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【2026年最新】宮城県の最低賃金は?推移や引き上げ額・ランキングを解説

本記事ではこのようなお悩みを解決いたします
  • 宮城県の最低賃金を確認したい
  • 宮城県の最低賃金の推移を知りたい
  • 最低賃金に関する基礎的な情報を確認したい

2025年10月の改定により、宮城県の最低賃金は大きく引き上げられました。最低賃金の見直しは毎年行われていますが、近年は物価上昇や人手不足、国の賃上げ方針を背景に、引き上げ幅そのものが年々大きくなっている点が特徴です。

最低賃金の改定は、労働者の生活を守るための制度であると同時に、企業にとっては人件費設計や雇用戦略、労務管理全体を見直す重要な契機となります。特に宮城県では、仙台市を中心とした都市部と周辺地域が混在しており、パート・アルバイトを含む多様な雇用形態が見られることから、最低賃金の引き上げが経営判断に直結するケースも少なくありません。

その一方で、

自社の給与水準は、最新の最低賃金を下回っていないだろうか
パート・アルバイトや試用期間中の従業員にも適用されるのか
月給制・日給制の場合、どのように確認すればよいのか

といった疑問や不安を感じている経営者・人事労務担当者の方も多いのではないでしょうか。

最低賃金は、「知らなかった」では済まされない法律上の最低基準です。万が一、最低賃金を下回る賃金を支払っていた場合、是正指導や未払い賃金の支払いに加え、状況によっては罰則の対象となる可能性もあります。

そのため、単に最低賃金の金額を把握するだけでなく、

  • どの賃金項目が最低賃金の対象になるのか
  • いつから新しい最低賃金が適用されるのか
  • 実務上、どのように確認し管理すべきか

といったポイントまで、正しく理解しておくことが重要です。

本記事では、2026年版として最新の宮城県最低賃金(1,038円)をわかりやすく整理するとともに、改定の背景や今後の動向企業・労働者それぞれへの影響、そして社労士の実務視点から見た注意点・対応ポイントまでを、網羅的に解説していきます。

労務担当者や経営者の方はもちろん、宮城県で働くすべての方にとっても、最低賃金制度を正しく理解するための参考として、ぜひ最後までご覧ください。

このページの概要

宮城県の最低賃金とは?

最低賃金は、すべての労働者に共通して適用される「賃金の下限」を定める重要なルールです。

宮城県においても、国の方針に基づき毎年見直しが行われており、企業には必ずこの基準額以上の賃金を支払う義務があります。特に近年は、物価上昇や人手不足の影響により、最低賃金が年々引き上げられており、多くの経営者が対応に迫られているのが現状です。

まずは、「最低賃金とはそもそも何か?」「自社や自分の働き方にも適用されるのか?」といった基本的な疑問を解消するために、最低賃金制度の概要と、宮城県における適用範囲を見ていきましょう。

最低賃金制度の概要

最低賃金制度とは、使用者(企業)が労働者に支払う賃金の最低額を、国や都道府県が法的に定める制度です。目的は、労働者の生活の安定と、雇用環境の健全な維持とされます。

最低賃金には大きく分けて次の2種類があります。

最低賃金の種類
  • 地域別最低賃金:都道府県ごとに定められ、企業の所在地に応じて適用される。
  • 特定(産業別)最低賃金:特定の業種に対して設定され、地域別最低賃金よりも高額になる場合がある。

つまり、宮城県で働く労働者には、原則として宮城県の地域別最低賃金が適用され、さらに該当する業種であれば特定最低賃金が優先される(特定最低賃金>地域別最低賃金の場合)ことになります。

最低賃金制度は単なる「時給の基準」ではなく、経営戦略や雇用維持にも密接に関わります。最低賃金の上昇に対応できる企業体制を早期に整えることが、人材確保と定着のカギになります。

