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【12月・1月・2月】季節・時候の挨拶とは?冬に使いたい挨拶の文章・表現を紹介

本記事ではこのようなお悩みを解決いたします
  • 冬の挨拶文を書きたいけれど、時候の挨拶と季節の挨拶の違いがわからない
  • ビジネスでもプライベートでも使える、適切な表現を知りたい
  • 定型文ばかりではなく、自分らしさを出した挨拶文を作りたい

冬の寒さが訪れる季節、手紙やメールに添える「季節の挨拶・時候の挨拶」は、相手への気遣いや礼儀を示す大切な要素です。凛とした空気に包まれる初冬から、厳しい寒さが続く真冬、そして春の兆しを感じる晩冬まで、同じ「冬」であっても表現には幅があり、使う場面や相手との関係性によって選び方が変わります。

そこで今回のコラム記事では、冬の挨拶文の基本から、ビジネスやプライベートでそのまま使える具体的な文例、さらに自然な文章のつなげ方までを詳しく紹介します。心温まる一言を添え、冷たい季節の中にもぬくもりを届けてみてはいかがでしょうか。

このページの概要

冬の季節の挨拶とは?時候の挨拶の意味や役割

冬の季節の挨拶は、日本の伝統的な書簡文化において欠かせない表現のひとつです。

寒さが厳しくなるこの季節は、体調や暮らしへの配慮を示す言葉が特に重視されます。単なる定型表現ではなく、相手への気遣いや心温まるメッセージを込めることで、礼儀正しさと同時に温かみを伝えることができるでしょう。

季節の挨拶・時候の挨拶の基本違い

「季節の挨拶」と「時候の挨拶」は似ているようで、実際には使い方やニュアンスに違いがあります。

時候の挨拶

  • 頭語(「拝啓」「謹啓」など)の後に続く、その時の季節や気候を表す文章。
  • 季節の移ろいを漢語的な表現で述べる形式的なあいさつ。
  • 例:「厳冬の候」「寒冷の候」「立春の候」など。主にビジネスや公式文書で使われる。

季節の挨拶

  • 広い意味で、手紙などで季節感を伝えるための挨拶全般を指す言葉。
  • より日常的で、相手の健康や暮らしに配慮した親しみやすい表現でもある。
  • 例:「朝晩の冷え込みが一段と厳しくなってまいりました」「新春を迎え、いかがお過ごしでしょうか」。

つまり、時候の挨拶は形式を整えるもの、季節の挨拶は心を伝えるものと捉えるとわかりやすいでしょう。

なぜ冬を意味する挨拶文を使うのか(印象をよくする、礼儀、季節感)

冬の挨拶を文面に加えることには、次のような意味と効果があります。

礼儀と配慮の表現

秋の終わりに冬の挨拶を用いることは、「寒さが来る前に、相手の健康を気遣っている」という先取りの配慮を示すことになります。

11月下旬は朝晩の冷え込みが厳しくなる時期であり、本格的な寒さへの備えを促すことで、細やかな気配りが伝わります。

例えば、「向寒の候」(寒さに向かう時期)という表現は、形式的でありながらも、これからの厳しい季節に向けて「どうかご自愛ください」という心温まるメッセージを込める役割を果たします。これにより、受け手は書き手の周到な心遣いを感じ取り、良い印象を持つことになります。

日本の手紙文化において、季節の挨拶は欠かせない礼儀であり、文章を整えるうえで最も基本的かつ重要な役割を果たします。

季節感を表現する

秋から冬への季節の移行では、挨拶の焦点を変えることで、季節の移ろいに明確なメリハリが生まれます。

夏から秋への移行で「涼しさ(秋涼)」に焦点を当てたのに対し、秋から冬への移行では「寒さ(向寒)」に焦点を当てることで、季節のバトンタッチを明確に示します。

これにより、「秋の挨拶はもう終わり」というメッセージが明確になり、文脈の混乱を防ぎます。また、冬を意味する挨拶は、「暖かくしてお過ごしください」といった結びの言葉に直結するため、文章全体に一貫したテーマ(寒さへの備え)が生まれ、より深い季節感を相手に伝えることができます。

