顧問社労士を変更・お探しの方は100社以上のサポート実績を持つTSUMIKI社会保険労務士事務所へ

夜勤とは何時から?夜勤明けの意味と休みの取り扱いをわかりやすく解説

本記事ではこのようなお悩みを解決いたします
  • 夜勤は何時から始まるのか、業界ごとのシフト例を知りたい方
  • 夜勤明けは休み扱いになるのか、不安に思っている
  • 夜勤後の体調管理や過ごし方に悩んでいる

夜勤という働き方は、医療や介護、工場勤務、警備など多くの職種で欠かせないシフト形態です。

しかし「夜勤は具体的に何時から始まるのか?」「夜勤明けの日は休みとして扱われるのか?」といった疑問を抱く方は少なくありません。

そこで今回のコラム記事では、夜勤の一般的な時間帯や法律上の定義、さらに夜勤明けの扱いについて分かりやすく解説します。これから夜勤の仕事を始める方や、働き方を見直したい方にとって役立つ情報を整理しましたので、ぜひ参考にしてください。

このページの概要

夜勤とは?その意味と定義

夜勤とは、昼間ではなく夜間を中心に勤務する働き方を指します。とくに医療・介護・工場・運輸など、24時間体制を必要とする現場では一般的な勤務形態です。

まずはこの「夜勤」という言葉について、法律上の定義や現場ごとに使われる慣習的な意味について確認してみましょう。

法律上は深夜労働(22時~翌5時)として定義がある

労働基準法では「夜勤」という表現は出てきませんが、午後10時から翌朝5時までを「深夜労働」と定められています。この時間帯に勤務した場合、労働者には通常の賃金に加えて25%以上の割増賃金が支払われる義務があります。

つまり、たとえ勤務開始が午後9時からであっても、深夜時間帯に該当する22時以降の労働に対しては割増賃金が発生するのです。

労働基準法における深夜労働の決まり事

  • 深夜労働時間帯:22:00〜翌5:00
  • 割増賃金:基本給の25%以上
  • 18歳未満の労働者は原則禁止

このように「夜勤」という言葉自体には法律上の定義はなく、深夜労働の区分が基準として用いられるのが実情です。

現場で使われる「夜勤」の一般的なイメージ

一方で、現場で「夜勤」と言う場合は、必ずしも22時から翌5時に限られるわけではありません。

例えば介護施設では「夜勤=16時〜翌9時」、工場では「夜勤=20時〜翌5時」など、業種や職場のシフト体制によって幅があります。

業界ごとでよくある「夜勤」の時間帯
  • 医療・介護:16:00〜翌9:00(長時間勤務が多い)
  • 工場・製造:20:00〜翌5:00(交替制で短時間化する場合も)
  • 警備・交通:24時間交代制の一部として夜間勤務

このように「夜勤」は現場ごとの慣習的な呼び方であり、実際の労働時間は多様である点を理解しておく必要があります。

日をまたぐ勤務と労働時間の考え方

夜勤の特徴は「日をまたいで働く」点ではないでしょうか。そのため労働時間の計算や休日の扱いがやや複雑になりがちです。

例えば、20時から翌朝5時まで働いた場合、その労働時間は9時間ですが、日付上は2日間にまたがります。

労働基準法では、労働時間は暦日ではなく「実際の勤務開始から終了までの連続した時間」でカウントされるため、日をまたいでも1勤務として扱われます。これにより残業計算や休憩時間の付与が適切に管理される仕組みです。

つまり、夜勤は単なる「夜に働く勤務」ではなく、法律上の深夜労働と現場の運用ルールの両面から理解することが大切だと言えるでしょう。

夜勤は何時から始まる?業界別の夜勤シフト例

夜勤と一口に言っても、その開始時間は勤務体系や業界によって大きく異なります。

ここでは代表的なシフトパターンである「二交代制」と「三交代制」を整理し、さらに医療・介護・工場といった具体的な職種ごとの夜勤時間帯を紹介します。これにより、自分の働く現場がどのタイプに当てはまるのかを把握しやすくなるでしょう。

二交代制勤務における夜勤の開始時間

二交代制は「日勤」と「夜勤」の2つのシフトで24時間をカバーする勤務形態です。夜勤は長時間勤務となるケースが多く、夕方から翌朝まで働くのが一般的です。

日勤

8:00〜17:00前後

夜勤

16:00〜翌9:00前後
(休憩を挟みながらの長時間勤務)

