどのように処理するかは企業ごとに異なります。一般的には以下のような方法があります。
- 切り捨て方式:1年に満たない端数は切り捨てる(例:4年11か月 → 勤続4年)
- 切り上げ方式:一定の端数があれば切り上げる(例:4年6か月以上 → 勤続5年)
- 四捨五入方式:半年を基準に切り捨て・切り上げを行う
特に退職金の計算では「切り捨て」が採用されているように感じます。また永年勤続表彰や有給休暇の付与などでは勤続年数の端数の処理は行わずに「年単位」で取り扱うケースが多いのではないでしょうか。自分の勤続年数を確認する際は、必ず会社の就業規則や制度の規定を確認するとよいでしょう。
ただし「退職所得控除に関わる勤続年数」については、勤続期間に1年に満たない端数があるときは1年に切り上げる必要があるため注意が必要です。
民法に基づく起算日の考え方とは?
勤続年数を数えるうえでの起算日は、入社日=就労開始日が基本となります。この考え方は民法に基づいており、期間の計算においては次のように扱われます。
(暦による期間の計算)第百四十三条
1 週、月又は年によって期間を定めたときは、その期間は、暦に従って計算する。
e-Gov:「民法(明治二十九年法律第八十九号)」より引用
2 週、月又は年の初めから期間を起算しないときは、その期間は、最後の週、月又は年においてその起算日に応当する日の前日に満了する。
ただし、月又は年によって期間を定めた場合において、最後の月に応当する日がないときは、その月の末日に満了する。
上記の法律を簡単に解説すると、
- 起算日に応答する日の前日に満了する
- (例:2020年4月1日入社の場合、2021年3月31日で退職する場合は勤続1年満了)
- 起算日に応答する日がないときは、その月の末日に満了する
- (例:2020年3月31日入社の場合、2021年2月28日で退職する場合は勤続1年満了)
つまり、「入社日翌年の前日が丸1日経過して初めて1年満了」となるイメージです。これは契約や法令に基づく期間計算と同じ考え方が適用されています。
企業の人事規定や退職金規程でも、この民法上の期間計算ルールを踏まえて勤続年数を算出している場合が多いため、自分の入社日から起算日をどう扱っているかを確認することが大切です。
Excel・スプレッドシートで勤続年数を簡単に計算しよう!
勤続年数を手作業で数えるのは意外と面倒ですが、ExcelやGoogleスプレッドシートを使えば自動で計算できます。ここでは、関数を活用して「勤続〇年〇ヶ月」を簡単に算出する方法を紹介します。
DATEDIF関数で「勤続〇年〇ヶ月」を出す方法
DATEDIF関数は、2つの日付の差を「年」「月」「日」単位で求められる便利な関数です。勤続年数の計算でもよく利用されます。
- 入社日がセルB3、勤続年数計算の基準日がセルD3にある場合
- =DATEDIF(B3, D3, “Y”) & “年” & DATEDIF(B3, D3, “YM”) & “ヶ月”
- 入社日が「2024/4/1」、計算基準日が「2025/4/1」の場合は、上記計算式により勤続年数「1年0ヶ月」が表示される

この式を入力すると、入社日から今日までの期間が「〇年〇ヶ月」と表示されます。「YM」は「年数を除いた残りの月」を意味し、より直感的に勤続年数を確認できるでしょう。
TODAY関数との組み合わせで常に最新情報に
TODAY()関数は「今日の日付」を自動的に返す関数です。これをDATEDIFと組み合わせることで、毎日自動的に最新の勤続年数が計算されます。
- 入社日がセルB3にある場合
- =DATEDIF(B3, TODAY(), “Y”) & “年” & DATEDIF(B3, TODAY(), “YM”) & “ヶ月”
- 入社日が「2024/4/1」、計算基準日が「2025/08/28」の場合は、上記計算式により勤続年数「1年4ヶ月」が表示される

TODAY関数を利用するメリットとしては、現時点での勤続年数が確認できる(常に最新の年月が確認可能)点です。在職中は「TODAY()」、退職が決まったら「退職日セル」と使い分けが可能です。
基準日を含めて勤続年数を算出したい場合
民法の考えをベースにすると「基準日を含めて勤続年数を出したい」という場合もあると思います。
具体的には「入社日が2024年4月1日で、退職予定日が2025年3月31日の場合、勤続年数を1年としたい」というケースです。この場合、前述の=DATEDIF(B3, D3, "Y") & "年" & DATEDIF(B3, D3, "YM") & "ヶ月"では「2025年4月1日」を指定しなければ勤続年数は1年になりません。
そのため、下記のような計算式が必要となります。
- 入社日がセルB3、勤続年数計算の基準日がセルD3にある場合
- =DATEDIF(B3,D3+1,”Y”)& “年” & DATEDIF(B3,D3+1,”YM”) & “月”
- 入社日が「2024/4/1」、計算基準日が「2025/3/31」の場合は、上記計算式により勤続年数「1年0ヶ月」が表示される