寒冷な季節だからこそ、体調や暮らしへの配慮を言葉に表すことが、心の通う挨拶文につながるのではないでしょうか。

冬らしさを感じさせる表現・キーワード集

冬の挨拶文を魅力的に仕上げるためには、冷たい空気や澄んだ景色を思い起こさせる「冬らしい言葉」を上手に取り入れることが大切です。自然の描写や文体の使い分け、時候の挨拶語を組み合わせることで、より印象深い挨拶文になります。

冬の自然・景色の語(霜・雪・北風・凍てつくなど)

冬は季節感を表す語彙が豊富で、文章に変化と情緒を添えることができます。

寒さと凍てつきを表す語(厳冬と静寂)

冬の厳しさや、すべてが凍てついて静まり返る情景を映し出す言葉です。

分類漢語調(硬質な表現)口語調(情緒的な表現)
極度の寒さ厳寒(げんかん)

酷寒(こっかん)

底冷(そこびえ)
身を切るような寒さ

吐く息が白い

凍てつく

体にしみる寒さ
凍結の情景結氷(けっぴょう)

氷柱(つらら)

氷紋(ひょうもん:氷の模様)
水がカチカチに張る

つらら
すべてが静止する寒さ
澄んだ寒さ冴ゆ(さゆ:空気が澄み、寒さが鋭くなる)

霜夜(しもよ)
きゅっと締まった空気

星が冴えわたる夜

静謐な寒さ

雪と霜を表す語(繊細な美しさと白銀の世界)

雪や霜がもたらす、白く美しい冬の景色や、その変化の繊細さを表現する言葉です。

分類漢語調(硬質な表現)口語調(情緒的な表現)
雪の情景六花(りっか:雪の異称)

雪化粧(ゆきげしょう)

銀世界(ぎんせかい)

(かざはな:晴天に舞う雪)
降り積もる白雪

雪の絨毯

雪明かり

窓の外を舞う風花
降雪の様子吹雪(ふぶき)

細雪(ささめゆき)

粉雪(こなゆき)
しんしんと降る

雪がちらつく

一面の銀世界

綿雪が舞う
霜と樹氷霜柱(しもばしら)

霜枯れ(しもがれ)

霧氷(むひょう:樹氷)
朝の霜が降りる

霜で真っ白

冬枯れの野

白い結晶

風を表す語(冷たさと力強さ)

冬特有の冷たい風や、荒々しく吹き荒れる風の音など、空気の動きを表現する言葉です。

分類漢語調(硬質な表現)口語調(情緒的な表現)
冷たい風寒風(かんぷう)

朔風(さくふう:北風の異称)

乾風(からかぜ)

北颪(きたおろし:山から吹き下ろす風)
肌を刺すような風

冷たい北風

すきま風

乾燥した風
強い風木枯らし(こがらし:冬の初めの強い風)

虎落笛(もがりぶえ:風が隙間で鳴る音)
ピューピューと風が鳴る

冬の怒号

吹きすさぶ風
季節の風情冬日(ふゆび)

冬凪(ふゆなぎ:冬の穏やかな日)
風が運ぶ寒さ

冬の足音

冬の陽だまり

こうした言葉を使うと、手紙を受け取った相手が自然に冬の情景を思い浮かべられるでしょう。

漢語調と口語調はどう違う?選び方は?

「漢語調(かんごちょう)」と「口語調(こうごちょう)」は、時候の挨拶における表現の「格調(かくちょう)」と「印象」が大きく異なります。

冬の挨拶文においては、漢語調(形式的)口語調(親しみやすい)を使い分けることが大切です。

漢語調

  • 文語的で簡潔。 季節を表す二字熟語に「~の候」「~の折」「~のみぎり」を続けて使用します。
  • 格式高く、丁寧で、簡潔な印象を与えます。文書の格を高める表現のため、公的・ビジネス文書で用いられます。
  • 「厳冬の候、貴社ますますご清祥のこととお慶び申し上げます。」
    「寒冷の候、皆様いかがお過ごしでしょうか。」

