「参考にさせていただきます」と「参考にいたします」の違いは?使い分けを解説

「参考にさせていただきます」と「参考にいたします」は、どちらもビジネスで見かける表現ですが、いざ使うとなると違いが分かりにくいものです。丁寧さの差があるのか、どちらを選べば自然なのか、迷う方も多いのではないでしょうか。
この記事では、2つの表現の違いをわかりやすく整理したうえで、場面ごとの使い分け方を解説します。メールや会話でどちらが自然か判断しやすくなるよう、具体例も交えながら紹介します。
「参考にさせていただきます」と「参考にいたします」の違い
「参考にさせていただきます」と「参考にいたします」は、どちらもビジネスで見かける丁寧な表現です。ただ、実際に使い分けようとすると、「どちらがより丁寧なのか」「目上にはどちらが自然なのか」と迷いやすいものです。意味が近い表現だからこそ、違いをはっきり言葉にしにくいと感じる方も多いのではないでしょうか。
表現の成り立ちの違い
まず大きな違いは、言い回しの形です。
「参考にいたします」は、「参考にする」を謙譲語の「いたす」にした、比較的すっきりした表現です。一方で、「参考にさせていただきます」は、「させてもらう」を丁寧にした形で、相手への配慮やへりくだりのニュアンスが強めに出やすい表現です。
そのため、同じように丁寧でも、文章全体の重さには差が出ます。「参考にいたします」は簡潔で読みやすく、「参考にさせていただきます」はやややわらかく丁寧に聞こえやすい一方、場面によっては少しくどく感じられることもあります。
丁寧さの印象の違い
一般的には、「参考にさせていただきます」のほうが丁寧に見えやすいと感じる人が多いのではないでしょうか。相手からもらった意見や提案を、自分がありがたく受け取って活かすというニュアンスが出やすいためです。
ただし、丁寧さが強いからといって、いつもこちらのほうが適しているわけではありません。ビジネス文章では、丁寧すぎる言い回しが続くと、かえって回りくどく見えることがあります。そのため、必要以上に重たくしたくないときは、「参考にいたします」のほうが自然にまとまる場合もあります。
使いやすさの違い
実務で使いやすいのは、場面によって変わります。たとえば、社外向けや改まったメールでは、「参考にさせていただきます」のほうが無難に見えることがあります。一方で、社内メールや簡潔な返信では、「参考にいたします」のほうが読みやすく、自然に感じられることもあります。
違いを整理すると、次のようになります。
| 表現 | 特徴 | 向いている印象 |
|---|---|---|
| 参考にさせていただきます | 丁寧さが強く、やわらかい | 社外・改まった場面 |
| 参考にいたします | すっきりして簡潔 | 社内・簡潔な返信 |
ただし、これはあくまで目安です。実際には、相手との関係や文全体の調子によって自然さは変わります。
違いは“意味”より“文章全体の印象”に出やすい
この2つの表現は、意味そのものに大きな差があるわけではありません。
どちらも、相手の意見や提案を今後の判断材料にするという点では共通しています。違いが出やすいのは、意味よりもむしろ文章全体の印象です。
つまり、「どちらが正しいか」と考えるより、「この場面でどちらが自然に読めるか」と考えるほうが実務では役立ちます。丁寧さを強めたいのか、すっきり簡潔にしたいのかによって選び分けるのが基本です。
それぞれが適している場面
「参考にさせていただきます」と「参考にいたします」は、どちらも間違いではありません。
ただ、同じ場面で常に置き換えられるわけではなく、相手との関係性や文全体のトーンによって、自然に感じられるほうが変わります。ここでは、それぞれの表現が向いている場面を整理します。
「参考にさせていただきます」が向く場面
「参考にさせていただきます」が向いているのは、相手への配慮や丁寧さをやや強めに出したい場面です。
特に、取引先や目上の人から意見や提案をもらったときは、少しやわらかく受け止める印象を出しやすいため、この表現がなじみやすいです。
そのため、
- 取引先からの提案に返信するとき
- 目上の人から助言を受けたとき
- お問い合わせや要望に丁寧に返答したいとき
こうした場面では、「ご提案ありがとうございます。今後の参考にさせていただきます」のように、お礼と組み合わせて使うと自然です。文面全体をやわらかく整えたいときにも向いています。
「参考にいたします」が向く場面
一方で、「参考にいたします」は、少し簡潔にまとめたい場面で使いやすい表現です。丁寧さは保ちつつも、「させていただきます」ほどの重さが出にくいため、社内のやり取りや短めの返信で使いやすい傾向があります。
