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令和7年度(2025年)の雇用保険料率の最新計算方法【会社担当者が押さえるべきポイント】

本記事ではこのようなお悩みを解決いたします
  • 雇用保険料率の変更点が複雑で、何をどう確認すればいいかわからない
  • 給与計算や賞与支給時の反映方法に自信がない
  • 年度更新や労務処理でミスを防ぐチェックポイントが知りたい

2025年度(令和7年度)から、雇用保険料率が従来より わずかに引き下げられました。

厚生労働省によると、一般事業では従業員・事業主ともに失業等給付・育児休業給付に係る保険料率が5.5/1,000(0.55%)、事業主分の雇用保険二事業は3.5/1,000(0.35%)で、合計14.5/1,000(1.45%)となります。

このように毎年4月に新しい雇用保険料率の適用が開始されますが、実務的には給与締め日や支払日が異なる場合、適用開始のタイミングがずれる点にも注意が必要です。

本記事では、こうした料率改定のポイントを簡潔かつ実務者目線で整理し、「計算方式」と「給与計算上の注意点」をわかりやすく解説しますので、ご参考になれば幸いです。

」は1000分の1を1とする単位となります。そのため「5.5‰=0.55%」のため、ご注意ください。

このページの概要

令和7年度(2025年度)雇用保険料率改定の概要

2025年度(令和7年度)より、雇用保険料率が一部業種を除いて引き下げられました。

これは、経済回復の兆しや雇用情勢の安定化を受けた措置であり、企業・従業員双方にとって重要な変更点です。とくに給与計算や社会保険手続きに関わる実務担当者は、最新の料率を正確に把握し、適切な処理を行うことが求められます。

そもそもなぜ雇用保険料率は改定される?背景や意義

雇用保険制度は、失業時の生活支援や再就職支援、育児・介護といったライフイベントへの対応を目的とした社会保険制度です。近年はコロナ禍に伴う雇用調整助成金の支出増により保険財政が悪化し、料率の引き上げが続いていました。

しかし、令和6年度以降は企業活動の正常化が進み、失業率も一定水準で推移していることから、厚生労働省は「制度の安定性を確保しつつ、事業主・労働者の負担軽減を図る」として、令和7年度の料率を引き下げました。

この改定により、企業における人件費の圧縮や、従業員の手取り増加といった間接的なメリットも期待されています。

令和7年度の雇用保険料率(業種別)

2025年度の雇用保険料率は、以下のとおり業種別に設定されています。

引用元:令和7(2025)年度 雇用保険料率のご案内より

各料率は、給与および賞与に対して適用されるため、支給月ごとの管理が必要です。また、給与締め日によって新料率の適用タイミングが異なるケースもあるため、社内規定や給与ソフトの設定変更もあわせて確認しておきましょう。

一般の事業(オフィス業・小売業・製造業など)

事業の種類/負担者①従業員負担②会社負担雇用保険料率
(①+②)
一般の事業0.55%
(5.5/1000)
0.9%
(9/1000)
1.45%
(14.5/1000)

農林水産・清酒製造の事業

事業の種類/負担者①従業員負担②会社負担雇用保険料率
(①+②)
農林水産・
清酒製造の事業
0.65%
(6.5/1000)
1.0%
(10/1000
1.65%
16.5/1000

農林水産のうち、園芸サービス、牛馬の育成、酪農、養鶏、養豚、内水面養殖および特定の船員を雇用する事業については一般の事業の率が適用されます。

建設の事業

事業の種類/負担者①従業員負担②会社負担雇用保険料率
(①+②)
建設の事業0.65%
6.5/1000
1.1%
11/1000
1.75%
17.5/1000

会社(事業主)が負担する雇用保険料率【業種別】

雇用保険料は、労働者と事業主の双方が負担しますが、その料率や構成は業種によって異なります。特に事業主側には「雇用保険二事業」に係る負担が追加されるため、総負担額は労働者よりも高くなるのが一般的です。以下では、業種別に具体的な料率を整理します。