前提確認:最低賃金の適用範囲と対象者

最低賃金は、すべての労働者に適用されるわけではありません。正社員やパート・アルバイトだけでなく、外国人労働者やインターンなど、多様な働き方がある中で、「自分が最低賃金の対象かどうか」を正しく理解することが大切です。
以下の表では、最低賃金が適用される人適用されない人を一覧でわかりやすく整理していますので、ご参考ください。

適用される人説明適用されない人説明
正社員通常の労働契約に基づく労働者。最低賃金が当然に適用される。無償インターン・ボランティア労働契約がなく、報酬も発生しないため対象外。
パート・アルバイト雇用形態に関係なく、労働者であれば適用される。自営業者・業務委託
(フリーランス)
雇用契約ではなく、業務委託契約等に基づくため対象外。
契約社員・派遣社員雇用されている限り、最低賃金が適用される。同居の親族のみの
家族従業員
給与の支払いや労働の対価性が明確でない場合は対象外。
外国人労働者
(技能実習生・留学生含む)
国籍や在留資格に関係なく、労働者であれば適用される。
試用期間中の労働者試用中であっても雇用契約があれば適用される。
研修中の労働者実務を伴う研修は労働とみなされ、最低賃金が適用される。
有償インターン
(労働契約あり)
労働契約があれば、インターンであっても適用対象。

宮城県の最低賃金はどこで勤務する人に適用される?

最低賃金は「働いている場所(=事業所の所在地)」によって決まります。つまり、宮城県に事業所を構えており、そこで働いている場合は、たとえ他府県に住んでいたとしても宮城県の最低賃金が適用されます。

ここでは、最低賃金が誰にどのように適用されるのか、よくあるケース別に整理してご紹介します。

原則:最低賃金は実際に働く「事業所の所在地」ごとに適用

最低賃金は「会社の本社所在地」ではなく、実際に労働者が働いている事業所の場所で判断されます。

本社事業所の所在地勤務先事業所の所在地適用される最低賃金
青森県宮城県宮城県
宮城県東京東京

そのため、就業場所ごとに最低賃金をチェックすることが重要です。

ただし、本社が東京にあり、宮城県内に事業所を設けていない場合で、単にクライアント対応などのために一時的に宮城県で業務を行っているようなケースでは、適用されるのは「東京の最低賃金」となります。この点は見落とされやすいため、注意が必要です。

ヘルプなどで都道府県をまたいで移動する場合は?

たとえば、普段は宮城県の店舗で働いているアルバイトが、1日だけ青森県の店舗に応援に行った場合であっても、その日の最低賃金は宮城県の最低賃金(=従業員が所属している就業場所)で判断されます。

従って、臨時の応援等で一時的に就業場所が変わったとしても、適用される最低賃金は変わらないという点に注意が必要してください。

テレワーク・在宅勤務の場合は?

テレワークや在宅勤務が増える中、「最低賃金はどこ基準で見るの?」という疑問もあるでしょう。この場合、従業員が所属している事業所の所在地が基準になります。

本社事業所の所在地テレワーク・在宅勤務の場所適用される最低賃金
東京宮城県東京
大阪宮城県大阪

従業員の自宅(在宅勤務の場所)の所在地にかかわらず、従業員が所属している会社の所在地における最低賃金が適用される点は注意しておきましょう。

【2026年最新版】宮城県の最低賃金改定内容

2025年10月の改定により、宮城県の最低賃金は大幅に引き上げられました。最低賃金は毎年見直される制度ですが、近年は物価上昇や人手不足の深刻化、国の賃上げ方針を背景に、引き上げ幅そのものが拡大している点が大きな特徴です。

今回の改定も、政府・労働界・経済界による協議を経て、「地域で生活できる賃金水準を確保すること」が重要課題とされた結果といえます。宮城県においても、最低賃金の引き上げは、労働者の生活を支える制度改正であると同時に、企業の人件費設計や雇用戦略を見直す契機となっています。

本記事では、2025年10月改定のポイントをわかりやすく整理するとともに、過去の最低賃金の推移や近隣県との比較も交えながら、宮城県で働く人・企業の双方にとって実務に役立つ情報を解説していきます。

宮城県の新しい最低賃金額と発効日は?