口語調

  • 話し言葉に近い、自然な文章表現です。漢語調よりも長めの文章になります。
  • 親しみやすく、やわらかく、温かい印象を与えるため、友人や家族への手紙・メールでよく用いられます。
  • 「吐く息も白くなる季節となりましたが、元気にされていますか。」
    「朝晩の冷え込みが厳しくなってまいりましたね。」

使い分けのポイントは、相手との関係性とシーン。フォーマルな場では格調高い表現を、プライベートな場では温かみのある口語調を意識すると良いでしょう。

冬に使える時候の挨拶語(例:「寒冷の候」「大寒の候」「厳冬の候」など)

冬の時候の挨拶語は、暦や気候に応じて適切に選ぶ必要があります。以下は代表的な表現です。

冬に使える時候の挨拶語
  • 初冬(12月上旬~中旬):「初冬の候」「師走の候」「寒冷の候」
  • 真冬(1月):「厳冬の候」「大寒の候」「酷寒の候」
  • 晩冬(2月):「晩冬の候」「立春の候」「余寒の候」

これらの表現は「◯◯の候」「◯◯のみぎり」といった形で用いるのが基本です。たとえば、ビジネス文書では「拝啓 厳冬の候、貴社ますますご繁栄のこととお慶び申し上げます。」といった形式的な書き出しが定番となっています。

一方、親しい相手には「寒さが一段と厳しい季節となりましたが、お変わりなくお過ごしでしょうか。」といったやわらかな言い回しに置き換えると、より自然で心のこもった挨拶になるでしょう。

書き出し・時候の挨拶の文例【12月・1月・2月に使える挨拶集】

冬の手紙やメールでは、冒頭に季節を感じさせる挨拶を添えることで、文章全体が上品にまとまります。ここでは12月から2月までの代表的な書き出しの例文を、漢語調と口語調に分けて紹介します。

12月(師走・初冬)の挨拶集

12月は冬の始まりであり、一年を締めくくる特別な時期です。気温の低下や師走の忙しさを意識した表現がふさわしいでしょう。

12月は師走という忙しい時期であることも踏まえて、年末の締めくくりという要素を盛り込みましょう。

12月に使いたい漢語調の文例:歳末の厳寒と感謝を込めて

ビジネスや改まった文書では、「師走の候」や「寒冷の候」といった格式ある漢語調を用いて、冬の始まりを丁寧に表現することで、相手への敬意と細やかな心遣いを伝えることができます。

時期時候の挨拶読み方書き出しの文例(「拝啓」に続けて使用)
12月全般師走の候しわすのこう師走の候、貴社ますますご清栄のこととお慶び申し上げます。
12月全般寒冷の候かんれいのこう寒冷の候、貴社におかれましては益々ご隆昌のことと存じます。
12月下旬歳末の候さいまつ/さいばのこう歳末の候、時下ますますご繁栄のこととお慶び申し上げます。
12月下旬冬至の候とうじのこう冬至の候、皆様にはお変わりなくお過ごしのことと存じます。

12月に使いたい漢語調の文例:慌ただしい年の瀬と温かい気遣い

12月に入っても日中はまだ穏やかな陽気が感じられる日がありますが、朝晩の空気には冬の冷たさが混じり始め、季節の移り変わりを感じる頃。口語調の挨拶は、話し言葉のようにやわらかく親しみやすいため、親しい方への手紙やメールで、温かい思いやりを伝えたいときに最適です。

情景挨拶の切り出し例相手に伝わるニュアンス
忙しさ師走に入り、何かと慌ただしい日々ですが、お元気ですか。忙しさを理解し、相手をねぎらっている。「共感」と「気遣い」を伝える。
寒さ冬の寒さが身にしみる頃となりました。お風邪など召されていませんか。心から健康を案じている。形式的すぎない温かさを強調する。
年末の情景街のイルミネーションが華やかな季節ですね。華やかな季節の話題で、会話のきっかけを作り、親近感を与える。
一年間今年も残すところあとわずかとなりました。年の瀬という節目を意識し、一年間の感謝や総括に繋げる。