一般の事業における事業主が負担する雇用保険料率の詳細

もっとも対象範囲が広いのが「一般の事業」で、オフィスワーク、販売業、製造業などが該当します。令和7年度の事業主負担料率の内訳は以下の通りです。

事業主負担分「0.9%」の内訳

失業等給付・育児休業給付の保険料率として
「0.55%」

雇用保険二事業分の保険料率として
「0.35%」

事業主は、労働者の分を給与から天引きし、自己負担分と合算することになります。令和7年度の雇用保険料率は、料率改定により昨年度よりもわずかに負担軽減されています。

農林水産・清酒製造業における事業主が負担する雇用保険料率の詳細

第一次産業や伝統産業などに該当する「農林水産・清酒製造業」では、一般の事業よりも料率がやや高く設定されています。

事業主負担分「1.0%」の内訳

失業等給付・育児休業給付の保険料率として
「0.65%」

雇用保険二事業分の保険料率として
「0.35%」

業界特性上、失業等給付の財源確保の観点から高めの料率設定となっていると考えられます。

建設業における事業主が負担する雇用保険料率の詳細

労働移動や安全対策への支援が重視される建設業では、さらに高い保険料率が適用されています。

事業主負担分「0.9%」の内訳

失業等給付・育児休業給付の保険料率として
「0.65%」

雇用保険二事業分の保険料率として
「0.45%」

特に注意すべきは、二事業分の料率が他業種より高い点です。これは、建設業特有の雇用変動リスクや安全教育の必要性に対応するためです。

雇用保険料の計算方法(給与・賞与への具体的な反映方法とは)

雇用保険料は、毎月の給与や賞与に対して適用されるため、正確な計算方法の理解が必要です。特に端数処理や料率変更時の適用タイミングについては、実務上のミスが発生しやすいため注意が必要です。

基本的な計算式と端数処理ルール

従業員から徴収する雇用保険料の計算は非常にシンプルで、以下の式で求められます。

雇用保険料額 = 従業員の賃金総額 × 雇用保険料率

従業員の賃金総額には、以下のものが含まれるため注意が必要です。

  • 毎月の基本給
  • 時間外手当・休日手当・深夜手当など各種割増賃金
  • 精皆勤手当、技能手当、通勤手当など各種諸手当

なお、雇用保険料を算出すると1円以下の端数が発生する場合が多々あります。

このとき、端数処理のルールとしては以下のように定められています。

給与から雇用保険料を天引きする場合

  • 従業員負担分の端数が50銭以下の場合は切り捨て
  • 50銭1厘以上の場合は切り上げ

従業員が現金で事業主へ払う場合

  • 従業員負担分の端数が50銭未満の場合は切り捨て
  • 50銭以上の場合は切り上げ

ただし、従業員に不利にならないように端数処理を行うなど、会社に慣習的な取り扱いがある場合には、上記の限りではありません。

たとえば、給与から従業員負担分となる雇用保険料を天引きする場合、「給与額:249,999円」×「雇用保険料率:0.55%」=「雇用保険料:1,374.9円」となり、実務上では「1,375円として給与から天引きします。

給与締日・支払日の適用タイミングの注意点

2025年度の雇用保険料率は、原則として令和7年4月1日以降に支払われる賃金から適用されます。ただし、適用の正確なタイミングは給与体系によって異なります。

ここでは、一般の事業会社における例として

  • 20日締め・当月末日払い
  • 月末締め・翌月25日払い

上記の2つの締め日・支払い日をもとに、タイミングについて確認していきましょう。

給与計算ソフトなどで自動反映されない場合は、手動での料率設定変更が必要となることもあるため、必ず確認しておきましょう。

20日締め・当月末日払いの雇用保険料変更のタイミング

締め日支払日雇用保険料率
3月20日3月31日6/1000
4月20日4月30日5.5/1000

月末締め・翌月25日払い雇用保険料変更のタイミング

締め日支払日雇用保険料率
3月31日4月25日6/1000
4月30日5月25日5.5/1000

上記のように、給与計算の締め日によって雇用保険料率の適用時期が異なりますので注意が必要です。

給与計算の締め日・支払日の考え方は下記コラム記事で詳しく解説していますので、併せてご一読ください。

改定後の雇用保険料率を賞与計算に反映するタイミングは?

賞与計算の場合は「賞与の金額が確定した日」によって、適用すべき雇用保険料率が異なります。

この賞与金額の確定日とは、いわゆる「賞与の計算対象期間」と「賞与の確定日」が関連しています。

例えば、2025年4月30日に支払う賞与であっても、新旧保険料のどちらが適用されるのか、賞与の金額が確定した日によって雇用保険料率が違いますので、注意をしましょう。

6/1,000の保険料で計算するケース5.5/1,000の保険料で計算するケース
計算対象期間:2024年10月1日〜2025年3月31日
賞与金額の確定日:3月31日
計算対象期間:2024年10月1日〜2025年3月31日
賞与金額の確定日:4月1日
賞与の支給日が2025年4月30日とした場合