引用元;「宮城県最低賃金リーフレット」より

2025年10月4日から、宮城県の最低賃金は時間額1,038円に改定されました。これは、前年の973円から65円の引き上げとなり、引き上げ率は6.7%と、宮城県としても過去最大級の上昇幅です。

宮城県の最低賃金の動向について
  • 改定前(2024年度):973円
  • 改定後(2025年度):1,038円
  • 引き上げ額:65円
  • 引き上げ率:6.7%
  • 発効日:2025年10月4日

この改定により、月100時間程度勤務するパート・アルバイトの場合月額で約6,500円以上の賃金増となる計算です。労働者にとっては生活水準の底上げにつながる一方、企業にとっては人件費や賃金テーブル全体の見直しが避けられない状況となっています。

特に、最低賃金に近い水準で賃金を設定している事業所や、パート・アルバイト比率が高い企業では、一部の従業員だけでなく全体の賃金バランスに影響が及ぶケースも少なくありません。今回の改定を機に、単なる時給調整にとどまらず、賃金体系全体を点検することが、実務上の重要なポイントといえるでしょう。

宮城県の最低賃金(1,038円)はいつの給与から反映?

2025年10月4日より、宮城県の最低賃金が時間額1,038に引き上げられます。以下は、締め日と支払日のパターンごとに、新しい最低賃金をいつから反映すべきかをまとめた表ですので、ご参考いただければ幸いです。

締め日・支払日締め日例支払日例10月4日以降の労働を含むか最低賃金の反映
末締め
末日払い
9月30日10月31日含まない
(9/1〜9/30の勤務)
旧賃金でOK
(まだ最低賃金は反映されない)
10日締め
当月25日払い
10月10日10月25日一部含む
(9/11〜10/10の勤務)
10月4日以降の
勤務分に反映必要
15日締め
当月末日払い
10月15日10月31日一部含む
(9/16〜10/15の勤務)
10月4日以降の
勤務分に反映必要
末日締め
翌月末日払い
10月31日11月30日含む
(10/1〜10/31の勤務)
全期間で反映必要
10日締め
当月25日払い
11月10日11月25日含む
(10/11〜11/10の勤務)
全期間で反映必要

例えば、月末締め・翌月25日払いの会社の場合、10月分給与(11月25日支給)には、2025年10月4日以降に働いた時間すべてについて、最低賃金1,038円以上を適用する必要があります。ここで重要なのは、給与の支払日ではなく「いつ働いたか」が基準になるという点です。

実務上よくある誤解として、「支払日が発効日より後だから大丈夫」と考えてしまうケースがありますが、これは誤りです。発効日(2025年10月4日)以降の労働に対して旧賃金を適用してしまうと、最低賃金法違反となる可能性があります。

また、月給制社員や固定残業代制を採用している場合であっても例外ではありません。

実際の労働時間をもとに時間給換算を行い、最低賃金1,038円を下回っていないかを必ず確認する必要があります。特に、最低賃金に算入されない手当(通勤手当・皆勤手当・家族手当など)が多い賃金設計の場合は、意図せず最低賃金を下回るリスクが高まるため注意が必要です。

最低賃金改定時には、賃金表・雇用契約書・給与計算ソフトの設定を早めに見直すことで、未払い賃金の発生や是正指導といったリスクを未然に防ぐことができます。宮城県内で事業を行う企業においては、最低賃金の発効日を起点とした賃金管理を徹底することが、実務上の重要ポイントといえるでしょう。

