【2026年最新】北海道の最低賃金は?推移や引き上げ額・ランキングを解説

2025年10月の改定により、北海道の最低賃金は大きく引き上げられました。最低賃金の見直しは毎年行われていますが、近年は物価上昇や人手不足、国の賃上げ方針を背景に、引き上げ幅そのものが年々大きくなっている点が特徴です。
最低賃金の改定は、労働者の生活を守る制度であると同時に、企業にとっては人件費設計、雇用戦略、労務管理全体を見直す重要なきっかけとなります。特に北海道では、パートやアルバイト、季節雇用を含む多様な雇用形態が見られることから、最低賃金の引き上げがそのまま経営判断に直結するケースも少なくありません。
その一方で、
- 自社の給与水準は最低賃金を下回っていないだろうか
- パートやアルバイト、試用期間中の従業員にも適用されるのか
- 月給制や日給制の場合、どのように確認すればよいのか
といった疑問や不安を感じている経営者や人事労務担当者の方も多いのではないでしょうか。
最低賃金は、知らなかったでは済まされない法律上の最低基準です。万が一、最低賃金を下回る賃金を支払っていた場合、是正指導や未払い賃金の支払いに加え、場合によっては罰則の対象となる可能性もあります。
そのため、単に最低賃金の金額を知るだけでなく、
- どの賃金項目が最低賃金の対象になるのか
- いつから新しい最低賃金が適用されるのか
- 実務上、どのように確認し管理すべきか
といったポイントまで、正しく理解しておくことが重要です。
本記事では、2026年版として最新の北海道最低賃金をわかりやすく整理するとともに、改定の背景や今後の動向、企業と労働者それぞれへの影響、そして社労士の実務視点から見た注意点や対応ポイントまでを網羅的に解説します。
労務担当者や経営者はもちろん、働くすべての方にとって、最低賃金を正しく知り、正しく対応するための実践的なガイドとして、 ぜひ最後までご覧ください。
北海道の最低賃金とは?
最低賃金とは、これより低い賃金で労働者を働かせてはならないと法律で定められた賃金の最低基準です。労働者の生活を守るために設けられた非常に重要なルールであり、企業は必ず守らなければならない法的義務として位置づけられています。
北海道においても、国の方針に基づき毎年最低賃金の見直しが行われており、正社員、契約社員、パート、アルバイトなど、雇用形態を問わず、すべての労働者に適用されます。すべての事業者には、最低賃金を下回らない賃金を支払う義務があります。
特に近年は、物価の上昇や人手不足の深刻化といった社会的背景を受け、最低賃金の引き上げが継続的に行われている状況です。その結果、多くの経営者や人事労務担当者が、賃金水準や雇用管理の見直しを迫られる局面に直面しています。
- 最低賃金とは、そもそもどのような制度なのか
- 自分の働き方や雇用形態にも関係があるのか
- 自社の給与体系は、最低賃金をきちんと満たしているのか
こうした基本的な疑問を正しく理解することが、最低賃金への適切な対応の第一歩となります。まずは最低賃金制度の仕組みや考え方について、実務に即した視点で順を追って確認していきましょう。
最低賃金制度の概要
最低賃金制度とは、使用者(企業)が労働者に支払う賃金の最低額を、国や都道府県が法的に定める制度です。目的は、労働者の生活の安定と、雇用環境の健全な維持とされます。
最低賃金には大きく分けて次の2種類があります。
- 地域別最低賃金:都道府県ごとに定められ、企業の所在地に応じて適用される。
- 特定(産業別)最低賃金:特定の業種に対して設定され、地域別最低賃金よりも高額になる場合がある。
つまり、北海道で働く労働者には、原則として北海道の地域別最低賃金が適用され、さらに該当する業種であれば特定最低賃金が優先される(特定最低賃金>地域別最低賃金の場合)ことになります。
最低賃金制度は単なる「時給の基準」ではなく、経営戦略や雇用維持にも密接に関わります。最低賃金の上昇に対応できる企業体制を早期に整えることが、人材確保と定着のカギになります。
前提確認:最低賃金の適用範囲と対象者
最低賃金は、すべての労働者に適用されるわけではありません。正社員やパート・アルバイトだけでなく、外国人労働者やインターンなど、多様な働き方がある中で、「自分が最低賃金の対象かどうか」を正しく理解することが大切です。
以下の表では、最低賃金が適用される人と適用されない人を一覧でわかりやすく整理していますので、ご参考ください。
| 適用される人 | 説明 | 適用されない人 | 説明 |
|---|---|---|---|
| 正社員 | 通常の労働契約に基づく労働者。最低賃金が当然に適用される。 | 無償インターン・ボランティア | 労働契約がなく、報酬も発生しないため対象外。 |
| パート・アルバイト | 雇用形態に関係なく、労働者であれば適用される。 | 自営業者・業務委託 (フリーランス) | 雇用契約ではなく、業務委託契約等に基づくため対象外。 |
| 契約社員・派遣社員 | 雇用されている限り、最低賃金が適用される。 | 同居の親族のみの 家族従業員 | 給与の支払いや労働の対価性が明確でない場合は対象外。 |
| 外国人労働者 (技能実習生・留学生含む) | 国籍や在留資格に関係なく、労働者であれば適用される。 | – | – |
| 試用期間中の労働者 | 試用中であっても雇用契約があれば適用される。 | – | – |
| 研修中の労働者 | 実務を伴う研修は労働とみなされ、最低賃金が適用される。 | – | – |
| 有償インターン (労働契約あり) | 労働契約があれば、インターンであっても適用対象。 | – | – |
北海道の最低賃金はどこで勤務する人に適用される?