労働局に問い合わせて確認したところ、賞与金額の決定時期は会社によって異なり、実務上曖昧になる場合があるそうです。この場合「計算確定日が証明できるのかどうか」がポイントになると教えていただきましたので、ご参考ください。

【具体的な計算方法】雇用保険料の計算例:一般の事業の場合

以下は、一般の事業における雇用保険料の具体的な計算例です(令和7年度・2025年4月以降適用)。

給与構成賃金の合計従業員
負担額の計算例
(0.55%)
事業主
負担額の計算式
(0.55%)
雇用保険料合計
基本給+諸手当等200,000円200,000×0.55%
=1,100円
200,000×0.9%
=1,800円
2,900円
300,000円300,000×0.55%
=1,650円
300,000×0.9%
=2,700円
4,350円
400,000円400,000×0.55%
=2,200円
400,000×0.9%
=3,600円
5,800円
500,000円500,000×0.55%
=2,750円
500,000×0.9%
=4,500円
7,250円

雇用保険料の誤徴収は、従業員とのトラブルにもつながりかねません。特に、雇用保険料率が変更されるタイミングは控除額を間違える可能性が高いため、慎重に対応しましょう。

労務実務において注意すべきポイント

雇用保険料率の改定は、単なる「数字の変更」ではなく、労務・給与・法定申告など幅広い業務に影響します。制度の理解に加えて、現場での対応が正しく行われていなければ、誤徴収や申告漏れなどのトラブルに直結しかねません。ここでは、労務実務の担当者が押さえておくべき具体的な対応ポイントを紹介します。

年度更新(労働保険申告・納付)の対応

毎年6月1日から7月10日までの間に行う「年度更新」では、前年4月〜当年3月までの賃金総額をもとに、雇用保険料・労災保険料を精算し、当年度分の概算保険料を申告・納付します。

雇用保険料が改定したときの注意点

  • 令和7年度の新料率を適用するのは4月1日以降の賃金分から
  • 年度更新の際は「改定前と改定後の料率を分けて計算」する必要あり
  • 労働保険申告書の作成時、自動計算に対応していない手書き処理等では特に注意

正確な申告・納付を行うためには、過去分の給与データ管理と料率区分の整理が欠かせません。

給与計算システムでの設定をチェック

市販の給与計算ソフトやクラウド型の人事労務サービスを利用している場合でも、「自動で新料率に切り替わる」とは限りません。特に中小企業で導入されているソフトでは、以下の点を確認しましょう。

雇用保険料が改定時にチェックすべき事項

  • 新年度の雇用保険料率が正しく反映されているか
  • 給与締日・支払日ごとの適用タイミングが合っているか
  • 賞与計算にも正しい料率が使われているか
  • 保険料の端数処理ルールが法令に準拠しているか

誤って旧料率のまま運用しているケースも少なくないため、年度切替時のチェックリスト運用をおすすめします。

高年齢者や日雇労働者への対応は?(印紙保険料など)

雇用保険の適用対象には例外もあります。

高年齢被保険者(65歳以上で新規加入の場合)日雇特例被保険者
雇用保険は65歳以上でも加入義務あり

通常どおりの料率で保険料を徴収・納付する

年齢による料率の区別はなく、一律で同一料率が適用される
原則として「労働者負担分」を雇用主が負担し、「印紙」で納付

日雇者を多く雇用する事業所では、令和7年度対応の印紙を早めに準備しておくと安心

雇用保険料率の変更は、制度知識だけでなく、「どのように現場で反映させるか」が問われます。特に年度更新やシステム設定などは、担当者の経験や運用ルールによってミスが起こりやすいため、早めの情報共有と社内マニュアル整備がカギとなるでしょう。

雇用保険料率の過去の推移とトレンド分析

雇用保険料率は固定されたものではなく、景気動向や制度の財政状況に応じて見直しが行われます。近年はコロナ禍を契機とした特例措置や景気回復による変動が続いており、今後の料率動向を予測するうえでも、過去の推移を把握しておくことは重要です。

過去5年間の雇用保険料率の変遷(令和2年度〜令和6年度)