たとえば、次のような場面に向いています。
- 社内メールで簡潔に返したいとき
- 上司や同僚への短い返信
- 文全体がやや長く、これ以上重たくしたくないとき
「ご意見ありがとうございます。今後の参考にいたします」とすれば、丁寧さを保ちながらも、すっきりした印象になります。文章を読みやすくしたいときには、こちらのほうがしっくりくることがあります。
迷ったときの選び方
どちらを使うか迷ったときは、「丁寧さを強めたいか」「簡潔さを優先したいか」で考えると選びやすくなります。
相手との距離がある、または改まった場面なら「参考にさせていただきます」、やや日常的なやり取りや文章の軽さを保ちたいなら「参考にいたします」が目安になります。
ただし、表現だけで決めるのではなく、前後の文とのつながりも大切です。たとえば、すでに本文で「ご丁寧にご提案いただきありがとうございます」など丁寧な表現が続いているなら、最後は「参考にいたします」と少し軽くしたほうがバランスがよいこともあります。反対に、全体があっさりしている文なら、「参考にさせていただきます」のほうがやわらかさを補いやすいです。
大切なのは“どちらが正しいか”より“どちらが自然か”
この2つの表現は、正誤で分けるより、場面に応じた自然さで選ぶことが大切です。どちらもビジネスで使える表現ですが、相手との関係や文章のトーンに合っていないと、少し違和感が出ることがあります。
そのため、「より丁寧なほうを選べば安心」と考えるのではなく、その文脈で読みやすく、相手に違和感なく伝わるほうを選ぶのが基本です。言葉単体ではなく、一文全体の印象で判断すると使い分けやすくなります。
ビジネスでの使い分け例
「参考にさせていただきます」と「参考にいたします」は、意味としては近い表現ですが、実際のビジネス文面では使い分けると文章が自然になります。
特にメール、会話、目上・取引先対応では、少しの違いでも印象が変わりやすいです。ここでは、場面ごとにどのように使い分けると違和感が出にくいかを見ていきます。

メールでの使い分け
メールでは、文全体の長さやかたさとのバランスを見て選ぶのが基本です。
文面がすでに丁寧で、前置きやお礼がしっかり入っている場合は、「参考にいたします」のほうがすっきりまとまることがあります。反対に、短い返信で少しやわらかさを足したい場合は、「参考にさせていただきます」のほうが無難に見えることがあります。
- ご提案ありがとうございます。今後の参考にいたします。
- ご提案ありがとうございます。今後の参考にさせていただきます。
どちらも問題ありませんが、前者は簡潔で読みやすく、後者は少し丁寧でやわらかい印象です。社外メールで文が短い場合は後者、文面全体が長めで丁寧な場合は前者のほうが重くなりすぎず自然なことがあります。

会話での使い分け
口頭でのやり取りでは、文字で読むメールよりも、表現の重さが目立ちやすくなります。
そのため、会話では「参考にいたします」のほうがやや使いやすい場面もあります。特に、社内の会議や上司とのやり取りでは、「参考にさせていただきます」だとかしこまりすぎることがあるからです。
たとえば、会議中の発言なら次のような違いがあります。
- ありがとうございます。今後の参考にいたします。
- ありがとうございます。今後の参考にさせていただきます。
前者のほうが少しすっきりしていて、口頭では自然に聞こえやすいことがあります。ただし、社外との商談や改まった場では、後者でも違和感はありません。会話では、相手との距離感や場の空気に合わせて選ぶことが大切です。
目上・取引先に対する使い分け
目上の人や取引先に対しては、「参考にさせていただきます」のほうが安心と感じる方も多いです。
実際、丁寧さや配慮をやや強めに出しやすいため、無難にまとめたいときには使いやすい表現です。特に、提案や助言への返答では、やわらかく受け止める印象が出やすくなります。
一方で、必ずしも「参考にいたします」が失礼というわけではありません。文全体が丁寧で、お礼や補足がしっかり入っていれば、こちらでも十分自然です。
| 相手・場面 | 使いやすい表現 | 理由 |
|---|---|---|
| 取引先への短い返信 | 参考にさせていただきます | やわらかさと丁寧さを出しやすい |
| 取引先へのやや長いメール | 参考にいたします | 文全体が重くなりすぎにくい |
| 上司への簡潔な返信 | 参考にいたします | 社内では自然にまとまりやすい |
| 改まった返答・要望対応 | 参考にさせていただきます | 配慮の印象を強めやすい |
