読点と句点の正しい使い方とは?文章力が上がる基本ルールまとめ

文章を書くうえで、「読点(、)」と「句点(。)」の使い方は意外と悩ましいものです。
正しく使えば読みやすく、伝わりやすい文章になりますが、誤った使い方をすると意味が曖昧になったり、読みにくく感じられたりすることもあります。特にビジネス文書やブログ、メールなど、他人に読まれる文章では、この違いが大きな印象の差を生むでしょう。
この記事では、文章力を高めたい方のために、読点と句点の基本的な役割から、よくある誤用、そしてプロが実践する使い分けのコツまでをわかりやすく解説しますので、読み手にスムーズに届く文章を目指しましょう!
そもそも句読点(「、」「。」)って何?
日本語の文章において「句読点」は、文章のリズムや意味の区切りを示す重要な記号です。
普段あまり意識しないかもしれませんが、これらの使い方ひとつで読みやすさや伝わりやすさが大きく変わってきます。ここではまず、句読点の基本的な意味と役割を確認しましょう。
句読点の基本
「句読点(くとうてん)」とは、日本語の文章において用いられる区切り記号の総称です。主に次の2つがあります。
句読点の種類
- 句点(くてん):「。」
- 文の終わりを示す記号です。
- 書き言葉で使われ、話し言葉における「間」や「語尾の変化」のような役割を果たします。
- 読点(とうてん):「、」
- 文中で意味の区切りや、読みやすさのための一呼吸を入れる位置に使われます。
- 主語と述語の区切り、並列関係の整理、修飾語の曖昧さを防ぐなど、複数の役割があります。
これらは日本語特有のリズムや構造に深く関わっており、正しく使い分けることで文章の質を格段に向上させることができます。
「句点」と「読点」の違い
句点と読点はどちらも文章の流れを整える記号ですが、役割は明確に異なります。以下のように理解しておくと使い分けがしやすくなります。
| 項目 | 句点(。) | 読点(、) |
|---|---|---|
| 目的 | 文の終わりを示す | 文中の意味の区切りを示す |
| 使用位置 | 文末 | 文中(文の途中) |
| 主な効果 | 完結感、話の区切り | 意味の明確化、読みやすさの向上 |
| 英語における対応 | ピリオド(.) | カンマ(,) |
たとえば、「私は学生です。」の「。」はその文が完了したことを示します。
一方、「私は、学生です。」の「、」は「私」と「学生」という情報の間に区切りを入れ、読みやすさを意識した使い方です。
正しく使い分けることで、伝えたい内容がより正確に、そしてスムーズに読み手に届くようになるでしょう。
句読点を使う目的と効果
句読点は、単なる「文章の飾り」ではなく、伝わる文章を書くための大切なルールです。
ここでは、句読点を使うことで得られる主な効果について解説します。読者の理解を助け、情報の伝達精度を高めるためにも、その役割を正しく把握しておきましょう。
読みやすさを向上させる理由
句読点は、文章に「リズム」と「余白」を与える役割を果たします。特に長文や複雑な文構造の場合、読点があるかないかで読み手の負担が大きく変わるのです。
- 情報が一塊ずつ分けられ、視線の流れが自然になる
- 一文が長くても、読点で小休止を挟むことで理解しやすくなる
- 並列や列挙の関係が明確になる
例えば、「私は友人と映画を見た」という文章に対し、「私は、友人と映画を見た」と読点を入れることで、各情報が明確に整理され、視認性が向上します。
読み手の立場に立って文章を整えるうえで、句読点の配置は非常に大きな意味を持っているのです。
意味を正確に伝えるための役割
句読点は、文章の意味を正しく伝えるための「ガイドマーカー」のような役割も果たします。特に読点は、意味の曖昧さを回避するために欠かせません。
読点の有無で意味が変わる例として
- 佐藤さんは、家に帰っていなかった。
- 佐藤さんは家に帰って、いなかった。
上の例では、前者だと「佐藤さんはまだ家に帰っていない」ようにも読めますが、後者では「佐藤さんは家に帰っているので、この場にいない」ことが明確になります。
また、句点は文の終わりを示すことで、文ごとの意味を区切り、論理のつながりをわかりやすくします。
句点の役割
- 読み手が「どこで区切るか」を自然に理解できるようにする
- 複数の文を比較したり並べたりする際の基準を作る
このように、句読点はただ「読むための補助」ではなく、「伝えるための必須機能」なのです。
読点「、」の代表的な使い方・ルール
読点は、文中に自然な区切りを与え、読みやすくするための記号ですが、効果的に使うには一定のルールがあります。
曖昧な使い方では逆に意味が伝わりづらくなることもあるため、基本的な使い方を押さえておきましょう。ここでは、代表的な3つの使い方をご紹介します。
並列項目の区切り
複数の語句を並べる場合、それぞれの項目を明確に区切るために読点を使います。これは情報を整理し、混乱を避けるうえで非常に効果的です。