宮城県における過去の最低賃金推移と引き上げ幅

以下は平成14年度以降の宮城県最低賃金の推移となります。

年度最低賃金額引き上げ額引上げ率発行月日
平成14年617平成14年10月2日
平成15年61700平成14年10月2日
平成16年61920.3平成16年10月1日
平成17年62340.6平成17年10月1日
平成18年62850.8平成18年10月1日
平成19年639111.8平成19年10月20日
平成20年653142.2平成20年10月24日
平成21年66291.4平成21年10月24日
平成22年674121.8平成22年10月24日
平成23年67510.1平成23年10月29日
平成24年685101.5平成24年10月19日
平成25年696111.6平成25年10月31日
平成26年710142平成26年10月16日
平成27年726162.3平成27年10月3日
平成28年748223平成28年10月5日
平成29年772243.2平成29年10月1日
平成30年798263.4平成30年10月1日
令和元年824263.3令和元年10月1日
令和2年82510.1令和2年10月1日
令和3年853283.4令和3年10月1日
令和4年883303.5令和4年10月1日
令和5年923404.5令和5年10月1日
令和6年973505.4令和6年10月1日
令和7年1,038656.7令和7年10月4日

宮城県の最低賃金の推移を振り返るうえで、特に注目すべき点として挙げられるのが、令和2年(2020年)は前年から最低賃金が据え置きとなった点です。これは、新型コロナウイルス感染症の拡大により地域経済が深刻な影響を受けたことを踏まえ、当時は最低賃金を引き上げる環境にないと判断され、例外的に現行水準を維持する対応が取られたためです。

しかしその後は、経済活動の回復に加え、物価上昇の進行慢性的な人手不足の顕在化を背景として、最低賃金は再び引き上げ基調へと明確に転換しました。宮城県においてもこの流れは例外ではなく、引き上げ幅は年を追うごとに拡大しています。

具体的には、2024年度の改定において、宮城県の最低賃金は923円から973円へ(+50円)と、当時としては過去最大級の引き上げが実施されました。さらに、直近の2025年10月改定では、973円から1,038円へ(+65円)と、宮城県としても過去最大級の上昇幅となっています(発効日:2025年10月4日)。

最低賃金の引き上げの動向はどう考えるべき?

このような推移から読み取れるのは、最低賃金が例外的に据え置かれる制度ではなく、継続的に引き上げられることを前提に運用されるフェーズに入っているという点です。宮城県は仙台圏を中心にサービス業・医療介護・物流など人手依存度の高い業種も多く、最低賃金の上昇が採用・定着・人件費構造に直結しやすい地域でもあります。

企業側としては、最低賃金対応を「毎年必ず発生する定例業務」として組み込み、

  • 発効日を起点に勤怠を区分できているか
  • 月給者を時間給換算したときに下回らないか
  • 最低賃金に算入されない手当(通勤手当・皆勤手当など)を除いて判定できているか

といった点を、毎年のチェック項目として整備しておくことが重要です。

宮城県の最低賃金は全国で何位?【全国ランキング】

宮城県の最低賃金は、全国で第30位に位置しています。​2025年10月に改定された最低賃金額は宮城県は1,038円で、前後では山口県の1,043円、香川県の1,036円です。

2026年最低賃金ランキング

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順位都道府県名最低賃金額順位都道府県名最低賃金額順位都道府県名最低賃金額順位都道府県名最低賃金額順位都道府県名最低賃金額
1位東京1,22611位広島1,08521位石川1,05431位香川1,03641位鳥取1,030
2位神奈川1,22512位滋賀1,08022位福井1,05332位大分1,03541位佐賀1,030
3位大阪1,17713位北海道1,07523位山梨1,05233位熊本1,03443位青森1,029
4位埼玉1,14114位茨城1,07424位奈良1,05134位福島1,03344位鹿児島1,026
5位千葉1,14015位栃木1,06825位新潟1,05034位島根1,03345位高知1,023
5位愛知1,14016位岐阜1,06526位岡山1,04734位愛媛1,03345位宮崎1,023
7位京都1,12217位群馬1,06327位徳島1,04637位山形1,03245位沖縄1,023
8位兵庫1,11618位富山1,06228位和歌山1,04538位岩手1,031
9位静岡1,09719位長野1,06129位山口1,04338位秋田1,031
10位三重1,08720位福岡1,05730位宮城1,03838位長崎1,031