特に医療や介護施設では二交代制が多く、1回の夜勤で15時間前後働くことも珍しくありません。そのため「夜勤=夕方から翌朝」というイメージを持つ人も多いのではないでしょうか。

三交代制勤務の夜勤シフト例

三交代制は「日勤」「準夜勤」「深夜勤」の3つに分けて勤務する方式です。交代勤務によって1回あたりの労働時間を短くし、労働者の負担を軽減する目的があります。

日勤

8:00〜16:00

夜勤

16:00〜24:00

夜勤

0:00〜8:00

このように三交代制では「夜勤」と言っても時間帯が分かれ、勤務する人によって生活リズムも異なります。特に工場や製造業で多く導入されているシステムです。

医療・介護・工場など職種別の夜勤時間帯

実際の夜勤時間帯は、業種によって大きな違いがあります。以下に代表的な例を挙げます。

職種別の夜勤時間帯の例
  • 医療(病院):16:30〜翌9:00(二交代制が多い)
  • 介護施設:17:00〜翌10:00(巡回・介助業務が中心)
  • 工場・製造業:20:00〜翌5:00(三交代制が多く短時間化する場合も)
  • 警備・交通:18:00〜翌6:00(24時間勤務の一部として配置)

このように「夜勤は何時から始まるか」という問いには一律の答えはなく、勤務体系と業界ごとの特性によって異なるのが現実です。

自分が働く現場のシフトパターンを理解しておくことが、体調管理や生活リズムの調整に欠かせないポイントだと言えるでしょう。

夜勤明けとは?意味と捉え方

夜勤を経験したことのある人なら「夜勤明け」という表現をよく耳にするでしょう。

しかし、この言葉の意味や労働法上の扱いについては、意外と正しく理解されていないことが多いのも事実です。ここでは「夜勤明け」の基本的な定義と、その日の扱い方について整理します。

「夜勤明け」の基本的な定義

夜勤明けとは、夜勤勤務を終えて仕事を終業した直後の状態を指します。例えば、17:00〜翌9:00までの夜勤に従事した場合、勤務が終了する翌9:00以降が「夜勤明け」と呼ばれる時間です。

「夜勤明け」が指すイメージ・ニュアンス

  • 夜勤が終わった直後の時間帯
  • シフト表では「勤務終了日」として記載されることが多い
  • 休息や睡眠を取る重要なタイミング

つまり夜勤明けとは「夜勤を終えて休みに入る前の状態」を意味する言葉であり、必ずしも休日を指すわけではありません。

「夜勤明け=休み」ではない理由

多くの人が誤解しやすい点として「夜勤明け=休み」という認識があります。しかし、労働基準法上は勤務が終了しただけであり、休日とは区別されます。

理由としては、労働基準法で定められている休日の考え方が次のようにされているからです。

休日とは、労働契約において労働義務がないとされている日をいいます。
休日は、原則として暦日、すなわち午前0時から午後12時までの24時間をいいます。
午前0時から午後12時までの間に勤務しない場合が休日であり、所定休日とされている日でも前日の労働が延長されて午前0時を超えた場合などは、休日を与えたことになりません。

徳島労働局:休憩・休日より

そのため、

  • 法律上の休日は「労働義務のない日」であり「午前0時から午後12時までの24時間」を指す
  • 夜勤明けは「勤務を終えた日」であり、休みとは異なる
  • 実質的には疲労が大きいため休養に充てられることが多い

上記のポイントは予め押さえておきましょう。

例えば、火曜日の夜勤(17:00〜翌9:00)を終えた場合、勤務終了時点で水曜日の午前9時です。この「水曜日」は勤務が終わった日であり、法律的には「勤務日」となります。したがって、そのまま「休日」とみなすことはできないのです。

例外的に夜勤明けが休み扱いになるケース

一方で、職場によっては夜勤明けを「休み」として扱うケースも存在します。これはあくまでシフト管理上の運用であり、法律上の休日とは異なるものです。

  • シフト表で「夜勤明け=公休扱い」にしている場合
  • 勤務終了後に次の出勤日まで24時間以上空いている場合
  • 会社独自の福利厚生や働き方改革の一環として設定されている場合

法律で定められている「休日」がきちんと取れていることが前提で、このように「夜勤明け=休み」となるかどうかは職場のルール次第です。したがって、求人票や就業規則を確認し、自分の勤務先がどのように扱っているのかを把握することが大切でしょう。