1月(新年を含む冬期)の挨拶例

1月は新年のご挨拶を兼ねた書き出しが多く使われます。寒さを意識しつつ、祝意や希望を込めるのがポイントです。

1月に使いたい漢語調の文例:新春の言祝ぎと厳寒の拝察

ビジネス文書では、この厳しい寒さの季節を「厳寒の候」や「寒冷の候」といった格調高い漢語で表現するのが一般的でしょう。

時期時候の挨拶読み方書き出しの文例(「拝啓」に続けて使用)
1月上旬新春の候しんしゅんのこう新春の候、貴社ますますご清栄のこととお慶び申し上げます。
1月上旬初春の候はつはるのこう初春の候、貴社におかれましては一段とご隆盛のこととお慶び申し上げます。
1月全般厳寒の候げんかんのこう厳寒の候、時下ますますご繁栄のこととお慶び申し上げます。
1月下旬大寒の候たいかんのこう大寒の候、皆様にはご健勝にお過ごしのことと存じます。

1月に使いたい漢語調の文例:新たな年の始まりと底冷えの気遣い

日中は陽ざしにぬくもりを感じることもありますが、朝晩の冷え込みが一段と厳しくなるのが1月。この季節は、凛と澄んだ冬空や白く輝く雪景色など、冬ならではの情景を言葉に添えることで、手紙やメールに落ち着いた温かみと季節感を込めることができます。

情景挨拶の切り出し例相手に伝わるニュアンス
新年新しい年を迎え、清々しい気持ちでお過ごしのことと存じます。新しい門出を喜び、相手の心機一転を祝う明るい気持ちを伝える。
極寒一年で最も寒さが厳しい時期となりました。形式的な「厳寒」を使わず、話し言葉で底冷えの辛さに寄り添う。
行事七草粥の季節となりました。ご家族お揃いで健やかにお過ごしください。日本の風習に触れることで、季節の話題に深みと情緒を出す。
安否寒中お見舞い申し上げます。皆様お変わりなくお過ごしでしょうか。年賀欠礼松の内が過ぎた後の、丁寧な安否確認として使う。

2月(立春前後・晩冬期)の挨拶例

2月は暦の上では春を迎える「立春」がありながら、実際にはまだ冬の寒さが続く時期です。そのため「余寒」「晩冬」といった表現が多く用いられます。

2月に使いたい漢語調の文例:立春の兆しと余寒の労い

この時期は「晩冬」や「余寒」といった言葉で冬の名残を表現しつつ、「早春」や「立春の候」といった言葉で春の訪れを感じさせる挨拶を用いるのが一般的です。

時期時候の挨拶読み方書き出しの文例(「拝啓」に続けて使用)
2月上旬立春の候りっしゅんのこう立春の候、貴社ますますご清栄のこととお慶び申し上げます。
2月上旬春寒の候しゅんかんのこう春寒の候、貴社におかれましては一段とご隆昌のことと存じます。
2月全般余寒の候よかんのこう余寒の候、時下ますますご繁栄のこととお慶び申し上げます。
2月全般梅花の候ばいかのこう梅花の候、皆様にはご健勝にお過ごしのことと存じます。

2月に使いたい漢語調の文例:三寒四温と春の息吹を待つ心

厳しい寒さの中にも、日差しの柔らかさや春の気配を感じ始めるのが2月です。親しい方への手紙やメールでは、寒さの名残を気遣う言葉や、少しずつ訪れる季節の変化を伝える優しい表現を添えることで、穏やかで温かい気持ちが伝わるでしょう。

情景挨拶の切り出し例相手に伝わるニュアンス
立春暦の上では春を迎えましたが、まだ寒さが続いておりますね。「立春」という節目の話題から始め、寒さが残る現状への共感を示す。
寒暖差三寒四温の時節柄、日々の寒暖差にお気をつけてお過ごしください。気候の変化を専門用語(口語調)で伝えることで、説得力のある健康への忠告となる。
春の兆し梅のつぼみがほころび始め、春の息吹を感じる頃となりました。明るい季節の兆しを共有し、希望や前向きな気持ちを伝える。
ねぎらい余寒なお厳しき折、ご多忙の毎日と拝察いたします。寒さを乗り越える相手をねぎらい、敬意を払いつつ体調を気遣う。

