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「身に着ける」と「身に付ける」の違いを徹底解説! 正しい使い方と例文付き

本記事ではこのようなお悩みを解決いたします
  • 「身に着ける」と「身に付ける」の違いが曖昧で使い分けがわからない
  • 文章にどちらを使うべきか判断できず、不安を感じている
  • 誤用を避け、正しい日本語表現を身につけたい

「身に着ける」と「身に付ける」は、どちらも日常的によく使われる表現ですが、意味や使い方には明確な違いがあります。

服やアクセサリーなどを体にまとうときに使うのか、それとも知識やスキルを習得するときに使うのか、シチュエーションによっては混同してしまう人も少なくありません。

正しく理解しておくことで、文章表現の精度が高まり、誤用を避けられると思いますので、本記事では、それぞれの言葉のニュアンスや使い分けのポイントを、具体的な例文とともにわかりやすくご紹介いたします。

このページの概要

「身に着ける」と「身に付ける」は違う言葉?

まず最初に、「身に着ける」と「身に付ける」は、どちらも「みにつける」と読む同音異義語です。

しかし、使われる文脈やニュアンスによって適切な漢字の使い分けが求められます。誤用しやすい表現だからこそ、その違いをしっかり理解しておくことが重要です。

表記の違い

「身に着ける」「身に付ける」は、ひらがなで「身につける」と表記されることもあります。

とくに公文書やニュース記事では、読みやすさを優先してひらがなが選ばれる場合も少なくありませんが、それぞれのバリエーションは以下のように整理できます。

「身につける」の表記ごとの意味合い
  • 身に着ける:衣服・装飾品・装備などを体にまとう場合に使用。
  • 身に付ける:知識・技術・習慣などを自分のものとして習得する場合に使用。
  • 身につける(ひらがな表記):意味を限定せず、一般的に使われる柔らかい表記。

つまり、意味を厳密に区別したいときは漢字を使い、文脈上で誤解の余地がなければ「身につける」と書くのも自然だといえるでしょう。

国語審議会・異字同訓報告における見解

文部科学省の諮問機関である国語審議会(現在の文化審議会国語分科会)では、「異字同訓」の問題について報告をまとめています。その中で「着ける」と「付ける」も取り上げられ、以下のように整理されています。

付ける

  • 意味:付着する。加わる。意識などを働かせる。
  • 用例:墨が顔に付く。足跡が付く。知識を身に付ける。利息が付く。名前を付ける。条件を付ける。味方に付く。付け加える。気を付ける。目に付く。

着ける

  • 意味:達する。ある場所を占める。着る。
  • 用例:手紙が着く。東京に着く。船を岸に着ける。車を正面玄関に着ける。席に着く。衣服を身に着ける。

この公式見解に基づけば、両者は明確に使い分けるべき表現とされています。現代日本語においては、文章の正確さや表現力を高めるためにも、この区別を意識して用いることが推奨されているのです。

「身に着ける」と「身に付ける」の意味の違いと使い分けポイント

「身に着ける」と「身に付ける」は、同じ「みにつける」という読みを持ちながらも、対象や場面によって使い分ける必要があります。

ここでは、それぞれの表現がどのように用いられるのかを詳しく見ていきましょう。

「身に着ける」が使われる場面:衣服・装飾品・物理的装着

「身に着ける」は、文字通り「体にまとう」という意味を持ちます。服やアクセサリー、さらには武具や装備など、物理的に身に装うものに対して使われる表現です。

「身に着ける」の用例

  • 結婚式のために新しいドレスを身に着ける
  • 道路工事の際は必ず安全ヘルメットを身に着けて作業する。
  • 武士は常に刀を身に着けていた。

このように、物理的・外見的に身に装う対象がある場合に用いられるのが特徴です。

「身に付ける」が使われる場面:知識・技術・習慣・内面的習得

一方、「身に付ける」は目に見えないもの、すなわち知識や技能、生活習慣や礼儀作法などを習得して自分の一部にする場合に使われます。

単なる「学ぶ」や「覚える」よりも、自分の行動や思考に定着したニュアンスを含みます。

「身に付ける」の用例

  • ビジネスマナーを若いうちに身に付けることが大切だ。
  • 英語を実際に話せるまで身に付けるには継続が必要だ。
  • 良い生活習慣を小さい頃から身に付けると健康に役立つ。