夜勤と夜勤明けに関する労働諸法令と制度

夜勤は特殊な働き方であるため、労働基準法をはじめとした制度面で特別なルールが定められています。

深夜時間帯の割増手当や休日の定義、さらにシフト管理上の注意点を理解することで、労働者の権利を守りながら無理のない働き方を実現できます。ここでは夜勤と夜勤明けに関連する主要な労働法上のルールを解説します。

深夜割増手当(22時~翌5時)とその割合

労働基準法では、午後10時から翌朝5時までの勤務を「深夜労働」と定めています。この時間帯に勤務する場合、事業主は通常の賃金に加えて25%以上の割増賃金を支払う義務があります。

深夜割増手当について
  • 深夜労働時間帯:22:00〜翌5:00の労働時間に対して支払う必要がある
  • 割増率:基本給や諸手当などの時給換算額の25%以上
  • 時間外労働と重なる場合:25%(時間外)+25%(深夜)=50%以上

つまり、残業が深夜時間帯に重なった場合には「二重の割増」が適用されるため、労働者には高い水準の割増賃金が支払われる仕組みになっています。

休日の定義と夜勤明けの扱い

労働基準法における休日とは「労働義務のない日」を指します。これに対し、夜勤明けは「勤務を終えた日」であり、法律上の休日には該当しません。

休日

完全に労働義務のない日

夜勤明け

勤務終了日
(暦日上は仕事をした日)

たとえば、火曜17:00〜水曜9:00の夜勤を終えた場合、水曜日はすでに勤務した日であり「休日」とはみなされません。もしその後に「休日」として扱われる場合は、会社側がシフト上の配慮として設定しているケースになります。

夜勤における休憩時間の取り扱いは?

夜勤における休憩時間の取り扱いは、基本的に日勤と同じルールが適用されます。

労働基準法第34条では

  • 労働時間が6時間を超えて8時間以内の場合は45分以上の休憩
  • 8時間を超える場合は60分以上の休憩

上記を与えなければならないと記載されています。

たとえば、20:00〜翌5:00までの9時間勤務であれば、最低でも1時間以上の休憩を確保する必要がありますし、16:00〜翌9:00のような長時間夜勤の場合も同様です。

夜勤だからといって例外があるわけではなく、法律に基づいた休憩時間をしっかり確保することが労働者の健康を守るうえで不可欠です。

シフト管理で注意すべき労働時間のルール

夜勤を含む交代勤務では、労働時間の管理が特に重要です。以下のようなルールを守る必要があります。

  • 1日8時間・週40時間を超える労働は原則禁止(36協定締結により例外あり)
  • 勤務間インターバル制度:勤務終了から次の勤務開始までに一定の休息時間を確保する取り組み(努力義務)
  • 連続勤務の制限:過重労働を防ぐため、シフト作成時に夜勤と日勤を連続させない工夫が求められる

これらのルールを守らずにシフトが組まれると、労働者の健康に悪影響を及ぼすだけでなく、企業にとっても法的リスクが生じる可能性があります。

したがって、夜勤に従事する際には自分の労働条件を確認し、必要に応じて改善を求める姿勢も重要でしょう。

夜勤明けの過ごし方と体調管理

夜勤は生活リズムが乱れやすく、心身への負担も大きい働き方です。

そのため、夜勤明けの過ごし方を工夫することで、疲労回復や健康維持につなげることが大切です。ここでは、睡眠・食事・リフレッシュ方法の観点から、夜勤明けに実践したい体調管理のポイントを紹介します。

夜勤明けの睡眠のコツ

夜勤明けに最も重要なのは「質の高い睡眠」をとることです。しかし、朝に仕事を終えると日光の影響で眠りにくくなるのが現実です。以下の工夫が役立つでしょう。

  • 遮光カーテンやアイマスクを利用して、夜と同じような暗い環境を作る
  • 就寝前のスマホ使用を控えることで、入眠をスムーズにする
  • 短めの仮眠(90分程度)を取り入れると、その後の生活リズムが整いやすい

夜勤明けに無理に長時間眠ろうとせず、数回に分けて睡眠を確保する方法も有効です。

食事・水分補給・入浴の工夫

夜勤後は消化器官のリズムも乱れがちです。体に負担をかけない食事と、適度な水分補給を意識することが重要です。

  • 軽めの朝食をとる(消化の良いおかゆ、スープ、ヨーグルトなど)
  • 水分をこまめに摂取し、脱水や疲労感を防ぐ
  • ぬるめのお風呂に入ることでリラックス効果が高まり、睡眠に入りやすくなる