勤続年数での計算で、どのタイミング(基準日)で計算したいのか、基準日を含めたい・含めたくないのかによって、DATEDIF関数を使いこなしましょう。
入社何年目かをすぐわかる!具体例で理解
勤続年数と混同しやすいのが「入社何年目」という表現です。勤続年数が「すでに経過した年数」を示すのに対し、入社何年目は「現在どの年に在籍しているか」を示します。ここでは、具体例を交えてわかりやすく解説し、Excelでの表記方法も紹介します。
表記の工夫で「入社◯年目」がわかる
入社何年目かを簡単に求めるには、DATEDIF関数で算出した勤続年数に +1 をする方法が一般的です。
- 入社日がセルB3、入社年数計算の基準日がセルD3にある場合
- =DATEDIF(B3,D3, “Y”) + 1 & “年目”
- 入社日が「2024/4/1」、計算基準日が「2025/4/1」の場合は、上記計算式により入社年数「2年目」が表示される

この計算式を用いると、
- 2020年4月1日入社 → 2025年3月31日時点では「5年目」
- 2020年4月1日入社 → 2025年4月1日時点では「6年目」
このように、勤続年数と入社年数の表現が異なることを理解しておくと、誤解なく使い分けられるでしょう。
Excelで見た目を整える工夫(セル書式など)
Excelやスプレッドシートで「入社〇年目」をわかりやすく表示するには、計算式だけでなく セルの書式や結合の工夫 を取り入れると便利です。
- セル内で完結する方法
- 数値と文字列を結合する演算子
&を使えば、数式の中で「年目」を表示可能。 - 例:
=DATEDIF(B3,D3, "Y") + 1 & "年目"
- 数値と文字列を結合する演算子
- ユーザー定義の表示形式を活用
- 勤続年数を「数値」で算出し、セルの表示形式のユーザー定義を利用して「年目」と付ける方法もあります。
- 例:計算式で
=DATEDIF(B3, TODAY(), "Y")+1を入れ、セルの表示形式をユーザー定義で0″年目”を設定
このように、ちょっとした書式の工夫を加えるだけで、見やすさや管理のしやすさが大きく向上するといえるでしょう。
人事労務ご担当者の方は、入社日・勤続年数・入社年目を一覧化した表を作ることで、人事管理や社員の状況を一目で把握できるようになりますのでおすすめです。
勤続年数が影響する法律や待遇とは?
勤続年数は単なる在籍期間の目安ではなく、実際の待遇や福利厚生に大きな影響を与える要素です。
特に有給休暇や退職金、失業給付といった制度は勤続年数に基づいて算出されることが多く、正しく理解しておくことで不利益を避けられるでしょう。
有給休暇の付与日数は勤続年数で変わる
労働基準法では、正社員だけでなくパートやアルバイトを含む労働者に対しても、勤続年数に応じた有給休暇が付与されることが定められています。
具体的には、入社から6か月以上継続勤務し、全労働日の8割以上出勤した場合、最初の有給休暇が付与されます。その後は勤続年数に応じて日数が増えていきます。
例えば正社員の場合、
| 勤続年数 | 6カ月 | 1年6カ月 | 2年6カ月 | 3年6カ月 | 4年6カ月 | 5年6カ月 | 6年6カ月 |
|---|---|---|---|---|---|---|---|
| 付与日数 | 10日 | 11日 | 12日 | 14日 | 16日 | 18日 | 20日 |
このように、勤続年数が長いほど有給休暇の付与日数は増加していきます。長期的に働くほど休暇の権利も充実していくため、勤続年数の確認は重要です。
退職金や失業給付にも関連するポイント
退職金や失業給付といった金銭面での待遇にも、勤続年数は大きく関係します。
退職金
- 多くの企業では退職金規程において「勤続年数 × 支給率(もしくは基準額)」という形で算出されます。
- 勤続が長いほど金額が大きくなるのが一般的で、節目ごとに大きく増える「段階的加算方式」を採用している企業もあります。
失業給付(雇用保険)
- 雇用保険の基本手当(いわゆる失業手当)は、離職時点での被保険者期間=勤続年数に近い概念によって給付日数が変わります。
- 例:被保険者期間が1年以上10年未満 → 90日支給、10年以上20年未満 → 120日支給、など。
これらの制度は単に「在籍しているかどうか」だけではなく、どのくらい継続して勤務したかが待遇に直結します。そのため、勤続年数を正確に把握しておくことが、将来のキャリア設計や生活設計にとって大きな意味を持つといえるでしょう。
勤続年数に関するよくある疑問をQ&A形式で解説
勤続年数については、人事制度や就業規則に直結するテーマであるため、疑問を持つ人が多い分野です。ここではよくある質問をQ&A形式でまとめ、誤解を防ぎながら理解を深められるように解説します。
まとめ:勤続年数を正しく理解してキャリアに活かそう
勤続年数は、退職金や有給休暇、失業給付など働く上での待遇に大きな影響を与える重要な指標です。
本記事では、基本的な定義から計算方法、Excel・スプレッドシートでの便利な算出法、さらには入社年目との違いや待遇への影響まで幅広く解説しました。
- 勤続年数は「入社から継続して働いた期間」を示す
- 「満〇年」と「〇年目」は意味が異なるので注意が必要
- Excelやスプレッドシートを活用すれば簡単に自動計算できる
- 勤務している年数は有給休暇や退職金、失業給付など待遇に直結する
自分の勤続年数を正しく把握しておくことは、キャリア設計やライフプランの見直しに役立ちます。ぜひ今回の内容を参考に、日常業務や将来の計画に活かしてみてください。



