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労働者代表とは?選出方法や注意点を社労士が解説

労働者代表 選出方法
本記事ではこのようなお悩みを解決いたします
  • 労働者代表が持つ役割を知りたい
  • 毎年労働者代表は同じ人にお願いしていたが、リスクがあるのか気になる
  • そもそも労働者代表の決め方が分からない

経営者、人事労務担当者の方であれば「労働者代表」や「従業員代表」という役割について聞いたことがあるのではないでしょうか。

労務管理を進める上で「労働者代表の署名が必要」な書類作成を行う場面もありますが、経営者の方とやり取りをする中で「労働者代表の選出」が適切に行われておらず、書類作成のためだけに対応をされているケースがよく見受けられます。

しかしながら、労働者代表の選び方を間違えてしまうと一定のリスクやトラブルに繋がってしまう場合がありますので、注意が必要です、

今回は労働者代表の選出方法や注意点について解説をいたしますのでぜひご参考にしてください。

執筆者プロフィール

矢野 貴大

TSUMIKI社会保険労務士事務所/代表・社会保険労務士

金融機関・社会保険労務士法人・国内大手コンサルティング会社を経て大阪で社会保険労務士事務所を開業。

25歳で社労士資格を取得した後、社会保険労務士・経営コンサルタントとして延べ200社を超える企業・経営者をサポートする。その経験を活かし「想いを組み立て、より良い社会環境を形づくる」というMISSIONに向かって日々活動中。

このページの概要

労働者代表(従業員代表)とは?

労働者代表とは、その企業に勤めるすべての労働者の過半数を代表する方のことです。

企業と従業員の間で、一部の労働条件を取り決める際に労使協定を締結する必要があります。

この際、会社が提示する労働条件が問題ないのか確認する役割は、その事業所の従業員の過半数で組織する労働組合になりますが、中小企業によっては労働組合を持っていない場合もあります。

労働組合がない企業が労使協定を締結するときに限り、労働者の過半数を代表する者(労働者代表)とそのやり取りを行うことができるのです。

また「従業員代表」という言葉もありますが、これは労働者代表と同様の意味です。労働基準法上では「労働者代表」と記載されていますが、企業内で利用する言葉としては固い表現のため「従業員代表」と呼ばれることがあります。

「労働者の過半数を代表する」とは、正社員だけでなく、パートやアルバイトなど雇用形態に関わらず、すべての労働者の過半数を代表している必要があるため注意してください。

労働者代表の役割

労働者代表は、

  • 会社と労働者の間で締結する労使協定を確認・問題がなければ署名をする
  • 就業規則の作成や見直しの際に、その内容について意見を出す

労働者を代表する者として、現場の声を会社に伝える役割があります。

労使協定

会社と従業員の間で、一定の労働条件を定める際に書面を通じた協定を締結し、これを「労使協定」と呼びます。労働者代表は、この労使協定の内容を確認し、署名をする責任を持ちます。

労使協定の種類としては

  • 賃金控除に関する協定
  • 1ヶ月単位の変形労働時間制に関する協定
  • フレックスタイム制に関する協定
  • 1年単位の変形労働時制に関する協定
  • 一斉休憩の適用除外に関する協定
  • 時間外・休日労働に関する協定(36協定)
  • 年次有給休暇の計画的付与に関する協定
  • 育児休業制度の適用除外に関する協定
  • 介護休業の適用除外に関する協定

主にこれらの書類が、多くの企業で整備されています。

就業規則

就業規則を作成・見直しする際に、労働者代表の意見を聞くことが義務付けられています。労働者代表は就業規則の内容が

  • 労働者側に不利益になっていないか
  • 実際の労働環境とあっているのか

確認をし、意見の有無および、意見を陳述します。企業はその意見をまとめ、就業規則の添付書類として労働基準監督署に届け出をしなければなりません。

労働者代表から反対意見があったとしても、労働諸法令に反していない限り就業規則は効力を持ちます。しかしながら、反対意見を無視して運用を続けると組織風土は低下しますので、意見が出た場合はしっかりと理由をヒアリングしましょう。

労働者代表に任期はある?