特に夜勤明け直後は、油っこい食事やアルコールは避け、体を休める準備を整えることが大切です。

リフレッシュ方法と生活リズムの整え方

夜勤を続けると生活リズムが不規則になりやすいため、意識的に整える工夫が必要です。

  • 軽い運動(ストレッチや散歩)で体をリフレッシュ
  • 夜勤のない日に太陽光を浴びることで体内時計をリセット
  • 趣味やリラクゼーションを取り入れ、心身のリフレッシュを図る

また、夜勤明けの日は「休み」ではない場合が多いため、過度な予定を入れず、できるだけ回復に専念することが望ましいでしょう。

夜勤は避けられない働き方である一方、適切なセルフケアによって健康リスクを大幅に軽減できます。自分に合った過ごし方を見つけ、無理のないペースで働き続ける工夫が大切だと思われます。

夜勤・夜勤明けに関するよくある疑問をQ&A形式で解説

夜勤の働き方や夜勤明けの扱いについては、多くの人が共通して抱く疑問があります。ここでは労働法や実務の観点から、よくある質問をQ&A形式でご紹介いたします。

夜勤明けにそのまま日勤は可能?

結論から言えば、理論上は可能ですが推奨されません

労働基準法では1日の労働時間は原則8時間までとされており、夜勤を終えた直後にそのまま日勤に入ると、勤務時間が法定上限を超えるケースがほとんどです。

  • 長時間労働となり健康リスクが高まる
  • 割増賃金の支払状況によっては労働基準法違反となる可能性がある
  • 勤務間インターバル(休息時間)の確保ができない

そのため、通常は夜勤明けに日勤を続けて行うことはシフト上で避けられているのが一般的です。

夜勤明けが有給休暇になることはある?

前提として、夜勤明けは「勤務を終えた日」であるため、有給休暇には該当しません。

年次有給休暇は原則として「午前0時から午後12時までの暦日」で付与される必要があり、深夜勤務を終えた夜勤明けの日は暦日とは異なる扱いとなり、有給休暇に充当することはできないからです。

ただし、労働者が夜勤明けの午後からの勤務を免除してほしいと申請し、会社がその分を有給休暇として認めた場合(=時間有休の制度を活用)においては、夜勤明けの日の勤務に関して時間単位の有給休暇を取得できることがあります。

夜勤明けの日が有給休暇になることはないため、注意しておきましょう。

夜勤明けの日に残業を頼まれた場合どうなる?

夜勤明けに追加で労働を求められる場合、その時間は当然「時間外労働」としてカウントされます。特に深夜帯にかかる場合は、時間外割増と深夜割増が同時に適用される可能性があります。

  • 時間外労働:25%以上の割増
  • 深夜労働:22時〜翌5時は25%以上の割増
  • 両方に該当する場合:合計50%以上の割増賃金

ただし、夜勤明けの労働は心身への負担が非常に大きいため、労務管理上は原則として避けるべきです。無理に残業を強いられる場合は、会社の人事労務担当や専門家に相談することも検討すべきでしょう。

まとめ:夜勤と夜勤明けを正しく理解して無理のない働き方を

夜勤は「夜に働く勤務形態」と一言で表されますが、実際には法律上の深夜労働(22時〜翌5時)や、現場ごとのシフト運用など複数の意味を持っています。

夜勤明けも「勤務を終えた日」であり、必ずしも休日とは限らない点に注意が必要です。

  • 夜勤は二交代制・三交代制など勤務体系によって開始時間が異なる
  • 深夜労働は法律で定義され、22時〜翌5時に25%以上の割増手当が必要
  • 夜勤明けは「勤務終了日」であり、原則として休み扱いではない
  • シフト管理では勤務間インターバルや労働時間の上限を守ることが重要
  • 夜勤明けの過ごし方(睡眠・食事・リフレッシュ)が体調管理のカギ

この記事で解説したように、夜勤と夜勤明けには法律上のルールと実務上の慣習が混在しています。自分の勤務先の規則をしっかり確認しつつ、体調を整える工夫を取り入れることで、無理のない夜勤生活を送れるでしょう。

このページの概要