【冬の季節】結び・締めの言葉と注意点

冬の手紙やメールの結びには、寒さや体調を気遣う言葉を添えるのが基本です。

年末年始を含むこの季節は、特に相手への健康配慮や新しい年への願いを盛り込むと好印象につながります。一方で、言葉の重複や季節外れの表現には注意が必要です。

冬にふさわしい結びの挨拶表現

冬の挨拶文の締めくくりには、季節感と心配りを表す言葉を選ぶと効果的です。

体調を気遣う表現(最も重要)

厳しい寒さが続く冬は、相手の健康を強く願う一文で締めくくりましょう。

表現(口語調・親しい相手)表現(漢語調・フォーマル)ニュアンスと時期
寒さが厳しい折、どうぞ暖かくしてお過ごしくださいね。厳寒の候、何卒ご自愛専一にてお願い申し上げます。1月〜2月全般の、厳しさが増す寒さへの気遣い。
底冷えのする日が続きますので、お風邪など召されませんよう。向寒の折、皆様にはご健康にご留意くださいますようお願い申し上げます。12月上旬など、これから寒さに向かう時期。
余寒なお厳しい折、くれぐれもお身体をお大切になさってください。余寒の候、皆様の健勝を心よりお祈り申し上げます。2月(立春後)の、残る寒さへのねぎらい。

年末年始の忙しさや節目に関する表現(12月・1月限定)

年末年始の時期特有の挨拶は、ビジネスシーンで特に重宝します。

表現(12月:年末)表現(1月:年始)ニュアンス
ご多用な年の瀬、どうぞお健やかにお過ごしください。新春を迎え、皆様の更なるご活躍を心よりお祈り申し上げます。新年のスタートへの期待を込める。
師走の折、輝かしい新年を迎えられますようお祈り申し上げます。寒中お見舞い申し上げます。松の内(一般的に1月7日まで)を過ぎてからの挨拶として。
本年も大変お世話になりました。来年もどうぞよろしくお願いいたします。立春も間近となりました。2月上旬に、春を待つ季節感を強調。

ビジネスで使いやすい定型表現(通年・汎用)

季節の言葉を入れつつ、相手の事業の繁栄や活躍を願う、最もフォーマルな結び方です。

表現特徴と用途
貴社の一層のご発展とご活躍を心よりお祈り申し上げます。最も一般的で丁寧。季節を問わず使えます。
今後とも倍旧のご指導ご鞭撻を賜りますようお願い申し上げます。指導を仰ぐ立場や、継続的な関係を願う場合に最適です。
略儀ながら書中をもってご挨拶申し上げます。挨拶状や通知など、用件を伝える書面を格調高く締めくくる定型句です。

避けたほうがいい表現・重複しがちな言葉

冬の挨拶では、誤用や冗長さを避けることも大切です。

  • 重複表現に注意
    • 「お体をご自愛ください」は「ご自愛ください」で伝わります。
  • 季節外れの表現を避ける
    • 1月に「残暑お見舞い申し上げます」といった言葉は時期外れで違和感を与える。
  • あまりに形式的すぎる表現
    • 「草々」「不一」などは現在あまり使われず、かえって古めかしい印象を与えることもあります。

文章のトーンに合わせて自然で適切な表現を選ぶことが、洗練された印象を与えるポイントです。

相手との関係性に応じた結び方(親しい相手なのかフォーマルなのか)

結びの挨拶は、主に「相手の健康や幸せを願う言葉」と「今後の指導や交流を願う言葉」で構成されます。関係性に応じて、使う表現の丁寧さと親密さが変わります。

親しい相手への結び

  • 忙しい年の瀬、無理せず暖かくして過ごしてね。
  • 今年も大変お世話になりました。良いお年をお迎えください!

