【2025年最新】社会保険料率とは?保険料や計算方法を社労士が解説

2025年度の社会保険料率が公表され、給与計算や人件費管理に直結する重要な数値が更新されました。
経理・人事担当者にとって、健康保険・厚生年金・雇用保険などの料率改定は、毎月の給与計算や年間予算の見直しに欠かせないポイントです。
本記事では、社労士が2025年の最新料率を一覧で整理し、会社と従業員の負担割合や計算方法の実務ポイントを解説します。年度途中での対応やチェックすべき実務上の注意点もあわせてご紹介しますので、ぜひご参考ください。
社会保険料率の基本を理解しよう
社会保険料率は、毎月の給与計算や人件費の見積もりに直結する重要な数値です。
しかし「そもそも社会保険とは何か?」「なぜ料率が変わるのか?」「会社と従業員はどのように負担を分けているのか?」をしっかり理解していないと、計算ミスや予算の誤算につながりかねません。
ここでは、まず社会保険料率の基本構造を整理し、経理・人事担当者が押さえておくべきポイントを確認していきましょう。
社会保険とは?(健康保険・年金・雇用保険など)
「社会保険」という言葉は、実務や日常会話の中で少し意味が揺れています。
一般的には「社会保険=健康保険・介護保険・厚生年金保険」を指すことが多いですが、制度上はもっと広い範囲を含みます。
狭義の社会保険
通常、給与計算や保険証の手続きなどで「社会保険」と言った場合、次の3つを指します。
- 健康保険
- 介護保険(40歳〜64歳が対象)
- 厚生年金保険
この3つは「年金事務所や健康保険組合を通じて加入・納付する保険」であり、いわゆる「社会保険完備」という求人票の表現もこの範囲を意味するケースが多いです。
広義の社会保険
制度的に「社会保険」という場合は、狭義の3つに加えて次の制度も含みます。
- 雇用保険
- 労災保険
つまり、「広義=健康保険・介護保険・厚生年金・雇用保険・労災保険の5つ」が社会保険です。
求人票や社内での説明において「社会保険」と言う場合は、多くの場合、健康保険や厚生年金といった狭義の意味で使われています。
一方で、厚生労働省の資料や法制度上の解説では、雇用保険や労災保険も含めた広義の「社会保険」として扱われることが多いため、注意しておきましょう。
社会保険料率は誰が決める?毎年変更される?
社会保険料率は、法律や制度の変更に基づいて毎年見直されます。
- 健康保険・介護保険:協会けんぽや健保組合が毎年度、見直し・決定
- 厚生年金保険:全国一律で定められており、法改正の経過措置に従って変動していたが、現在は固定
- 雇用保険・労災保険:国の財政状況や給付実績を踏まえて年度ごとに見直し
厚生年金保険料率は固定となっていますが、健康保険や介護保険、雇用保険は変動します。
そのため「昨年と同じ料率だから大丈夫」と思い込むのは危険です。4月や10月の改定時期には最新の料率を必ず確認し、給与計算ソフトやエクセルの計算式を更新することが欠かせません。
会社と従業員の負担割合(折半のルール)
社会保険料の大きな特徴は、会社と従業員で負担を分け合う仕組みになっていることです。
- 健康保険・厚生年金:原則「会社と従業員が折半」
- 介護保険:40歳以上の従業員が対象、こちらも折半
- 雇用保険:一部は会社負担が多め(労働者負担:0.6%程度、事業主負担はその2倍近くになることも)
- 労災保険:全額を会社が負担
経理・人事担当者にとって重要なのは、「控除額」と「会社負担額」を正しく算出し、給与明細と納付金額に齟齬がないようにすること」に尽きると言えます。
【2025年度最新】社会保険料率一覧表【まとめ】
2025年度の各保険の料率を、給与計算・賞与計算でそのまま使える形で一覧化しました。
健康保険(協会けんぽ/組合健保)、介護保険(40~64歳)、厚生年金、雇用保険、労災保険について、適用範囲・改定時期・労使負担の観点で要点を整理しています。
実務では「どの保険者/業種区分の率を見るか」「月例と賞与で計算基礎が異なるか」「労使の按分」を取り違えやすいため、一覧表の前に各保険の読み方と注意点を短く押さえておきましょう。
健康保険料率(協会けんぽ・組合健保)
健康保険の料率は、協会けんぽは都道府県単位で毎年度見直しがあり、通常は3月分(4月納付)から改定されます。