このように、相手が同じでも、文の長さや場面によって自然な表現は変わります。
使い分けは“単語”ではなく“文全体”で考える
この2つの表現を使い分けるときは、単語だけで判断しないことが大切です。実際には、前後にどんな言葉があるか、お礼や説明が入っているかによって、自然さは大きく変わります。
たとえば、「貴重なご意見をいただき、誠にありがとうございます。今後の施策の参考にいたします。」は十分丁寧ですし、「ご提案ありがとうございます。参考にさせていただきます。」も自然です。つまり、どちらが優れているというより、その文脈に合っているかどうかが重要です。
使い分けに迷ったときは、「この文を声に出して読んだときに自然か」で確認すると判断しやすくなります。ビジネス表現は、正しさだけでなく、読みやすさや伝わりやすさも大切です。
どちらを使うと自然か迷いやすいケース
「参考にさせていただきます」と「参考にいたします」は、どちらも使えるからこそ、細かい場面で迷いやすい表現です。特に、提案・指摘・要望のように、相手の言葉をどう受け止めるかが重要な場面では、少しの違いでも印象が変わります。ここでは、実際に迷いやすいケースごとに、自然な選び方を整理します。
提案への返答
相手から前向きな提案を受けたときは、まず感謝を示したうえで、今後の検討に活かす姿勢を伝えるのが基本です。この場面では、やわらかさを出しやすい「参考にさせていただきます」が使いやすいことが多いです。
仮に、取引先から企画案や施策案の提案を受けた場合は、次のような形が自然です。
- ご提案ありがとうございます。今後の検討の参考にさせていただきます。
- 詳細なご提案をありがとうございます。社内での判断材料として参考にさせていただきます。
一方で、文全体がすでに十分丁寧で、これ以上重たくしたくない場合は、「参考にいたします」でも問題ありません。
- ご提案いただき、誠にありがとうございます。今後の施策検討の参考にいたします。
つまり、提案への返答では、短めの文なら「参考にさせていただきます」、長めで丁寧な文なら「参考にいたします」と考えると選びやすくなります。
指摘や助言への返答
相手からの指摘や助言に返す場面では、提案への返答よりも少し慎重さが求められます。なぜなら、相手は改善してほしい点や気づきを伝えてくれているため、受け止め方が軽く見えないようにする必要があるからです。
この場合も、「参考にさせていただきます」は使えますが、内容によっては少し無難すぎる印象になることがあります。とくに、具体的な改善が求められている場面では、「ご指摘を踏まえて検討いたします」などのほうが自然なこともあります。
それでも、この2つから選ぶなら次のような考え方ができます。
- やわらかく受け止めたい → 参考にさせていただきます
- 簡潔に整えたい → 参考にいたします
たとえば、社内での助言に対しては「ご指摘ありがとうございます。次回の参考にいたします」でも自然ですし、社外からの丁寧な助言に対しては「貴重なご意見をありがとうございます。今後の参考にさせていただきます」のほうがなじみやすいことがあります。
要望や依頼への返答
要望や依頼への返答は、もっとも迷いやすい場面のひとつです。というのも、相手は単なる意見ではなく、何らかの対応を期待していることが多いからです。この場面では、「参考にします」という言い方自体がやや距離を感じさせることがあります。
そのため、要望や依頼に対しては、どちらを使うか以前に、現状や対応方針を少し補ったほうが自然です。ただ、そのうえで選ぶなら、社外や改まった場面では「参考にさせていただきます」、社内や比較的軽い要望への返答では「参考にいたします」が使いやすいです。
たとえば、次のような違いがあります。
| 場面 | 自然な表現例 |
|---|---|
| 取引先からの要望 | ご要望ありがとうございます。今後の参考にさせていただきます。 |
| 社内からの改善依頼 | ご意見ありがとうございます。次回対応時の参考にいたします。 |
| すぐに対応できない要望 | 現時点では対応が難しい状況ですが、今後の参考にさせていただきます。 |
このように、要望への返答では、単に丁寧な表現を選ぶだけでなく、相手が知りたい情報を補えているかも大切です。
迷ったときは“重さ”と“距離感”で選ぶ
細かな違いに迷ったときは、次の2つを基準にすると判断しやすくなります。
- 文を少しやわらかく、丁寧に見せたい → 参考にさせていただきます
- 文をすっきり、簡潔にまとめたい → 参考にいたします