フォーマルな相手への結び

  • 師走の折、ご多用とは存じますが、良き新年を迎えられますようお祈り申し上げます。
  • 本年もひとかたならぬご厚情を賜り、厚く御礼申し上げます。

このように、親しさを表すなら柔らかく、ビジネスなら格式を保つのが鉄則です。相手に合わせた結びの言葉を選ぶことで、文章全体の完成度が高まり、好印象につながるでしょう。

冬の挨拶文を用いた手紙・メールの例文

実際に冬の挨拶文を取り入れる際には、相手との関係性や文書の目的に応じた表現を選ぶことが大切です。ここでは、友人・家族向けからビジネスや目上の方に使える文例、さらに自然に本文へつなげるコツを紹介します。

親しい友人・家族向けの例文

親しい相手には、堅苦しさを避けて柔らかく温かみのある表現を心がけると良いでしょう。

親しい友人・家族向けの挨拶文例
  • 「寒さが厳しい毎日ですが、元気に過ごしていますか。こちらは毎朝霜が降りて、冬らしい景色になってきました。」
  • 「吐く息も白くなる季節となりましたね。こたつでみかんを食べながら、あなたのことを思い出しています。」
  • 「年の瀬も近づき、慌ただしい日々かと思いますが、体調を崩さぬよう気をつけてください。」

具体的な例文①:底冷えのする1月(友人・家族宛メール)

要素例文ニュアンス
挨拶寒中お見舞い申し上げます。
新年を迎え、底冷えのする毎日ですが、 お元気でやっていますか?
年賀状を出していない、または松の内が過ぎた後の、親身な挨拶。
近況こちらは家族みんな風邪をひかずに元気にやっています。
年末年始はゆっくりできたかな?
こちらの近況を軽く伝えつつ、相手の近況を尋ねる。
本文つなぎところで、今度の日曜日、前から話していたカフェに行かない?
久しぶりにゆっくり話したいな。
「ところで」でカジュアルに話題を転換し、本題に入る。
結び一年で一番寒い時期だから、暖かくして過ごしてね。 また連絡します。底冷えの寒さに触れ、具体的な健康への気遣いで締めくくる。

具体的な例文②:立春後の2月(家族・親戚宛手紙)

要素例文ニュアンス
挨拶暦の上では春を迎えましたが、 まだ寒い日が続いていますね。
〇〇さん(名前)はお変わりありませんか。
立春に触れつつ、現実の寒さへの共感を伝える。
情景庭の水仙が寒さに負けずに咲いていて、 ほっと心が温まります。春の兆しを共有し、季節の話題で情緒を添える。
本文つなぎ先日は美味しいお菓子を送ってくれて、本当にありがとう。みんなで美味しくいただきました。
つきましては、 ささやかですが、お礼に地元の名産品を送らせてもらいました。
お礼の言葉に続けて、送付の報告を丁寧に行う。
結び三寒四温の時節柄、 寒暖差で体調を崩さないよう、くれぐれも気をつけてください。また会えるのを楽しみにしています。寒暖差への具体的な注意喚起と、再会を願う言葉で温かく結ぶ。

知人・上司・目上・年長者向け例文

フォーマルな相手には、時候の挨拶や健康への配慮を盛り込んだ格式ある表現が適しています。

知人・上司・目上・年長者向け例文
  • 「拝啓 厳冬の候、皆様にはますますご健勝のことと拝察申し上げます。日ごとに寒さが増してまいりますが、いかがお過ごしでしょうか。」
  • 「余寒の候、貴殿におかれましては益々ご清祥のこととお慶び申し上げます。今年も残りわずかとなりましたが、引き続きご指導のほどよろしくお願い申し上げます。」
  • 「寒冷の折、皆様のご健康とご発展を心よりお祈り申し上げます。」

具体的な例文③:上司・取引先へのメール(漢語調中心)

要素例文(12月下旬の挨拶)ニュアンス
頭語・時候拝啓 歳末の候、 貴社ますますご清栄のこととお慶び申し上げます。漢語調(歳末の候)で格式高く切り出し、繁栄を祝う。
感謝・安否平素は格別のご高配を賜り、厚く御礼申し上げます。定型の感謝の言葉で、日頃の付き合いへの敬意を示す。
本文つなぎさて、先日のプロジェクトの件、おかげさまで無事に年内納品を完了することができました。「さて」で本題へ移り、具体的な用件を報告する。
結び厳寒の折、何卒ご自愛専一にてお願い申し上げます。 輝かしいご越年を心よりお祈り申し上げます。最大限の健康への配慮と、年末の特別な挨拶で締めくくる。
結語敬具