都市部の上位都道府県と比較すると水準差はあるものの、宮城県も地方圏として着実に最低賃金の引き上げが進んでいる地域といえます。特に近年は、全国的な賃上げの流れを背景に、引き上げ幅そのものが拡大している点が特徴です。

2025年度改定後の全国最低賃金を俯瞰すると、東京都・神奈川県・大阪府といった物価水準や経済規模の大きい都市部が上位を占めています。一方で宮城県は、全国加重平均額を意識しながら段階的な引き上げが継続されてきた地域であり、最低賃金水準は年を追うごとに確実に底上げされていることが分かります。

宮城県の最低賃金は、全国を先導する「指標的な水準」という位置づけではありませんが、全国的な賃上げの流れを確実に反映しながら引き上げられるゾーンにあります。そのため、毎年の改定ごとに一定以上の引き上げが行われる可能性が高い点には、企業側として十分な注意が必要です。

特に宮城県は、仙台市を中心とした都市部と周辺地域が混在しており、パート・アルバイト比率の高い業種や人手依存度の高いサービス業も多く見られます。そのため、最低賃金の上昇が人件費全体や採用条件に与える影響が顕在化しやすい地域といえるでしょう。

【参考】2024年10月〜2025年10月改定までのランキングは?

2024年10月から2025年10月改定までの宮城県の最低賃金は、全国で第30位に位置していました。​2024年度の宮城県の最低賃金額は973円で、前後では山口県の979円、香川県の970円です。

2024年度改定の全国最低賃金ランキング 

宮城県と近隣府県の最低賃金比較

宮城県の最低賃金(1,038円)は、全国的にも低めなに位置していますが、隣接する府県と比べてどうなのでしょうか?以下は主要な近隣府県との比較となりますので、ご参考ください(2026年1月時点)。

地域最低賃金宮城県との比較
青森1,029-9
岩手1,031-7
秋田1,031-7
山形1,032-6
福島1,033-5

東北地方内で比較してみても、宮城県は極端に低い最低賃金水準にとどまっている地域ではありません。むしろ、全国的な賃上げの流れを確実に反映しながら引き上げが行われている県といえます。特に直近の改定では、1,000円台への到達を明確に意識した水準設定となっており、地方圏における最低賃金の位置づけは大きく変化しています。

この背景には、物価上昇の影響人手不足の深刻化に加え、製造業・医療・介護・サービス業など、宮城県内に多い労働集約型産業の存在があります。最低賃金は単に地域の裁量で決まるものではなく、「地域で生活を維持できる賃金水準はいくらか」という観点から、国の目安と地域事情を踏まえて総合的に判断されています。

そのため宮城県においても、全国的な賃上げの流れを受けて、今後も一定以上の引き上げが継続される可能性が高いと考えられます。企業にとっては、過去の水準や近隣県の感覚だけで賃金を設定していると、気付かないうちに最低賃金を下回るリスクが生じやすい点に注意が必要です。

特に、宮城県内に複数の事業所を持つ企業や、他都道府県にも拠点を展開している企業の場合、就業場所ごとに適用される最低賃金が異なる点を正確に理解しておく必要があります。実務上は、「どこで働くか」を基準に最低賃金を判定し、地域別の賃金管理を行うことが、最低賃金違反を防ぐうえで欠かせません。

最低賃金と実際の賃金の比較方法

「最低賃金は守っているつもりだったのに、実は違反していた」――これは決して珍しい話ではありません。その原因の多くは、最低賃金を判断するうえで必要となる「正しい計算方法」と「適用される賃金項目の理解」にあります。