この違いは小さく見えますが、ビジネス文面では意外と印象に影響します。ただし、どちらを選んでも前後の文が不自然なら意味がありません。最終的には、相手との距離感や文章全体の流れに合っているかで判断するのがいちばん確実です。
使い分けで注意したいポイント
「参考にさせていただきます」と「参考にいたします」は、どちらも丁寧な表現ですが、使い分けを意識しすぎるとかえって不自然になることがあります。大切なのは、表現単体の丁寧さを比べることではなく、その場面に合った文章として自然に読めるかどうかです。ここでは、使い分ける際に押さえておきたいポイントを整理します。
丁寧さより自然さを優先する
ビジネス文書では丁寧さが大切ですが、丁寧であればあるほどよいとは限りません。
たとえば、「させていただきます」を重ねすぎると、必要以上に回りくどく見えることがあります。その結果、相手に配慮しているつもりでも、文章全体としては読みにくくなることがあります。
そのため、「より丁寧に見えるから」という理由だけで「参考にさせていただきます」を選ぶのではなく、その文の流れに合っているかを優先したほうが自然です。すでに前後の文で十分に丁寧さが出ているなら、「参考にいたします」のほうがすっきりまとまることもあります。
相手との関係性を考える
使い分けを考えるときは、相手との関係性も重要です。
取引先や目上の人への返信では、少しやわらかく丁寧な「参考にさせていただきます」が無難に感じられることがあります。一方で、社内や日常的なやり取りでは、「参考にいたします」のほうがかしこまりすぎず自然です。
ただし、ここでも絶対的な決まりがあるわけではありません。
同じ取引先でも、長年やり取りのある相手なら簡潔な表現のほうがなじむことがありますし、社内でも正式な報告メールならやや丁寧に整えたほうがよい場合があります。相手との距離感を一律に決めるのではなく、そのやり取りの温度感に合わせて選ぶことが大切です。
一文全体のバランスを整える
もっとも見落としやすいのが、一文全体のバランスです。
この2つの表現は、単独で比較するより、前後の言葉と合わせたときの印象で考えるほうが実用的です。たとえば、お礼・説明・結びまで含めて読んだときに重たくないか、逆にそっけなくないかを確認すると、違和感に気づきやすくなります。
たとえば、次のような違いがあります。
- ご提案をいただき、誠にありがとうございます。今後の施策検討の参考にいたします。
- ご提案ありがとうございます。今後の参考にさせていただきます。
どちらも使えますが、前者は文全体がやや丁寧なので結びをすっきりさせた形、後者は短めの文にやわらかさを足した形です。このように、一文全体で見たときの重さや読みやすさで判断するのが自然です。
正解を探すより“違和感を減らす”意識が大切
この2つの表現に、常に明確な正解があるわけではありません。実際のビジネス文面では、「絶対にこちらでなければならない」という場面よりも、「どちらでもよいが、こちらのほうが自然」という場面のほうが多いです。
だからこそ、使い分けでは正解探しをしすぎないことが大切です。相手との関係、文の長さ、前後の表現とのバランスを見て、違和感の少ないほうを選ぶ。この感覚を持っておくと、実際のメールや会話でも迷いにくくなります。
最終的には、「丁寧に見えるか」だけではなく、「相手が読んで自然に受け取れるか」を基準に考えることが、いちばん実務的な使い分け方です。
まとめ
「参考にさせていただきます」と「参考にいたします」は、どちらもビジネスで使える丁寧な表現です。意味に大きな違いがあるわけではありませんが、文章全体の印象には差が出やすく、場面によって自然に感じられるほうが変わります。
一般的には、「参考にさせていただきます」のほうがやわらかく丁寧な印象になりやすく、「参考にいたします」のほうがすっきり簡潔にまとまりやすい傾向があります。そのため、取引先や改まった場面では前者、社内メールや短めの返信では後者がなじみやすいことがあります。
使い分けるときに大切なのは、次の3点です。
- 丁寧さだけでなく自然さを優先する
- 相手との関係性や距離感を考える
- 一文全体のバランスで判断する
たとえば、文全体がすでに丁寧なら「参考にいたします」のほうが読みやすくなりますし、短い返信で少しやわらかさを出したいなら「参考にさせていただきます」が使いやすいことがあります。つまり、どちらが絶対に正しいというより、その場面でどちらが自然かを見て選ぶのが基本です。
この2つの表現は、細かい違いに見えても、ビジネス文面では印象に影響しやすい言い回しです。正解を探しすぎるのではなく、相手が違和感なく受け取れるかどうかを基準に考えると、実際のやり取りでも使い分けやすくなるでしょう。