最低賃金は「働いている場所(=事業所の所在地)」によって決まります。つまり、北海道に事業所を構えており、そこで働いている場合は、たとえ他府県に住んでいたとしても北海道の最低賃金が適用されます。
ここでは、最低賃金が誰にどのように適用されるのか、よくあるケース別に整理してご紹介します。
原則:最低賃金は実際に働く「事業所の所在地」ごとに適用
最低賃金は「会社の本社所在地」ではなく、実際に労働者が働いている事業所の場所で判断されます。
| 本社事業所の所在地 | 勤務先事業所の所在地 | 適用される最低賃金 |
|---|---|---|
| 大阪 | 北海道 | 北海道 |
| 北海道 | 東京 | 東京 |
そのため、就業場所ごとに最低賃金をチェックすることが重要です。
ヘルプなどで都道府県をまたいで移動する場合は?
たとえば、普段は北海道の店舗で働いているアルバイトが、1日だけ青森県の店舗に応援に行った場合であっても、その日の最低賃金は北海道の最低賃金(=従業員が所属している就業場所)で判断されます。
従って、臨時の応援等で一時的に就業場所が変わったとしても、適用される最低賃金は変わらないという点に注意が必要してください。
テレワーク・在宅勤務の場合は?
テレワークや在宅勤務が増える中、「最低賃金はどこ基準で見るの?」という疑問もあるでしょう。この場合、従業員が所属している事業所の所在地が基準になります。
| 本社事業所の所在地 | テレワーク・在宅勤務の場所 | 適用される最低賃金 |
|---|---|---|
| 東京 | 北海道 | 東京 |
| 大阪 | 北海道 | 大阪 |
【2026年版】北海道の最低賃金改定内容【2025年10月改定】
2025年10月の改定により、北海道の最低賃金は大幅に引き上げられました。
全国的な最低賃金引き上げ方針を受け、物価上昇や人手不足が続く中で、政府・労働界・経済界による議論を踏まえた結果です。
最低賃金の見直しは毎年行われていますが、近年は引き上げ幅が大きくなる傾向が続いており、北海道でも労働者の生活水準を支えることと同時に、企業側としては人件費や雇用戦略の再検討が求められる内容となっています。
2025年10月以降の北海道の新しい最低賃金額と発効日は?
2025年10月4日から、北海道の最低賃金は時間額1,075円に改定されました。これは前年水準の1,010円から65円引き上げとなっており、ここ数年でも大きな改定幅となっています。

| 区分 | 金額 |
|---|---|
| 改定前(2024年度) | 1,010円 |
| 改定後(2025年度) | 1,075円 |
| 引き上げ額 | 65円 |
| 発効日 | 2025年10月4日 |
この改定により、例えば月100時間程度勤務するパート・アルバイトの場合、月給換算で約6500円以上の賃金増加となります。
企業側にとっては、人件費の増加や賃金体系の見直しが避けられない一方で、最低賃金を下回る賃金設定は法律違反となるリスクがあるため、慎重に確認を進める必要があります。
なお、最低賃金は時給制だけでなく、月給制・日給制でも時間額換算で適用されます。そのため、基本給は問題なくても手当を除くと最低賃金未満になるというケースもありますので、勤怠管理や賃金計算の方法を改めて見直すことが実務では重要です。
最低賃金の改定は、労働者にとっては生活基盤の改善につながる一方で、企業にとっては賃金設計・人件費管理・雇用戦略を見直す重要な機会でもあります。単なる数字の変更として捉えるのではなく、実務全体の整備とリスク対策に活かしていきましょう。
北海道の最低賃金(1,075円)はいつの給与から反映?