最低賃金の確認には、単に時給を見ればよいというわけではなく、支給項目の内容や支払い方法によっても判断が変わるため、注意が必要です。

ここでは、自社の賃金が最低賃金を下回っていないかを確認するための具体的な比較方法をわかりやすく解説します。経営者・人事担当者の方はもちろん、「自分の給与は大丈夫?」と不安を感じている労働者の方にも、ぜひ参考にしていただければ幸いです。

前提の整理:最低賃金の確認方法(給与形態別比較)

項目月給制日給制時給制
最低賃金との比較方法月給を時間単価に
換算して比較
日給を時間単価に
換算して比較
支払われている時給と
直接比較
計算式の概要月給 ÷ 月平均の所定労働時間日給 ÷ 1日の所定労働時間時給 ≧ 最低賃金額
補足事項・賞与、残業代、通勤手当などは除外
・月平均の所定労働時間=年間所定労働時間 ÷ 12か月
・日によって労働時間が異なる場合は、平均的な所定労働時間を使用・一番わかりやすく比較しやすい形態
・最低賃金に含まれない手当は除外する必要あり

なお、最低賃金の確認方法や、最低賃金に含むべき賃金・含まれない賃金については下記コラム記事で解説しています。ぜひ併せてご一読ください。

宮城県の最低賃金違反になるケース

「最低賃金は守っているつもりだった…」という企業でも、計算方法や手当の扱いを誤ることで、知らずに違反しているケースが少なくありません。

ここでは、2025年10月現在の宮城県の最低賃金(1,038円)を基準に、月給・日給・時給の各支払い形態ごとに、違法となる具体的な金額例を示してわかりやすく解説します。

月給者の場合

月給制の場合は、「月給 ÷月平均所定労働時間」で1時間あたりの賃金を算出し、最低賃金を下回っていないか確認します。

なお、月平均所定労働時間は年間休日数によって異なってきます。同じ月給額であっても、時給換算額も変動するため、注意しなければなりません。

労働条件等ケース①ケース②ケース③
暦日365日365日365日
年間休日120日115日110日
労働時間8時間8時間8時間
所定労働時間月平均164時間167時間170時間
対象賃金170,400170,400170,400
時給換算
※1円未満は四捨五入
1,0391,0201,002
違反状況適法違法違法

つまり、宮城県では最低賃金の対象となる月給額が「170,400円」の契約においては、月平均所定労働時間が170時間の場合は最低賃金に違反していることになります。

月給制社員の最低賃金チェックでは、「基本給や固定給」で判断することが重要です。残業代や交通費などは含められません。

日給者の場合

日給制の場合は、「日給 ÷ 1日の所定労働時間」で時間単価を算出し、最低賃金と比較します。

労働条件等ケース①ケース②ケース③
日給額8,2908,2908,290
1日の労働時間8時間7.5時間7時間
時給換算
※1円未満は四捨五入
1,0361,1051,184
違反状況違法適法適法

宮城県では最低賃金の対象となる日給額が「8,290円」で1日の労働時間が8時間の場合は最低賃金に違反していることになります。

時給者の場合

時給制はもっともシンプルで、支払われている時給が宮城県の最低賃金1,038円を下回っていれば即違法です。

  • 時給額:1,037円は違法
  • 時給額:1,038円は適法
  • 時給額:1,039円は適法

また、求人広告などで「交通費込みで時給1,200円」などと書かれていても、実際の基本時給が1,030円程度であれば違法になる可能性があります。

「時給換算では1,038円を上回っている」と見えても、賃金に含まれる項目によっては違法となる場合があります。交通費や各種手当を含めての時給表示には要注意です。

最低賃金引き上げが企業と労働者に与える影響

最低賃金の引き上げは、単なる数字の変更ではなく、企業経営や労働者の働き方に直接影響を及ぼす重要な経済政策の一環です。とりわけ近年は、物価上昇や人手不足への対応という観点から、最低賃金の役割が一段と重視されています。