このように、内面的・抽象的な要素を「自分のものにする」ときに使われるのが「身に付ける」です。

境界・曖昧なケースと許容される表記

ただし、現代日本語においては両者の境界が曖昧になるケースもあります。

たとえば「礼儀作法」や「武道の型」のように、身体動作を伴うものは「身に着ける」と「身に付ける」のどちらも成り立つ場合があります。

  • 剣道の基本動作を身に着ける(体に覚え込ませるイメージ)
  • 剣道の基本動作を身に付ける(技術として習得するイメージ)

というのも、文化審議会国語分科会の「異字同訓」の漢字の使い分け例(報告)によると、知識は「着ける」という比喩表現も可能とされてるのです。

「知識を身につける」の「つける」は,「付着する」意で「付」を当てるが,「知識」を「着る」という比喩的な視点から捉えて,「着」を当てることもできる。

文化審議会国語分科会:「異字同訓」の漢字の使い分け例(報告)より引用

このように、文脈や書き手の意図によってどちらを選んでも間違いとは言えないケースがあるのです。加えて、ひらがなの「身につける」を用いればニュアンスの曖昧さをカバーし、読みやすさを優先することも可能です。

要するに、厳密な区別が求められる文章(学術的な文章やマニュアルなど)では漢字を正しく使い分け、一般的な文章やブログなどでは柔軟に「身につける」を選ぶのも一つの工夫と言えるでしょう。

例文で確認する「付ける」と「着ける」の使い分け

理屈だけでは「身に着ける」と「身に付ける」の違いが曖昧に感じられることもあります。そこで実際の例文を通じて、それぞれの使われ方を確認してみましょう。

衣服・アクセサリーに関する例文

ここでは「身に着ける」が正しく使われる文を取り上げます。対象はすべて、体に直接まとうことのできる物理的なものです。

  • 彼女はお気に入りの指輪を身に着けて出かけた。
  • スポーツ選手は試合の前にユニフォームを身に着ける
  • 登山では防寒具をしっかり身に着けることが重要だ。
  • 警察官は常に制服と装備を身に着けて勤務する。

これらはすべて、実際に「体に装う」イメージが伴っているため「身に着ける」が適切といえます。

知識・技能・習慣に関する例文

次に「身に付ける」を用いるケースです。目に見えないスキルや知識、または生活習慣を自分のものにする際に使われます。

  • 小学生のうちに正しい鉛筆の持ち方を身に付ける
  • 社会人に必要なプレゼン能力を身に付けることが大切だ。
  • 読書の習慣を毎日の生活に身に付けると知識が広がる。
  • 外国語を自然に身に付けるには、実際に使う機会が必要だ。

ここでのポイントは、単なる「学習」や「経験」ではなく、日常生活や行動の中で確実に定着していくニュアンスがある点です。


このように、対象が「体にまとう物理的なもの」か「知識や習慣など抽象的なもの」かを意識すると、どちらの表現を使うべきか判断しやすくなるでしょう。

表記を選ぶ際に気をつけておきたいポイント

実際に文章を書くとき、「身に着ける」と「身に付ける」をどのように使い分けるべきか迷う場面は多いものです。ここでは、新聞や公用文といった現場での表記傾向や、書き手が意識すべき注意点を整理してみましょう。

新聞・書籍・公用文での表記傾向

メディア記事や雑誌、ビジネス書などでは、読者の幅広さを考慮して「ひらがな表記」が多く用いられているように感じます。

一方で、学術書や専門書では意味の区別を明確にするために漢字が積極的に使われることもあるでしょう。例えば教育関連の書籍では「知識を身に付ける」、ファッション誌では「アクセサリーを身に着ける」といった具合に、対象ごとに正確な漢字が用いられる傾向があります。