2025年10月4日より、北海道の最低賃金が時間額1,075円に引き上げられます。以下は、締め日と支払日のパターンごとに、新しい最低賃金をいつから反映すべきかをまとめた表ですので、ご参考いただければ幸いです。
| 締め日・支払日 | 締め日例 | 支払日例 | 10月4日以降の労働を含むか | 最低賃金の反映 |
|---|---|---|---|---|
| 末締め 末日払い | 9月30日 | 10月31日 | 含まない (9/1〜9/30の勤務) | 旧賃金でOK (まだ最低賃金は反映されない) |
| 10日締め 当月25日払い | 10月10日 | 10月25日 | 一部含む (9/11〜10/10の勤務) | 10月4日以降の 勤務分に反映必要 |
| 15日締め 当月末日払い | 10月15日 | 10月31日 | 一部含む (9/16〜10/15の勤務) | 10月4日以降の 勤務分に反映必要 |
| 末日締め 翌月末日払い | 10月31日 | 11月30日 | 一部 (10/1〜10/31の勤務) | 10月4日以降の 勤務分に反映必要 |
| 10日締め 当月25日払い | 11月10日 | 11月25日 | 含む (10/11〜11/10の勤務) | 全期間で反映必要 |
最低賃金の適用タイミングは、給与の支払日ではなく、実際に働いた日(労働日)を基準に判断します。
そのため、2025年10月4日以降に1日でも勤務がある場合は、その勤務日以降の労働時間について、時間額1075円以上で賃金を支払う必要があります。
たとえ給与の支払日が11月や12月であっても、労働日が2025年10月4日以降であれば、新しい最低賃金が適用される点に注意が必要です。
最低賃金の改定月は、旧最低賃金と新最低賃金が同一の給与計算期間内に混在するケースが多く見られます。この取り扱いを誤ると、意図せず最低賃金違反となるリスクが生じます。
特に、給与締め日が月途中に設定されている事業所や、パートやアルバイトを多く雇用している場合は、勤怠データを最低賃金の改定日で正確に区分したうえで、賃金計算を行うことが重要です。
北海道における過去の最低賃金推移と引き上げ幅
以下は過去45年程度の北海道最低賃金の推移となります。なお、最低賃金日額は平成14年以降は廃止となっており、日給者についても最低賃金(時給)をベースに確認することになっています。
| 最低賃金(日額) | 最低賃金(時給) | ||||||
|---|---|---|---|---|---|---|---|
| 年度 | 金額 (円) | 引上額 (円) | 引上率 (%) | 金額 (円) | 引上額 (円) | 引上率 (%) | 発行年月日 |
| 昭和47年 | 1,010 | – | – | 126 | – | – | S.47.11.15 |
| 昭和48年 | 1,210 | 200 | 19.8 | 152 | 26 | 20.63 | S.49.03.23 |
| 昭和49年 | 1,560 | 350 | 28.93 | 195 | 43 | 28.29 | S.50.03.10 |
| 昭和50年 | 1,850 | 290 | 18.59 | 232 | 37 | 18.97 | S.51.02.27 |
| 昭和51年 | 2,022 | 172 | 9.3 | 253 | 21 | 9.05 | S.51.11.29 |
| 昭和52年 | 2,212 | 190 | 9.4 | 277 | 24 | 9.49 | S.52.10.30 |
| 昭和53年 | 2,357 | 145 | 6.56 | 295 | 18 | 6.5 | S.53.10.07 |
| 昭和54年 | 2,507 | 150 | 6.36 | 314 | 19 | 6.44 | S.54.10.03 |
| 昭和55年 | 2,687 | 180 | 7.18 | 336 | 22 | 7.01 | S.55.10.03 |
| 昭和56年 | 2,866 | 179 | 6.66 | 359 | 23 | 6.85 | S.56.10.03 |
| 昭和57年 | 3,023 | 157 | 5.48 | 380 | 21 | 5.85 | S.57.10.03 |
| 昭和58年 | 3,121 | 98 | 3.24 | 394 | 14 | 3.68 | S.58.10.13 |
| 昭和59年 | 3,219 | 98 | 3.14 | 403 | 9 | 2.28 | S.59.10.01 |
| 昭和60年 | 3,337 | 118 | 3.67 | 418 | 15 | 3.72 | S.60.10.01 |
| 昭和61年 | 3,439 | 102 | 3.06 | 430 | 12 | 2.87 | S.61.10.01 |
| 昭和62年 | 3,516 | 77 | 2.24 | 440 | 10 | 2.33 | S.62.10.01 |
| 昭和63年 | 3,623 | 107 | 3.04 | 453 | 13 | 2.95 | S.63.10.01 |
