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「不手際」とはどのような意味?正しい使い方・類語・お詫び表現まで解説

本記事ではこのようなお悩みを解決いたします
  • 「不手際」の正しい意味やニュアンスを理解したい
  • ビジネスや日常で使える具体的な例文・言い回しを知りたい
  • 謝罪の場で適切に使える表現や類語との違いが整理したい

日常生活やビジネスの場面でよく耳にする「不手際」という言葉。

取引先への連絡や社内でのやり取りなど、ちょっとした行き違いや準備不足があった際に使われることが多いですが、その正確な意味やニュアンスを理解している人は意外と少ないかもしれません。

実際には「失敗」や「ミス」とは微妙に異なるニュアンスを持ち、状況に応じた適切な使い方が求められます。今回のコラム記事では、「不手際」の正しい意味や類語との違い、さらにお詫びの表現例まで広くご紹介いたします。正しい言葉選びを身につけることで、円滑な人間関係やビジネスコミュニケーションに役立つと思いますので、ぜひご一読ください。

このページの概要

「不手際」はどのような意味?読み方は?

「不手際」という言葉は、日常的にもビジネスシーンでも使われることが多い表現です。

しかし、単に「失敗」と片づけてしまうと本来のニュアンスを見誤る可能性があります。ここでは語源や読み方から、正しい意味と辞書的な定義までを整理して解説します。

「不手際」の語源・読み方

「不手際」は漢字で

  • :打ち消し、否定の意味を表す接頭語
  • 手際:物事を行う腕前、処理のしかた、要領

上記を組み合わせた言葉です。

読み方は 「ふてぎわ」 であり、「ふていわ」「ふてざま」などと誤読されることもあるため注意が必要です。

つまり、物事を行う腕前ややり方が悪いこと処理がまずいことを意味する言葉として使われるようになりました。

「不手際」の意味・ニュアンス:「手際」との関係は?

「不手際」は、必ずしも重大な失敗や過失を意味するわけではありません。

多くの場合、

  • 準備不足や段取りの悪さ
  • ちょっとした行き違い
  • 対応がスムーズにいかなかった状況

といったニュアンスで使われます。

つまり「致命的なミス」よりも「配慮不足や進行上の不具合」をやわらかく表現する言葉といえるでしょう。これは「手際が良い」の反対語的な意味合いを持つため、相手に伝える際も角を立てずに謝罪や説明をする際に便利です。

国語辞典での定義と用例

精選版 日本国語大辞典によると、「不手際」は以下のように定義されています。

不手際(ふてぎわ):手ぎわのわるいこと。やり方がまずいこと。できが悪いこと。また、そのさま。

精選版 日本国語大辞典 「不手際」の意味・読み・例文・類語 より

用例としては、

  • 「会議の準備に不手際があり、ご迷惑をおかけしました」
  • 「手続きに不手際が生じ、時間をいただくことになった」

など、特に謝罪や報告の文脈で多用されます。

このように「不手際」という言葉には、自己のミスを認めつつもやわらかく伝える役割があるのです。

不手際が使われる場面と例文

「不手際」という言葉は、フォーマルな場面でよく使われるものの、使いどころを誤ると堅苦しさや不自然さを与えてしまうこともあります。

ここではビジネスと日常、それぞれの文脈に分けて具体例を紹介します。

ビジネスシーンでの不手際の使い方

ビジネスにおいて「不手際」は、謝罪や説明を行う際の常套句です。

単なる「失敗」や「ミス」と言うよりも、柔らかくかつ丁寧に聞こえるため、相手に対して誠意を伝えるうえで有効な表現となります。

メール・謝罪文で使う例文

ビジネスメールや公式文書では、次のように使うのが一般的です。

メール・謝罪文で「不手際」を用いた例文
  • 「本日の会議運営に不手際があり、皆様にご迷惑をおかけしました。」
  • 「資料送付の手続きに不手際があり、到着が遅れましたことを深くお詫び申し上げます。」
  • 「弊社の不手際により、ご不便をおかけしましたことを心よりお詫び申し上げます。」

このように「不手際」という表現を用いることで、過失を認めつつも過度に自責的にならず、相手への配慮を感じさせる文章になります。

クレーム対応・顧客対応での使い方

顧客対応やクレーム処理においては、「不手際」は特に重宝される言葉です。相手の不満を受け止めつつ、落ち度を認める姿勢を示すことができるからです。

クレーム対応・顧客対応での「不手際」の使い方
  • 「このたびは弊社対応に不手際があり、ご不快の念をおかけしましたことをお詫び申し上げます。」
  • 「商品の発送手続きに不手際があり、予定より遅れてしまいました。以後このようなことのないよう努めてまいります。」

ただし、繰り返し同じ表現を多用すると誠意に欠ける印象を与えかねません。「手違い」「不行き届き」などの類語と使い分けることも重要です。

日常・友人関係で使う場面と注意点

日常会話や友人関係では「不手際」という表現はやや堅苦しく響くため、多用は避けた方がよいでしょう。

例えば、飲み会の幹事を務めた際に「準備に不手際があって…」と使うのは適切ですが、親しい相手に「不手際があった」と言うと堅苦しく距離を感じさせてしまう場合があります。

日常シーンでは、よりくだけた表現である「手違い」「段取り不足」「うまくいかなかった」などを使う方が自然です。一方で、あえて丁寧に言いたいときに「不手際」という言葉を選ぶと、大人らしい誠実な印象を与えることができるでしょう。