2025年10月の最低賃金改定では、宮城県は前年度から65円の引き上げが行われ、最低賃金は1,038円となりました。これは、宮城県としても過去最大級の引き上げ幅であり、最低賃金が本格的に1,000円台へ定着する転換点といえます。

企業にとっては、人件費の増加や賃金テーブルの見直しといった形で、コスト構造の再設計を迫られる局面となる一方、労働者にとっては、生活水準を下支えし、就労継続や働き方の選択に影響を与える重要な節目となります。

最低賃金改定を一時的な負担として捉えるのではなく、人材確保・定着や生産性向上を見据えた経営判断の材料としてどう活用するかが、今後の宮城県内企業にとって大きなポイントになるでしょう。

この章では、最低賃金引き上げによって企業側・労働者側それぞれに何が起こるのかを整理したうえで、社労士の実務視点から取るべき対応と注意点をわかりやすく解説していきます。

企業側の対応と注意点

最低賃金の引き上げにより、企業はまず人件費の増加という現実的な課題に直面します。宮城県では、サービス業や観光業、医療や介護分野など、人手に依存する業種が多いため、最低賃金改定の影響を受けやすい点が特徴です。

特にパートやアルバイトを多く雇用している中小企業では、経営への影響が大きくなりやすく、事前の確認と計画的な対応が欠かせません。

最低賃金を下回る賃金を支払っていた場合、行政指導や是正勧告にとどまらず、未払い賃金の支払い義務が生じるリスクがあります。知らなかったでは済まされない法的義務として、毎年の最低賃金改定時にチェック体制を整えておくことが重要です。

人件費の見直しと再計算

最低賃金の上昇は、特にパートやアルバイトを多く雇用する業種にとって大きな影響があります。全従業員の賃金が最低賃金を下回っていないかを確認し、必要に応じて賃上げを行う必要があります。

あわせて、人件費全体と売上や利益とのバランスを確認し、賃金水準、労働時間、配置の見直しを含めた総合的な検討が求められます。

労務管理の見直し

最低賃金を下回る給与は最低賃金法違反となるため、労働時間の管理方法、給与体系、手当の内訳まで細かく確認することが重要です。

特に固定残業代制度を採用している企業では、基本給部分が最低賃金を下回っていないか慎重にチェックする必要があります。

業務効率化と生産性向上の取り組み

人件費の上昇に対応するためには、業務効率化や生産性向上が欠かせません。ITツールの導入や業務フローの見直しなど、人を減らすのではなく仕事のやり方を変える視点が重要です。

中小企業には助成金の活用も視野に

賃金引き上げに伴う負担を軽減する手段として、業務改善助成金の活用も検討しましょう。

  • 目的最低賃金の引き上げと生産性向上のための設備投資を支援
  • 助成額最大600万円(企業規模や引き上げ人数等により変動)
  • 対象経費例POSレジ、勤怠管理システム、パソコン、業務用ソフトなど

単にコストが増えると悲観するのではなく、助成金を活用しながら業務効率や生産性を高める契機とすることで、中長期的な競争力強化につなげることが可能です。

労働者が知っておくべきポイント

労働者にとって最低賃金の引き上げは、実質的な収入アップにつながる重要な制度改定です。一方で、現場では時給が変わっていない、手当で調整されているといった誤った対応が見られることもあります。

最低賃金はお願いするものではなく法律で守られた権利です。自分の賃金が適正かを確認することが、健全な働き方の第一歩といえるでしょう。

自分の賃金が最低賃金を下回っていないか確認

最低賃金は都道府県ごとに設定され、毎年改定されます。最新の金額を確認するとともに、交通費や一部手当は最低賃金の計算に含まれない点にも注意が必要です。

会社とのコミュニケーションも大切に

最低賃金を下回っている可能性がある場合は、まずは会社に事実を伝え、是正を求めることが望ましいでしょう。改善されない場合には、労働基準監督署などの行政機関に相談することも選択肢の一つです。