以下は、一般の事業(オフィス業・製造業など)における雇用保険料率の推移です。

年度労働者負担事業主負担合計
令和2年度0.3%
3.0/1000
0.6%
6.0/1000
0.90%
9.0/1000
令和3年度0.3%
3.0/1000
0.6%
6.0/1000
0.90%
9.0/1000
令和4年度
(4月1日〜9月30日)
0.3%
3.0/1000
0.65%
6.5/1000
0.95%
9.5/1000
令和4年度
(10月1日〜3月31日)
0.5%
3.0/1000
0.85%
8.5/1000
1.35%
13.5/1000
令和5年度0.6%
6.0/1000
0.9%
9.0/1000
1.55%
15.5/1000
令和6年度0.6%
6.0/1000
0.9%
9.0/1000
1.55%
15.5/1000
令和7年度(現行)0.55%
6.0/1000
0.9%
9.0/1000
1.45%
14.5/1000

※事業主負担には「雇用保険二事業分(主に教育訓練・雇用安定支援)」を含む。

このように、令和4年度以降は大きな引き上げが行われましたが、令和7年度ではやや引き下げられ、制度の安定化フェーズに入ったことが見て取れます。

料率変動の主な要因(景気・財政・失業率等)

雇用保険料率は以下のような要因によって影響を受けます。

雇用保険料率が変動する要因
  • 景気動向
    景気が悪化すると失業者が増加し、失業等給付の支出が増えるため料率は上昇しやすくなります。
  • 失業率
    失業率の増加は直接的に給付費用に反映されるため、料率改定の重要な判断指標となります。
  • 雇用保険財政の収支
    積立金の残高や給付実績が基準となり、財政悪化時は引き上げ、安定時は引き下げの傾向があります。
  • 政府の経済政策
    景気刺激策として一時的に料率を据え置いたり、企業支援のために料率を引き下げるケースもあります。

近年ではコロナ禍における「雇用調整助成金」の大量支出が、令和4年度の料率大幅引き上げの大きな要因となりました。

今後の雇用保険料率の見通しと企業への影響

2025年度(令和7年度)の料率引き下げは、景気回復と雇用情勢の安定を反映したものと考えられますが、今後も以下のような影響を受けて変動が予想されます。

  • 少子高齢化による人手不足 → 雇用安定支援の拡充 → 料率維持または上昇の可能性
  • 災害・感染症など突発的な経済ショック → 給付増による料率引き上げリスク
  • AI・自動化による雇用構造の変化 → 雇用保険制度の抜本見直しも視野に

企業としては、毎年春に発表される料率改定情報に注意を払いつつ、以下のような準備をしておくことが重要です。

  • 年度ごとの予算計画に保険料率の変動リスクを組み込む
  • システム設定やマニュアルの柔軟な見直し体制を整える
  • 担当者間での情報共有・法改正対応の習慣化

雇用保険料率の推移は、企業の人件費に直結する重要な経営指標のひとつです。短期的な料率だけでなく、長期的なトレンドとして制度設計の動向を見据えることで、より安定した人事労務運営が可能になるでしょう。

まとめ:雇用保険料率の改定に対して会社に求められる対応とは

雇用保険料率の改定は、企業経営における人件費・労務管理に直結する重要な制度変更です。適切な情報収集と迅速な社内対応が求められる中で、実務担当者がとるべき対応を以下の3ステップで整理します。

①:改定料率の把握と社内周知

まず最初にすべきは、厚生労働省などの公式情報をもとに、最新の料率を正確に把握することです。特に以下の点に注意しましょう。

  • 業種別の料率の違い(一般・農林水産・建設業で異なる)
  • 労働者・事業主それぞれの負担割合
  • 適用開始日と給与締日・支払日との関係

これらを明確にした上で、人事・経理・総務など関係部門への情報共有を行い、対応漏れがない体制をつくることが重要です。

②:給与処理への反映とテスト運用

次に、給与計算システムや手計算テンプレートなどに新料率を反映し、誤差や計算ミスが起こらないようにします。

  • システムでの料率更新設定の確認
  • 実際の給与データでの試算(テスト運用)
  • 変更内容を給与明細に明記し、従業員への説明責任を果たす

特に賞与や変動手当がある月は、料率反映漏れが起こりやすいため、月初の段階でチェックを行うことが推奨されます。

③:年度更新手続きへの準備

最後に、6月~7月に行われる労働保険の「年度更新」に向けて、下記のような事前準備が必要です。

  • 前年度と当年度の料率の違いを区別した記録管理
  • 賃金台帳・出勤簿の整備と、申告対象期間の賃金集計
  • 必要に応じて外部の社労士やシステムベンダーとの連携強化

制度改定の初年度は、事務処理やシステム調整が煩雑になりやすいため、早めの準備と複数人によるダブルチェック体制が有効です。

以上の流れを社内で明確化し、定型業務として習慣化することで、雇用保険料率の変更にも柔軟かつ正確に対応できる体制が整うでしょう。

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