| 平成元年 | 3,773 | 150 | 4.14 | 472 | 19 | 4.19 | H.10.1 |
| 平成2年 | 3,958 | 185 | 4.9 | 495 | 23 | 4.87 | H.2.10.1 |
| 平成3年 | 4,154 | 196 | 4.95 | 520 | 25 | 5.05 | H.3.10. 1 |
| 平成4年 | 4,331 | 177 | 4.26 | 542 | 22 | 4.23 | H.4.10. 1 |
| 平成5年 | 4,467 | 136 | 3.14 | 559 | 17 | 3.14 | H.5.10. 1 |
| 平成6年 | 4,575 | 108 | 2.42 | 572 | 13 | 2.33 | H.6.10. 1 |
| 平成7年 | 4,681 | 106 | 2.32 | 586 | 14 | 2.45 | H.7.10. 1 |
| 平成8年 | 4,780 | 99 | 2.11 | 598 | 12 | 2.05 | H.8.10. 1 |
| 平成9年 | 4,886 | 106 | 2.22 | 611 | 13 | 2.17 | H.9.10. 1 |
| 平成10年 | 4,975 | 89 | 1.82 | 622 | 11 | 1.8 | H.10.10. 1 |
| 平成11年 | 5,020 | 45 | 0.9 | 628 | 6 | 0.96 | H.11.10. 1 |
| 平成12年 | 5,060 | 40 | 0.8 | 633 | 5 | 0.8 | H.12.10. 1 |
| 平成13年 | 5,095 | 35 | 0.69 | 637 | 4 | 0.63 | H.13.10. 1 |
| 平成14年 | – | – | – | 637 | – | – | H.14.10. 1 |
| 平成15年 | – | – | – | 637 | – | – | H.14.10. 1 |
| 平成16年 | – | – | – | 638 | 1 | 0.16 | H.16.10. 1 |
| 平成17年 | – | – | – | 641 | 3 | 0.47 | H.17.10.01 |
| 平成18年 | – | – | – | 644 | 3 | 0.47 | H.18.10.01 |
| 平成19年 | – | – | – | 654 | 10 | 1.55 | H.19.10.19 |
| 平成20年 | – | – | – | 667 | 13 | 1.99 | H.20.10.19 |
| 平成21年 | – | – | – | 678 | 11 | 1.65 | H.21.10.10 |
| 平成22年 | – | – | – | 691 | 13 | 1.92 | H.22.10.15 |
| 平成23年 | – | – | – | 705 | 14 | 2.03 | H.23.10. 6 |
| 平成24年 | – | – | – | 719 | 14 | 1.99 | H.24.10.18 |
| 平成25年 | – | – | – | 734 | 15 | 2.09 | H.25.10.18 |
| 平成26年 | – | – | – | 748 | 14 | 1.91 | H.26.10.08 |
| 平成27年 | – | – | – | 764 | 16 | 2.14 | H.27.10.08 |
| 平成28年 | – | – | – | 786 | 22 | 2.88 | H.28.10.01 |
| 平成29年 | – | – | – | 810 | 24 | 3.05 | H.29.10.01 |
| 平成30年 | – | – | – | 835 | 25 | 3.09 | H.30.10.01 |
| 令和元年 | – | – | – | 861 | 26 | 3.11 | R.1.10.3 |
| 令和2年 | – | – | – | 861 | – | – | R.1.10.3 |
| 令和3年 | – | – | – | 889 | 28 | 3.25 | R.3.10.1 |
| 令和4年 | – | – | – | 920 | 31 | 3.49 | R.4.10.2 |
| 令和5年 | – | – | – | 960 | 40 | 4.35 | R.5.10.1 |
| 令和6年 | – | – | – | 1,010 | 50 | 5.21 | R.6.10.1 |
| 令和7年 | – | – | – | 1,075 | 65 | 6.43 | R.7.10.4 |
過去の最低賃金の推移における大きな注目点として挙げられるのが、令和2年(2020年)は前年から据え置きとなった点です。これは、新型コロナウイルス感染症の拡大による経済への深刻な影響を踏まえ、当時は最低賃金を引き上げることが困難であるとして、現行水準を維持する判断がなされたためです。
その後は経済活動の回復に加え、物価上昇や人手不足が顕在化したことを背景に、最低賃金は再び引き上げ基調へと転じました。北海道においても引き上げ幅は年々拡大しており、2024年度の改定では960円から1010円へ(+50円)と、大きな引き上げが実施されています。