組合健保は組合ごとに料率が異なり、独自の付加給付や財政状況に応じて決定されるため、加入先の保険者名で最新の料率を必ず確認してください。
計算は標準報酬月額・標準賞与額を基準とし、会社と従業員で折半します。なお、40~64歳の被保険者には介護保険料率が上乗せされるため、年齢による控除額の変動(40歳到達・65歳到達の月の扱い)にも注意が必要です。
協会けんぽにおける
令和7年3月分(4月納付分)からの健康保険料率表
【一例】健康保険組合ごとの令和7年3月分(4月納付分)からの健康保険料率表
| 保険料/保険者 | 関東ITソフトウェア健康保険組合 | 日本マクドナルド健康保険組合 | 東京不動産業健康保険組合 | |||
| 従業員負担 | 会社負担 | 従業員負担 | 会社負担 | 従業員負担 | 会社負担 | |
| 保険料率 | 4.75% | 4.75% | 5.6% | 5.6% | 4.5% | 4.5% |
| 保険料率計 | 9.5% | 11.2% | 9.0% | |||
| 備考 | 他の健康保険組合については、各健康保険組合のHPにてご確認ください。 | |||||
介護保険料率(40歳以上64歳までの従業員が対象)
介護保険料率は、40~64歳(第2号被保険者)の健康保険加入者に適用され、健康保険料に上乗せで徴収(労使折半)されます。
協会けんぽの場合は原則として年度単位で改定され、適用は健康保険の改定時期に連動します。40歳から適用が始まり、64歳まで続くため注意が必要です。
組合健保に加入している場合は、組合ごとに介護保険料率が異なることがあるため、健康保険の料率とあわせて同一ソースで確認・更新するとミスを防げます。
令和7年3月分(4月納付分)からの介護保険料率
| 保険料/保険者 | 協会けんぽ加入の事業所 | 健康保険組合加入の事業所 (例:関東ITソフトウェア健康保険組合) | ||
| 従業員負担 | 会社負担 | 従業員負担 | 会社負担 | |
| 保険料率 | 0.795% | 0.795% | 0.9% | 0.9% |
| 保険料率計 | 1.59% | 1.8% | ||
| 備考 | 令和6年の介護保険料率は「1.60%」のため 令和7年は「-1.0%」となっています。 | 他の健康保険組合については、各健康保険組合のHPにてご確認ください。 | ||
厚生年金保険料率
厚生年金の保険料率は18.3%で据え置きとなっており、会社と従業員で折半(各9.15%)します。計算の基礎は標準報酬月額・標準賞与額で、賞与には上限(標準賞与額の上限)がある点に留意が必要です。
資格取得・喪失が月の途中にある場合の扱い、月額変更(随時改定)や定時決定の反映時期など、標準報酬の運用ルールが実際の控除額に影響しますので注意しておきましょう。
令和7年度(令和7年3月分から)の厚生年金保険料率と子ども・子育て拠出金率
| 保険料/保険者 | 厚生年金保険の内訳 | ||
| 従業員負担 | 会社負担 | 合計 | |
| 厚生年金保険料率 | 9.150% | 9.150% | 18.3% |
| 子ども・子育て拠出金率 | 負担なし | 0.36% | 0.36% |
| 備考 | 子ども・子育て拠出金とは子育て支援の財源に充てるための拠出金で、事業主が全額負担します。拠出金率は全国一律で毎年度見直しされます。 | ||
【参考】直近10年程度の厚生年金保険料率の推移
| 保険料率改定時期 | 厚生年金保険料率 |
|---|---|
| 2013年9月(平成25年9月) | 17.120% |
| 2014年9月(平成26年9月) | 17.474% |
| 2015年9月(平成27年9月) | 17.828% |
| 2016年9月(平成28年9月) | 18.182% |
| 2017年9月(平成29年9月) | 18.3% (これ以降は保険料率固定) |
雇用保険料率(労働者負担・事業主負担)
雇用保険は年度(4/1~翌3/31)ごとに料率が設定され、労働者負担分と事業主負担分に分かれる点が特徴です。
さらに、「一般の事業」「農林水産・清酒」「建設」など事業の区分によって料率が異なるため、会社の事業区分を労働保険の手続きで特定しておくことが前提になります。