具体的な例文④:知人・年長者への手紙(口語調で丁寧に)

要素例文(2月下旬の挨拶)ニュアンス
頭語・時候拝啓 向春の候、 〇〇様におかれましては、お変わりなくお過ごしのことと拝察いたします。漢語調を用いつつも、「向春」(春に向かう)で柔らかな印象を与える。
情景連日の報道では、まだ雪の便りが聞かれますが、そちらでは梅の花のつぼみがほころび始めた頃でしょうか。相手の地域を思いやり、季節の情景を交えて心遣いを示す。
本文つなぎさて、この度はお忙しい中、ご丁寧なお心遣いをいただき、誠にありがとうございました。感謝の言葉を丁寧にしるし、本題へと繋げる。
結び余寒なお厳しき折柄、 くれぐれもお風邪など召されませぬよう、ご自愛のほどお祈り申し上げます。「余寒」を用いて現実の寒さへのねぎらいと、丁寧な健康祈念で結ぶ。
結語敬具

時候の挨拶から本文へ自然につなぐコツ

挨拶文を書いた後、本文へスムーズに移行するには「相手の近況に触れる」「自分の状況を簡単に添える」といった工夫が効果的です。

  • 相手に寄り添うつなぎ方
    • 「寒さの厳しい折ですが、変わりなくお過ごしのことと存じます。さて、先日の件につきまして…」
  • 自分の近況を交えたつなぎ方
    • 「こちらでは雪が積もり、冬の厳しさを実感しております。ところで、ご相談いただいた件についてですが…」
  • 年末年始を意識したつなぎ方
    • 「一年を振り返る頃となりました。今年も大変お世話になりました。来年もどうぞよろしくお願い申し上げます。」

このように、季節感を活かしつつ自然に本文へ移行する工夫を取り入れることで、読みやすく品のある文章になります。

冬の挨拶を使う際のポイント・注意点

冬の挨拶文は、形式に従うだけではなく「季節に合った表現」「相手の住む地域の気候」「自分らしさのある言葉」を意識することが大切です。ここでは、実際に使う際に注意したいポイントを整理します。

季節外れにならないよう時期を見極める

冬の時候の挨拶は、暦や実際の気候を踏まえて適切な時期に用いる必要があります。特に、「厳寒」と「春の気配」の切り替え時期を意識し、実際の体感温度と暦上の区切り(立春)を考慮した言葉を選ぶことが大切です。

  • 12月(初冬):「初冬の候」「寒冷の候」など、冬の始まりを意識した表現。
  • 1月(真冬):「厳冬の候」「大寒の候」など、一年で最も寒さが厳しい時期に合う言葉。
  • 2月(晩冬~立春前後):「余寒の候」「晩冬の候」など、冬の名残や春の兆しを表す言葉。

暦の上では立春を過ぎても寒い日が続くため、2月中旬までは「余寒見舞い」など冬の表現を使うのが自然です。時期を誤ると、相手に違和感を与えてしまうので注意しましょう。

地域差・気候差を考慮する

日本は南北に長いため、冬の感じ方には地域差があります。

そのため、

  • 北海道や東北では12月から雪深く、厳冬の表現がふさわしい。
  • 関東や関西では寒さの中にも比較的穏やかな日があるため、「寒冷」「余寒」といった柔らかい表現が自然。
  • 沖縄や南西諸島では、真冬でも温暖な日が多く、「厳冬」や「酷寒」という言葉は違和感を与えかねません。

相手の住む地域を考慮し、無理のない季語を選ぶことが大切です。

12月上旬でも比較的暖かい地域で「厳冬の候」を使うと不自然です。その場合は「冬の訪れを感じる頃となりました」や「暦の上では冬とはいえ、日中はまだ穏やかな日が続いております」といった、実際の気候に合わせた言葉を使いましょう。