さらに直近の2025年10月改定では、最低賃金は1010円から1075円へ(+65円)と、北海道としても過去最大級の引き上げ幅となりました。この点からも、最低賃金が段階的かつ確実に引き上げられる局面に入っていることが分かります。
この推移から読み取れるのは、最低賃金が例外的に据え置かれるものではなく、継続的に上がっていくものとして制度運用されるフェーズに入っているという点です。引き上げ幅そのものも拡大傾向にあり、企業にとっては毎年の最低賃金改定対応が定例業務になることを前提に、体制を整える必要があります。
特に、最低賃金に近い水準で賃金を設計している場合、改定のたびに賃金テーブル全体の再調整が必要となり、その場しのぎで対応すると、翌年以降も同じ負荷が繰り返されることになります。
そのため、最低賃金への対応は、都度の修正ではなく、中長期的な賃金設計の見直しとして捉えることが重要です。基本給水準、手当構成、昇給ルールまで含めて整理することで、改定時の負担を抑えつつ、安定した雇用管理につなげることができます。
最低賃金の推移を正しく理解することは、 単なる制度理解にとどまらず、人材確保や定着、そして持続可能な経営を実現するための重要な判断材料 となります。
北海道の最低賃金は全国で何位?【全国ランキング】
北海道の最低賃金は、全国で第13位に位置しています。2025年度の最低賃金額は北海道は1,075円で、前後では滋賀県の1,080円、栃木県の1,074円です。この水準は、東京都や神奈川県、大阪府といった都市部上位グループには及ばないものの、地方圏としては比較的高い水準といえます。
2026年最低賃金ランキング
| 順位 | 都道府県名 | 最低賃金額 | 順位 | 都道府県名 | 最低賃金額 | 順位 | 都道府県名 | 最低賃金額 | 順位 | 都道府県名 | 最低賃金額 | 順位 | 都道府県名 | 最低賃金額 |
|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|
| 1位 | 東京 | 1,226 | 11位 | 広島 | 1,085 | 21位 | 石川 | 1,054 | 31位 | 香川 | 1,036 | 41位 | 鳥取 | 1,030 |
| 2位 | 神奈川 | 1,225 | 12位 | 滋賀 | 1,080 | 22位 | 福井 | 1,053 | 32位 | 大分 | 1,035 | 41位 | 佐賀 | 1,030 |
| 3位 | 大阪 | 1,177 | 13位 | 北海道 | 1,075 | 23位 | 山梨 | 1,052 | 33位 | 熊本 | 1,034 | 43位 | 青森 | 1,029 |
| 4位 | 埼玉 | 1,141 | 14位 | 茨城 | 1,074 | 24位 | 奈良 | 1,051 | 34位 | 福島 | 1,033 | 44位 | 鹿児島 | 1,026 |
| 5位 | 千葉 | 1,140 | 15位 | 栃木 | 1,068 | 25位 | 新潟 | 1,050 | 34位 | 島根 | 1,033 | 45位 | 高知 | 1,023 |
| 5位 | 愛知 | 1,140 | 16位 | 岐阜 | 1,065 | 26位 | 岡山 | 1,047 | 34位 | 愛媛 | 1,033 | 45位 | 宮崎 | 1,023 |
| 7位 | 京都 | 1,122 | 17位 | 群馬 | 1,063 | 27位 | 徳島 | 1,046 | 37位 | 山形 | 1,032 | 45位 | 沖縄 | 1,023 |
| 8位 | 兵庫 | 1,116 | 18位 | 富山 | 1,062 | 28位 | 和歌山 | 1,045 | 38位 | 岩手 | 1,031 | |||
| 9位 | 静岡 | 1,097 | 19位 | 長野 | 1,061 | 29位 | 山口 | 1,043 | 38位 | 秋田 | 1,031 | |||
| 10位 | 三重 | 1,087 | 20位 | 福岡 | 1,057 | 30位 | 宮城 | 1,038 | 38位 | 長崎 | 1,031 | |||
2025年度改定後の全国最低賃金を俯瞰すると、上位には東京都や神奈川県など物価水準や経済規模の大きい都県が並びます。一方、北海道は全国平均を意識した引き上げが継続的に行われている地域であり、最低賃金の水準は着実に底上げされてきていることが分かります。
北海道の最低賃金は、全国を先導する指標的な役割というよりも、全国的な賃上げの流れを受けながら段階的に引き上げられる位置づけにあります。そのため、毎年の改定ごとに引き上げ幅そのものが大きくなる可能性がある点には注意が必要です。
北海道で事業を行う企業にとっては、全国平均や前年水準を前提にした賃金設計では対応が遅れるリスクがあります。最低賃金の改定を見据え、人件費計画や賃金体系を中長期的な視点で見直していくことが重要です。
【参考】2024年10月〜2025年10月改定までのランキングは?