また、公用文(行政文書や公式報告書)では「常用漢字表」や国の指針に従い、統一性が重視されます。そのため、誤読や誤解を避ける観点から「身につける」とひらがなで表記する例も少なくありません。

読みやすさ・統一性・フォーマル文書での注意点

文章を書く際に意識すべきポイントは、以下の3つに整理できます。

意識しておきたい3つのポイント
  • 読みやすさを優先:対象読者が幅広い場合は、漢字よりも「身につける」とひらがな表記の方が適切なこともある。
  • 統一性を保つ:記事や文書全体で「着」と「付」を混在させると違和感を与えるため、文脈に応じて一貫性を持たせる。
  • フォーマル文書では慎重に:契約書や公式通知などでは曖昧さを避けるため、意味の違いに基づいて正確に使い分けることが望ましい。

つまり、ビジネス文書や専門的な場面では「正しい使い分け」を、広く一般向けの文章では「読みやすさや配慮」を優先するのが実践的な判断基準になるでしょう。

よくある誤用と「付ける」「着ける」のチェックリスト

「身に着ける」と「身に付ける」は、どちらもよく使われる表現である一方、誤用が非常に多い言葉でもあります。特に文章を書くときにうっかり混同してしまうと、読み手に違和感を与えたり、専門性を欠いた印象を残してしまうでしょう。ここでは、よくある誤用のパターンと、誤記を防ぐためのチェック方法を紹介します。

“付ける/着ける” を使い分けない例

ありがちな誤用としては、「衣服やアクセサリー」にもかかわらず「身に付ける」を使ってしまったり、「場所」に対して「場所に着いた」を当ててしまうケースです。

  • パーティーに新しいネックレスを身に付ける。(正しくは「身に着ける」)
  • 午後3時に東京駅に付いた。(正しくは「着いた」)
  • 出張先のホテルに付く。(正しくは「着く」)

このような誤用は、意味を理解していないというよりも、「どちらの漢字でも同じだろう」と思い込みで書いてしまうことが原因と言えるでしょう。

記事・ブログ・SNSでの誤記防止のチェック方法

文章を公開する前に、以下のポイントを確認することで誤記を防ぐことができます。

  • 対象が物理的なものかどうかを確認する
    • 服・装飾品・装備などであれば「身に着ける」
  • 対象が抽象的なものかどうかを確認する
    • 知識・技術・習慣であれば「身に付ける」
    • ただし、知識は「着ける」という比喩表現も可能
  • 迷った場合はひらがなを使う
    • 「身につける」とすれば誤解や違和感を避けられる
  • 校正ツールやIMEの変換候補に頼りすぎない
    • 辞書や公式見解を一度確認してから確定させる習慣を持つ

特にブログやSNSなど即時性が重視される媒体では、推敲の時間が短く誤用が起こりやすいため、最低限「対象が物理か抽象か」をチェックするだけでも誤りを大幅に減らすことができるでしょう。

まとめ:「身に着ける」と「身に付ける」を正しく使い分けよう

「身に着ける」と「身に付ける」は、同じ読みを持ちながらも意味は明確に異なります。

  • 身に着ける:衣服・装飾品・装備など、体にまとう物理的な対象
  • 身に付ける:知識・技術・習慣など、内面的に習得する対象
  • 身につける(ひらがな表記):文脈や読みやすさを優先する場合に有効

厳密に区別すべき文脈では正しい漢字を選び、曖昧さを避けたい場合は「身につける」とひらがなを使うのが実践的です。誤用を防ぐには「対象が目に見えるものか、抽象的なものか」を基準に考えるとよいでしょう。

正しい使い分けを意識することで、文章表現の精度が高まり、読み手により伝わりやすい文章になるはずです。

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