言い回しを使いまわさない/オリジナリティの出し方

冬の挨拶文はどうしても定型的になりがちですが、少し工夫を加えることで印象的な文章に仕上げられます。

オリジナリティを出す3つのポイント
  • 自分の体験を添える:「こちらでは今朝も霜柱が立ち、冬の厳しさを実感しております。」
  • 相手への配慮を強調する:「寒さが続く折、どうぞお風邪など召されませんように。」
  • 季節感を柔らかく伝える:「澄み渡る冬空に星が輝く、美しい夜が続いております。」

同じ「寒さ」を表現する場合でも、体験や情景を加えることでオリジナリティが生まれます。定型に頼りすぎず、自分の言葉を織り交ぜることが、心に残る冬の挨拶文のコツです。

相手の状況に合わせた言葉を用いることで、より心に響く文章になります。
例:「新春を迎え、〇〇様におかれましてはますますご健勝にて、新たな一年をお過ごしのこととお慶び申し上げます。」

季節・時候の挨拶に関してよくある疑問をFAQ形式で紹介

冬の挨拶文を実際に使う際には、「表現が堅すぎないか」「重複していないか」など、細かな疑問が生じやすいものです。ここでは、よくある質問に答えながら、使い方のポイントを整理します。

ビジネスメールでも使える?親しい相手向けとどう変える?

冬の挨拶は、ビジネスでもプライベートでも活用可能です。ただし、文体や言葉遣いを相手に合わせることが大切です。

ビジネスの場合

  • 格調高い漢語調を用いるのが基本。
  • 例:「厳冬の候、貴社ますますご清祥のこととお慶び申し上げます。」

親しい相手の場合

  • 柔らかく自然な口語調が適切。
  • 例:「寒い日が続きますが、元気にしていますか。」

ビジネスは「信頼感」、プライベートは「親しみ」を意識することで、より適切な文章になります。

「寒さ」「凍える」などの表現はどこまで使っていい?

冬の文章に「寒さ」を表す言葉は欠かせませんが、強すぎる表現は相手に重苦しい印象を与える場合があります。

避けたい例

「凍える日々に耐えております」など、過度に暗く重い表現。

読み手に不快感や憂鬱さを与える可能性がある。

望ましい工夫

「寒さが身にしみる頃となりました」
「凍えるような朝が続いております」

ポイントは、寒さを描写しつつ、相手への気遣いに結びつけることです。たとえば「凍えるような寒さですが、どうぞお健やかにお過ごしください」といった形が望ましいでしょう。

新年の挨拶と冬の挨拶、両方入れていい?

両方入れて問題ありません。特に1月の手紙やメールでは、新年の挨拶+冬の時候の挨拶を組み合わせるのが自然です。

例文:「謹んで新春のお慶びを申し上げます。厳寒の候、皆様にはますますご健勝のことと拝察いたします。」

ただし、文章が長くなりすぎないよう注意が必要です。新年の挨拶を簡潔に述べ、その後に冬の挨拶を添えると、バランスの取れた文面になります。

新年の祝意と冬の季節感を組み合わせることで、より丁寧で心のこもった挨拶文になるといえるでしょう。

まとめ:冬の挨拶で心を届けるポイント

冬の挨拶文は、相手への気遣いや礼儀を伝えるだけでなく、冷たい季節に温かみを添える大切な役割を果たします。

本記事のまとめ
  • 時候の挨拶と季節の挨拶を使い分けることで、場面に合った文章が書ける。
  • 霜・雪・北風などの情景表現を取り入れると、より冬らしい雰囲気が出る。
  • 12月・1月・2月それぞれの時期に応じた言葉を選ぶことが重要。
  • 結びでは相手の健康や新年への願いを盛り込み、印象を良くする。
  • 定型に頼りすぎず、自分の体験や気持ちを加えることでオリジナリティが生まれる。

形式を守りつつも、相手への思いやりを込めることが、冬の挨拶文をより豊かで心に響くものにする秘訣です。

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