2024年10月から2025年10月改定までの北海道の最低賃金は、全国で第13位に位置していました。2024年度の最低賃金額は北海道は1,010円で、前後では滋賀県の1,017円、茨城県の1,005円です。

北海道と近隣府県の最低賃金比較
北海道の最低賃金(1,075円)は、全国的にも上位に位置していますが、隣接する府県と比べてどうなのでしょうか?以下は主要な近隣府県との比較となりますので、ご参考ください(2026年1月時点)。
| 地域 | 最低賃金 | 北海道との比較 |
|---|---|---|
| 青森 | 1,029 | -46 |
| 岩手 | 1,031 | -44 |
| 宮城 | 1,038 | -37 |
| 秋田 | 1,031 | -44 |
| 山形 | 1,032 | -43 |
北海道の最低賃金は、近隣地域と比較すると、全国平均に近い水準から段階的に引き上げられてきた地域に位置づけられます。首都圏や大都市圏と比べると水準差はあるものの、近年は引き上げ幅が拡大しており、最低賃金の底上げが進んでいる点が特徴です。
東北地方や北関東の一部地域と比較すると、北海道は比較的高い最低賃金水準が設定されており、広域地方圏の中では一定の存在感を持つ水準といえるでしょう。
この背景には、物価の上昇や人手不足の深刻化に加え、観光業やサービス業、医療や介護分野など、労働集約型産業が多い北海道特有の産業構造があります。最低賃金は単に地域の裁量で決まるものではなく、地域で生活できる賃金水準はいくらかという観点から総合的に判断されています。
そのため北海道では、全国的な賃上げの流れを受けて引き上げ幅が年々大きくなりやすい傾向が見られます。企業にとっては、過去の水準や近隣地域の感覚で賃金を設定していると、最低賃金を下回るリスクが生じやすい点に注意が必要です。
特に、北海道内に複数の事業所を持つ企業や、他地域にも拠点を展開している企業の場合は、どの事業所で働くかという就業場所によって適用される最低賃金が異なります。そのため、地域ごとの最低賃金を前提とした賃金管理を行うことが、実務上は欠かせません。
最低賃金と実際の賃金の比較方法
実は「最低賃金を守っているつもりだったのに、実は違反していた」というのは決して珍しい話ではありません。なぜなら最低賃金との比較には「正しい計算方法」と「適用される賃金項目の理解」が必要不可欠だからです。
ここでは、自社の賃金が最低賃金を下回っていないかどうかを判断するための具体的な比較方法を解説します。経営者や人事担当者だけでなく、自分の給与が基準を満たしているか不安な労働者の方にも、ぜひチェックしていただければ幸いです。
前提の整理:最低賃金の確認方法(給与形態別比較)
| 項目 | 月給制 | 日給制 | 時給制 |
|---|---|---|---|
| 最低賃金との比較方法 | 月給を時間単価に 換算して比較 | 日給を時間単価に 換算して比較 | 支払われている時給と 直接比較 |
| 計算式の概要 | 月給 ÷ 月平均の所定労働時間 | 日給 ÷ 1日の所定労働時間 | 時給 ≧ 最低賃金額 |
| 補足事項 | ・賞与、残業代、通勤手当などは除外 ・月平均の所定労働時間=年間所定労働時間 ÷ 12か月 | ・日によって労働時間が異なる場合は、平均的な所定労働時間を使用 | ・一番わかりやすく比較しやすい形態 ・最低賃金に含まれない手当は除外する必要あり |
なお、最低賃金の確認方法や、最低賃金に含むべき賃金・含まれない賃金については下記コラム記事で解説しています。ぜひ併せてご一読ください。

北海道の最低賃金違反になるケース
「最低賃金は守っているつもりだった…」という企業でも、計算方法や手当の扱いを誤ることで、知らずに違反しているケースが少なくありません。
ここでは、2025年10月に改定された北海道の最低賃金(1,075円)を基準に、月給・日給・時給の各支払い形態ごとに、違法となる具体的な金額例を示してわかりやすく解説します。
月給者の場合