引き上げられる最低賃金への適切な対応策

最低賃金の改定は、企業と労働者双方にとって一時的な負担ではなく、将来につながる転換点です。

損か得かではなく、どうすれば働きがいのある職場をつくれるかという視点を持つことで、法令遵守と職場環境の改善を両立させることができます。

企業は定期的な賃金チェックの習慣化を、労働者は自らの労働条件への理解を深め、信頼と安心のある職場づくりに最低賃金制度を活かしていきましょう。

【宮城県版】最低賃金に関するよくある質問と回答

最低賃金は一見シンプルな制度のように見えますが、実際には「例外」や「誤解されやすいポイント」が多くあります。そのため、企業側でも労働者側でも「この場合どうなるの?」「違反したらどうなる?」という疑問が日々寄せられています。

ここでは、よくある質問をピックアップし、専門家としての見解を交えてわかりやすく解説します。実務に直結する内容なので、ぜひ自社や自身の働き方と照らし合わせながらご覧ください。

宮城県の「特定最低賃金」について教えてください。

最低賃金には「地域別最低賃金」のほかに、「特定(産業別)最低賃金」という制度があります。これは、一定の技能や責任が求められる業種に対して、地域別よりも高い最低賃金が別途定められるという制度です。

2025年(令和7年度)の宮城県における特定最低賃金は下記のようになっています。

特定最低賃金が適用される業種時間額効力発生日
鉄鋼業1,125令和7.12.15
電子部品・デバイス・電子回路、電気機械器具、情報通信機械器具製造業1,077令和7.12.15
自動車小売業1,101令和7.12.15

特定最低賃金が地域別最低賃金よりも高い金額で定められている場合は、地域別最低賃金ではなく、特定最低賃金が優先されて適用されます。自社が対象業種に該当するかは、必ず厚生労働省や宮城労働局の公示情報を確認しましょう。

宮城県の会社に派遣されています。派遣元は青森県なのですが、最低賃金はどちらが適用されますか?

結論、派遣先の最低賃金が適用されます。

そのため、派遣元の事業所が京都・派遣先が宮城県の会社である場合は「宮城県の最低賃金」が適用されます。

最低賃金は正社員だけでなく、パート・アルバイトにも適用されますか?

雇用形態にかかわらずすべての労働者に適用されます。

正社員・契約社員・パート・アルバイト・学生アルバイトなどの区別はありません。

固定残業代を導入していますが、最低賃金との関係で注意点はありますか?

固定残業代を導入している場合でも、基本給部分が最低賃金を下回っていないかを確認する必要があります。

固定残業代を含めて最低賃金を満たしていると誤解しやすいため、注意が必要です。

まとめ:最低賃金改定への理解と今後の対応

2025年10月に実施された宮城県最低賃金の改定は、労働者の生活を下支えする重要な制度改正であると同時に、企業にとっては経営戦略や人材戦略の見直しを迫られる大きな転機の一つといえるでしょう。

最低賃金制度は、単に時給の下限を定めるためのルールではありません。労働環境の公平性を確保し、地域経済の持続可能性を支える社会的インフラとしての役割を担っています。宮城県においても、最低賃金は地域で働く人々の生活基盤を支える重要な制度です。

最低賃金は毎年改定される制度ですが、重要なのは改定に追われることではなく、どう活用するかという視点です。賃金水準の見直しをきっかけに、人材の定着、業務効率の改善、働きがいの向上へとつなげられるかどうかが、今後の企業経営の成否を分ける重要なポイントになると考えられます。

今後も最低賃金を取り巻く環境は、物価動向や国の賃上げ方針を背景に、継続的な引き上げが想定される状況が続くでしょう。宮城県においても、最低賃金への対応は一時的な調整ではなく、中長期的な賃金設計や労務管理の課題として捉える必要があります。

本記事をきっかけに、企業と労働者双方が最低賃金制度を正しく理解し、実務に活かす視点を持つことで、法令遵守と持続可能な働き方・経営の両立につなげていただければ幸いです。

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