不手際と似た言葉:類語・言い換え表現

「不手際」という言葉は便利な反面、繰り返し使うと単調に聞こえてしまうため、状況に応じて類語を取り入れることが効果的です。

ただし、似た表現でもニュアンスや使える場面が微妙に異なるため、正しく選ぶことが重要となります。

代表的な類語一覧:失態・落ち度・不行き届き等

不手際の代わりに使える代表的な類語は次のとおりです。

類語・言い換え表現意味適切な使用例
手違い(てちがい)手順や手配の間違いに焦点を当てた言葉。「こちらの手違いで、ご注文と異なる商品を発送してしまいました。」
落ち度(おちど)不注意や怠慢から生じた過ちや過失。
誰に責任があるかを明確にするニュアンスが強いです。
「今回のミスは、完全に私どもの落ち度でございます。」
不備(ふび)必要なものが揃っていないこと、準備や内容が不十分なこと。
資料や手続きなど、完成度が足りない状態に対して使われます。
「提出資料に不備があり、ご迷惑をおかけしました。」
不始末(ふしまつ)対応や処理が不十分だった結果、人に迷惑をかける行為や結果が生じたこと。「部下が引き起こした不始末につきまして、深くお詫び申し上げます。」
過失(かしつ)不注意や怠慢によって生じた失敗。
特に法律用語としても使われる硬い表現で、「故意ではないミス」という意味合いがあります。
「弊社の過失により生じた損害につきましては、責任をもって対応いたします。」

これらはいずれも「不手際」と近い意味を持ちますが、表す範囲や重さが異なるため、文脈に応じて言い換える必要があります。

類語と「過失」のニュアンスの違い

同じ「失敗」を意味する言葉でも、次のようにニュアンスが異なります。

  • 手違い:「不手際」が能力・技量不足まで含んだ広いミスを指すのに対し、「手違い」は事務的なミスや段取りの誤りに限定されます。
  • 落ち度:「不手際」よりも、うっかりミスなど不注意の意味合いが強調されます。
  • 不始末:「不手際」よりも「結果としての事態の悪さ」に重きが置かれます。

このように、同じ「失敗」や「過ち」を指す言葉でも、場面や相手との関係性によって最適な選択肢が異なります。

ビジネスでは「不手際」「不行き届き」、深刻な場面では「失態」「落ち度」など、シーンに合わせた言い換えを心がけるとよいでしょう。

謝罪表現としての不手際:上手に使うコツ

「不手際」は、謝罪の場面で非常に使いやすい表現ですが、その使い方を誤ると相手に誠意が伝わらなかったり、逆に軽く受け止められてしまうこともあります。

ここでは謝罪文での基本的な型から、表現のバリエーション、さらには英語での言い換えまでを解説します。

謝罪文での基本型:構成:謝罪 → 経緯説明 → 再発防止 → 決意

謝罪文においては、以下のような流れを押さえると誠意が伝わりやすくなります。

謝罪文で意識すべき構成
  1. 謝罪:「このたびは弊社の不手際により、ご迷惑をおかけしました。」
  2. 経緯説明:「資料の確認体制に不備があり、誤った内容を送付してしまいました。」
  3. 再発防止:「今後は二重チェック体制を導入し、同様の不手際が起こらぬよう努めてまいります。」
  4. 決意:「この経験を踏まえ、より一層の改善に取り組んでまいります。」

このように「不手際」という言葉を起点にしながら、誤りを認め、改善の姿勢を示すことで、単なる謝罪にとどまらず信頼回復へとつなげることができるでしょう。

言い回しのバリエーション(「不手際により」「不手際をお詫び」など)

「不手際」という言葉は便利ですが、同じ形で繰り返すと単調に響いてしまいます。文脈に合わせて以下のような言い回しを使い分けると効果的です。

  • 「弊社の不手際により、ご不便をおかけしました。」
  • 「手続きの不手際について、深くお詫び申し上げます。」
  • 「会の進行に不手際があり、円滑な運営ができませんでしたことをお詫びいたします。」
  • 「準備に不手際があり、ご期待に沿えなかったことを申し訳なく存じます。」

このように「不手際により」「不手際について」「不手際があり」といったバリエーションを意識すると、表現が自然に広がります。

英文・英訳で「不手際」はどう表現する?

英語で「不手際」を直訳するのは難しいため、状況に応じてニュアンスを近づける表現を選ぶのが適切です。代表的には以下のような言い換えができると思われます。

  • due to our oversight(私たちの見落としにより)
  • because of our mishandling(私たちの不適切な対応により)
  • we sincerely apologize for the inconvenience caused by our mistake
    (私たちのミスによりご不便をおかけしましたことを心よりお詫び申し上げます)

「不手際」をそのまま訳すのではなく、状況を説明する形で伝えることがポイントです。相手に誠意を示すうえで、英語でも謝罪のプロセス(謝罪 → 経緯説明 → 再発防止)を意識することが大切でしょう。

まとめ:不手際の意味を正しく理解し、適切に使い分けよう

「不手際」という言葉は、単なる「失敗」や「ミス」とは異なり、段取りの悪さや配慮不足をやわらかく表現する便利な表現です。特にビジネスシーンにおいては、謝罪や説明の場で多用され、誠意を伝えつつ角の立たない言い回しとして役立ちます。

  • 読み方は「ふてぎわ」で、「手際」の否定形から成り立つ。
  • 顧客対応やメールなどフォーマルな場で効果的に使える。
  • 類語には「失態」「落ち度」「不行き届き」などがあり、場面に応じて言い換えるとより自然。
  • 謝罪表現として用いる際は、「謝罪 → 経緯説明 → 再発防止 → 決意」の流れを意識すると信頼回復につながる。

正しく理解し、状況に応じて使い分けることで、言葉選びに磨きがかかり、より円滑で誠実なコミュニケーションが実現できるでしょう。

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