月給制の場合は、「月給 ÷月平均所定労働時間」で1時間あたりの賃金を算出し、最低賃金を下回っていないか確認します。
なお、月平均所定労働時間は年間休日数によって異なってきます。同じ月給額であっても、時給換算額も変動するため、注意しなければなりません。
| 労働条件等 | ケース① | ケース② | ケース③ |
|---|---|---|---|
| 暦日 | 365日 | 365日 | 365日 |
| 年間休日 | 120日 | 115日 | 110日 |
| 労働時間 | 8時間 | 8時間 | 8時間 |
| 所定労働時間月平均 | 164時間 | 167時間 | 170時間 |
| 対象賃金 | 182,500 | 182,500 | 182,500 |
| 時給換算 ※1円未満は四捨五入 | 1,113 | 1,093 | 1,074 |
| 違反状況 | 適法 | 適法 | 違法 |
つまり、北海道では最低賃金の対象となる月給額が「182,500円」の契約においては、月平均所定労働時間が170時間の場合は最低賃金に違反していることになります。
日給者の場合
日給制の場合は、「日給 ÷ 1日の所定労働時間」で時間単価を算出し、最低賃金と比較します。
| 労働条件等 | ケース① | ケース② | ケース③ |
|---|---|---|---|
| 日給額 | 8,500 | 8,500 | 8,500 |
| 1日の労働時間 | 8時間 | 7.5時間 | 7時間 |
| 時給換算 ※1円未満は四捨五入 | 1,063 | 1,133 | 1,214 |
| 違反状況 | 違法 | 適法 | 適法 |
北海道内において最低賃金の対象となる日給額が「8,500円」で1日の労働時間が8時間の場合は最低賃金に違反していることになります。
時給者の場合
時給制はもっともシンプルで、支払われている時給が北海道の最低賃金1,075円を下回っていれば即違法です。
- 時給額:1,074円は違法
- 時給額:1,075円は適法
- 時給額:1,076円は適法
また、求人広告などで「交通費込みで時給1,200円」などと書かれていても、実際の基本時給が1,050円程度であれば違法になる可能性があります。
最低賃金引き上げが企業と労働者に与える影響
最低賃金の引き上げは、単なる数字の変更ではなく、企業経営や労働者の働き方に直接影響を及ぼす経済政策の一環です。特に、2025年10月の北海道最低賃金改定(+65円)は、企業にとってはコスト構造の見直しを迫る一方、労働者にとっては生活水準を底上げする重要な転機となります。
この章では、最低賃金引き上げによって企業側と労働者側それぞれに何が起こるのかを整理し、社労士の実務視点から取るべき対応と注意点を解説します。
企業側の対応と注意点
最低賃金の引き上げにより、企業はまず人件費の増加という現実的な課題に直面します。北海道では、サービス業や観光業、医療や介護分野など、人手に依存する業種が多いため、最低賃金改定の影響を受けやすい点が特徴です。
特にパートやアルバイトを多く雇用している中小企業では、経営への影響が大きくなりやすく、事前の確認と計画的な対応が欠かせません。
最低賃金を下回る賃金を支払っていた場合、行政指導や是正勧告にとどまらず、未払い賃金の支払い義務が生じるリスクがあります。知らなかったでは済まされない法的義務として、毎年の最低賃金改定時にチェック体制を整えておくことが重要です。
人件費の見直しと再計算
最低賃金の上昇は、特にパートやアルバイトを多く雇用する業種にとって大きな影響があります。全従業員の賃金が最低賃金を下回っていないかを確認し、必要に応じて賃上げを行う必要があります。
あわせて、人件費全体と売上や利益とのバランスを確認し、賃金水準、労働時間、配置の見直しを含めた総合的な検討が求められます。
労務管理の見直し
最低賃金を下回る給与は最低賃金法違反となるため、労働時間の管理方法、給与体系、手当の内訳まで細かく確認することが重要です。