労働基準法をはじめ、関連する労働諸法令において労働者代表の任期は定められていません。ただし、

  • 36協定の有効期間を必ず1年間は定める必要がある(短い場合でも1年間)
  • 人事異動をはじめ、従業員の入社や退社といった人員配置に動きがある

上記を考慮し、労働者代表の任期を1年に設定している企業が多いと考えられます。

労働者からすると「自分はいつまで代表になるのだろう」と不安感もあると思いますので、任期についても決めて説明されることをおすすめいたします。

労働者代表を選ぶ際の注意点・よくある懸念点

労働者代表の選出が不適切の場合、会社や使用者に対して罰則は設けられていませんが、締結した労使協定が無効になります。

例えば、従業員を残業させるために必要な「時間外・休日労働に関する協定(36協定)」自体も無効となってしまいますので、残業をさせる行為自体が法律違反になってしまうのです。

労働者代表の選出を適切に進めるためにも、注意点をご確認ください。

近年、労働基準監督署の調査において「労働者代表自身にヒアリングを行う」ケースも見受けられます。そのため、会社全体として適切な管理をしていなければ、労働者代表の選出が不適切として是正指導に繋がる可能性がありますので注意してください。

会社(使用者)から指名してはいけない

会社から労働者代表を指名してはいけません。

労使協定や就業規則の内容について、反対意見がでないよう作為的に労働者代表を選ぶことは禁止されており、締結した労使協定は無効になります。

管理監督者は労働者代表になれない

労働基準法上での管理監督者とは

  • 経営者と一体的な立場で仕事をしている
  • 勤務時間について厳格な制限を受けていない
  • その地位にふさわしい待遇・報酬を得ている

上記のように、職務内容や責任・権限、勤務態様や待遇を踏まえて企業の管理職として働く労働者のことを指します。管理監督者に該当する場合、その方は労働者代表になることはできません。

一般的な企業においては「部長」や「マネージャー」のような役職が該当する場合がありますが「上位の役職=管理監督者」ではない点はご注意ください。

人事・労務担当者でも問題ない

「人事や労務担当者は労働者代表にしても良いのか?」とご相談いただくことがありますが、労働者代表の要件の中に、職務や業務内容は含まれいないため、人事担当者が労働者代表になることは可能です。

毎年同じでも問題はないが、適切に選出する

労働者代表は、毎年同じでも問題ではありません。しかしながら、その選出が

  • 会社から圧力をかけて指名しているのではないか?
  • 合理的な方法で選出できていないのではないか?

上記のような懸念事項に繋がる点は留意が必要です。

拠点がある場合は原則事業所ごとに選出が必要

同じ会社であっても、営業所や拠点展開をしている場合はその事業所ごとに労使協定を締結する必要があり、労働者代表もその事業所で働く方から選出しなければなりません。

そのため、労働者代表は「1法人につき1名」ではなく「1事業所につき1名」となります。

労働者代表が人事異動や退職をした場合

労働者代表自身が、別の事業所に転勤になったり、退職をしてしまっても当時締結した労使協定が無効にはならないため、ご安心ください。

あくまでも、労使協定を締結する時点での労働者代表となりますので、労使協定の有効期間内に労働者代表が事業所を離れることになったとしても直ちに問題になることはありません。ただし、労使協定を更新する際には新しい労働者代表を選出しましょう。

労働者代表の選出方法

労働基準法上、労働者代表は「労働者の過半数が、候補者に対して支持をしている」ことが必要であり、民主的な手続きを求めています。

また、労働者の過半数については

  • 正社員だけでなく、パートやアルバイト、有期契約社員など雇用形態に関わらない
  • 一般社員だけでなく、管理監督者も含める

上記のように、その事業所で働く労働者が該当する点はご注意ください。

選出方法としては「選挙・投票」「候補者を決めて回覧」がよく実施されていますので、手続きの流れを簡単にご紹介します。

挙手・投票

挙手や投票を行い過半数の支持を得た方を代表に指名する最も民主的な方法です。全労働者が集まる会議や、各営業店舗ごとに取りまとめて実施となります。

候補者を決めて回覧

予め労働者代表となる方をピックアップしておき、回覧にて労働者に周知・信任を得る形です。この場合は「◯◯氏を労働者代表として候補としますが、意見はありますか」のような文面を用意し

  • 中小企業ではメールや回覧文章の通知
  • 大企業ではイントラネットによる掲示

企業の規模によって、労働者が確認しやすい回覧方法にて実施をしましょう。

名ばかりではない労働者代表を選定し労務管理をしましょう

「労使協定を作成するために必要だから」といって、労働者代表を適当に選定するとリスクはあります。

また、労使協定や就業規則の作成は労働環境の見直しに繋がる大切な取り組みですので、労働者代表の方から現場の声を集約いただき、労使ともに協力して組織改善を図ってみてはいかがでしょうか。

TSUMIKI社会保険労務士事務所では、労働者代表の選定から、労働者代表にも協力をいただきながら労務環境の向上を目指すコンサルティングなどを行っております。従業員の働きやすい環境作りにご興味のある経営者の方は、お気軽にご相談くださいませ。

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