計算は賃金総額に料率を乗じて行い、従業員負担分は給与から控除、事業主負担分は会社負担として計上します。
令和7年度(令和7年4月1日~令和8年3月31日)の雇用保険料率
| 事業の種類/負担者 | 雇用保険料の内訳 | ||
| 従業員負担 | 会社負担 | 合計 | |
| 一般の事業 | 0.55% (5.5/1000) | 0.9% (9/1000) | 1.45% (14.5/1000) |
| 農林水産 清酒製造の事業 | 0.65% (6.5/1000) | 1.0% (10/1000) | 1.65% (16.5/1000) |
| 建設の事業 | 0.65% (6.5/1000) | 1.1% (11/1000) | 1.75% (17.5/1000) |
| 備考 | 雇用保険の会社負担分には、一般の失業等給付に加えて、事業主のみが負担する「二事業(雇用安定事業・能力開発事業)」の保険料が含まれています。 | ||
【参考】雇用保険料率の推移について
過去の雇用保険料率については、下記コラム記事にて詳しく解説しています。気になる方はぜひご一読いただければ幸いです。

労災保険料率(業種ごとに異なる)
労災保険は全額を事業主が負担し、業種(細分類)の災害リスクに応じて料率が異なる仕組みです。
雇用保険とあわせて毎年「労働保険の年度更新(概算・確定)」で申告・納付を行います。鉱業・製造・運輸・建設など危険度が相対的に高い業種は料率も高くなる傾向があるため、事業内容の変更や新規部門の立ち上げ時には、業種区分の見直しが必要になります。
派遣や請負、出向など複数の使用関係が絡む場合の適用関係にも注意し、元請・派遣元など実際の使用者の確認を怠らないことが、過少・過大申告を防ぐポイントです。
令和7年度(令和7年4月1日~令和8年3月31日)の雇用保険料率
| 労災保険率 | 特別加入保険料率 | 労務費率 | 一般拠出金率 | |
| 料率 | 0.25%〜8.8% ※業種による | 0.3%〜5.2% ※業種による | 17%〜38% ※業種による | 0.002%(0.02/1,000) |
| 詳細 | 労災保険料率表 | 特別加入保険料率 | 労務費率表 | 業種を問わず一律 |
【簡易版】2025年度の社会保険料の要点をまとめて確認
| 保険の種類 | 対象・種別 | 料率(2025年度) | 備考 |
|---|---|---|---|
| 健康保険 (協会けんぽ) | 都道府県別 | 各都道府県ごとに決定 全国平均:10.00% | 都道府県で差あり (例:佐賀 10.78%/沖縄 9.44%) |
| 厚生年金保険 | 一律 | 18.3% | 2017年9月以降 変更なし |
| 介護保険 (第2号被保険者) | 40〜64歳対象 | 1.59% | 前年より 0.01%引き下げ |
| 雇用保険 (一般の事業) | 労使合計 | 労働者:0.55% 事業主:0.9% | 労使ともに引き下げ |
| 労災保険 | 業種ごと | 変更なし | 2024年度と同じ料率 |
社会保険に関するよくある疑問をQ&A形式で解説
社会保険は給与計算や生活に直結する大切な制度ですが、「料率はどのくらい?」「賞与にもかかるの?」「未納するとどうなる?」など、意外と分かりにくい点が多くあります。
特に経理・人事担当者や働く人にとっては、毎月の給与明細や年末調整、休職時の対応など、実務に直結する疑問が尽きません。
ここでは、社会保険に関するよくある質問をQ&A形式でわかりやすく解説します。基礎的なポイントから実務で役立つ知識まで、押さえておきたい内容をまとめましたので、ご確認ください。
まとめ:2025年度の社会保険料率を正しく理解し、実務に活かそう
2025年度の社会保険料率は、給与計算や人件費管理に直結する重要な情報です。社会保険には広義と狭義の区分があり、健康保険・介護保険・厚生年金に加え、雇用保険や労災保険も含まれます。それぞれの料率は年度ごとに見直され、負担割合や納付方法には明確なルールがあります。
経理・人事担当者にとって大切なのは、最新の料率を正しく把握し、給与計算システムや社内運用へ適切に反映させることです。本記事で解説した基本構造と注意点をご参考に、計算ミスや納付漏れを防ぎ、安心して実務を進めていただければ幸いです。