特に固定残業代制度を採用している企業では、基本給部分が最低賃金を下回っていないか慎重にチェックする必要があります。
業務効率化と生産性向上の取り組み
人件費の上昇に対応するためには、業務効率化や生産性向上が欠かせません。ITツールの導入や業務フローの見直しなど、人を減らすのではなく仕事のやり方を変える視点が重要です。
中小企業には助成金の活用も視野に
賃金引き上げに伴う負担を軽減する手段として、業務改善助成金の活用も検討しましょう。
- 目的最低賃金の引き上げと生産性向上のための設備投資を支援
- 助成額最大600万円(企業規模や引き上げ人数等により変動)
- 対象経費例POSレジ、勤怠管理システム、パソコン、業務用ソフトなど
単にコストが増えると悲観するのではなく、助成金を活用しながら業務効率や生産性を高める契機とすることで、中長期的な競争力強化につなげることが可能です。
労働者が知っておくべきポイント
労働者にとって最低賃金の引き上げは、実質的な収入アップにつながる重要な制度改定です。一方で、現場では時給が変わっていない、手当で調整されているといった誤った対応が見られることもあります。
最低賃金はお願いするものではなく法律で守られた権利です。自分の賃金が適正かを確認することが、健全な働き方の第一歩といえるでしょう。
自分の賃金が最低賃金を下回っていないか確認
最低賃金は都道府県ごとに設定され、毎年改定されます。最新の金額を確認するとともに、交通費や一部手当は最低賃金の計算に含まれない点にも注意が必要です。
会社とのコミュニケーションも大切に
最低賃金を下回っている可能性がある場合は、まずは会社に事実を伝え、是正を求めることが望ましいでしょう。改善されない場合には、労働基準監督署などの行政機関に相談することも選択肢の一つです。
引き上げられる最低賃金への適切な対応策
最低賃金の改定は、企業と労働者双方にとって一時的な負担ではなく、将来につながる転換点です。
損か得かではなく、どうすれば働きがいのある職場をつくれるかという視点を持つことで、法令遵守と職場環境の改善を両立させることができます。
企業は定期的な賃金チェックの習慣化を、労働者は自らの労働条件への理解を深め、信頼と安心のある職場づくりに最低賃金制度を活かしていきましょう。
【北海道版】最低賃金に関するよくある質問と回答
最低賃金は一見シンプルな制度のように見えますが、実際には「例外」や「誤解されやすいポイント」が多くあります。そのため、企業側でも労働者側でも「この場合どうなるの?」「違反したらどうなる?」という疑問が日々寄せられています。
ここでは、よくある質問をピックアップし、専門家としての見解を交えてわかりやすく解説します。実務に直結する内容なので、ぜひ自社や自身の働き方と照らし合わせながらご覧ください。
まとめ:最低賃金改定への理解と今後の対応
2025年10月に実施された北海道最低賃金の改定は、労働者の生活を下支えする制度改正であると同時に、企業にとっては経営戦略や人材戦略の見直しを迫られる重要な転機の一つといえるでしょう。
最低賃金制度は、単なる時給の下限を定めるルールではありません。労働環境の公平性を確保し、地域経済の持続可能性を支える社会的インフラとしての役割を担っています。
最低賃金は毎年改定される制度ですが、重要なのは改定に追われることではなく、どう活用するかという視点です。賃金水準の見直しをきっかけに、人材の定着、業務効率の改善、働きがいの向上へとつなげられるかどうかが、今後の企業経営の成否を分けるポイントになると考えられます。
今後も最低賃金を取り巻く環境は、物価動向や国の賃上げ方針を背景に、継続的な引き上げが想定される状況が続くでしょう。北海道においても、最低賃金への対応は一時的な調整ではなく、中長期的な賃金設計や労務管理の課題として捉える必要があります。
本記事をきっかけに、企業と労働者双方が制度を正しく知り、実務に活かすという視点を持ち、法令遵守と持続可能な働き方・経営につなげていただければ幸いです。