例えば、
- 正しい例:「りんご、バナナ、みかんを買いました」
- 読点なし:「りんごバナナみかんを買いました」→ 読みにくく、意味が伝わりにくい
また、並列の中に長い語句が含まれる場合でも、読点を使うことで構造を明確にできます。
このように、並列の際には積極的に読点を活用するとよいでしょう。
主語・述語・目的語の境界を明確に
日本語では、文の構造が柔軟なぶん、主語・述語・目的語の関係が曖昧になりがちです。そこで読点を使って文の構成を整理すると、意味が明確になります。
この場合、読点を入れることで「主語:私が先生に頼んだ書類」と「述語:提出されていた」の区切りがはっきりし、読解がスムーズになります。
特に長い主語や目的語がある場合は、読点の有無で読解のしやすさが大きく変わります。
漢字・平仮名の区切りや意味の切れ目に
漢字やひらがなが連続している文章では、意味の区切れや読みやすさを考慮して読点を適切に使う必要があります。
読点の位置を誤ると、意味が変わってしまうことがあるため注意が必要です。
漢字・平仮名の区切りや意味の切れ目に読点を入れる理由
- 正しい:ここで、はきものを脱いでください。
- 誤り:ここではきものを脱いでください。
補足説明や挿入部分の切れ目に
文中に補足説明や挿入語句を入れるときも、前後を読点で区切ると読みやすさが格段に向上します。
補足語句「正直に言って」が読点で挟まれていることで、主たる文の構造が崩れず、理解しやすくなっています。
他にも、接続詞や感情表現を挿入する場合にも読点を使うのが一般的です。
- 「つまり、彼の言いたかったことはこうだ。」
- 「驚いたことに、誰も気づかなかった。」
このように、文の中で情報を補足したり強調したりする場面でも、読点の使い方が文章の明瞭さを左右するのです。
句点「。」の使い方・ルール
句点は、文の終わりに付けることで文章に「終止」の意味を与える、日本語特有の重要な記号です。
シンプルなようでいて、使い方を誤ると文章が不自然になったり、文意が曖昧になったりすることがあります。ここでは、句点の正しい使い方を確認し、伝わる文章を書くための基本を押さえておきましょう。
文の終わりに必ずつけるべき理由
句点は「この文はここで終わります」という明確な区切りを示すために必要です。特に複数の文を並べる場合、句点があることで文の独立性が保たれ、読みやすくなります。
句点の役割
- 文ごとの意味を明確にする
- 論理の展開や話の区切りを整理する
- 読み手に「一区切り」を与える
例えば、
句点がないと、「本を買いました」「今日は」といった語句がつながって意味が不明瞭になります。
また、メールやビジネス文書においては、句点があることで文の丁寧さや整然とした印象が生まれ、相手に信頼感を与えることもあります。
「かぎかっこ」内での位置ルール
句点を「かっこ」や「かぎかっこ(「」)」の中に入れるか外に出すかは、ルールがある程度決まっています。誤用が多い部分なので、しっかり確認しておきましょう。
基本:「かぎかっこ」内の文末には句点は不要
原則として、「かぎかっこ」の内側の文末には、句点は入れません。かぎかっこを閉じることで文章が区切られているため不要となります。
「かぎかっこ」内の文末には句点を入れない例文
- 正しい:彼は「また明日会おう」と言った。
- 誤り:彼は「また明日会おう。」と言った。
「かぎかっこ」内であっても文中には句点を入れる
ただし、「かぎかっこ」の内側の文中においては、句点を打ちます。
「かぎかっこ」内の文中に句点を入れる例
- 正しい:彼は「おはよう。今日はいい天気だね」と言った。
- 誤り:彼は「おはよう今日はいい天気だね」と言った。
「!」や「?」の後ろには句点は不要
感嘆符「!(ビックリマーク)」や疑問符「?(クエスチョンマーク)」が付いている文章の後ろには、句点は付けません。
「!」や「?」の後ろには句点は不要の例文
- 何をしてるの!危ないよ!
- 彼は「本気か?」という顔をしていた。
「かっこ」は要注意!文章によって句点の位置が違う
文末に補足的な意味合いの文章を添えるとき「()」を使うことがあります。かっこ「()」を文末につけた場合には、その後に句点は必要となります。
「かっこ」の後ろには句点を入れる例文
- 正しい:来週の会議は火曜日に実施予定です(変更の可能性あり)。
- 誤り:来週の会議は火曜日に実施予定です。(変更の可能性あり)
ただし、例外があり、「出展を明記する場合」や誰かの発言である(クレジット)ことを記載する場合には()の前に句点を付けます。
「かっこ」の使い方の例外
- あなたは変われないのではありません。人はいつでも、どんな環境に置かれていても変われます。あなたが変われないでいるのは、自らに対して「変わらない」という決心を下しているからなのです。(『嫌われる勇気』岸見 一郎/古賀 史健 著)
- 平凡なことを完璧にやり続けることで胆力がつく。(稲盛和夫)
「句読点を打たないケース」も覚えよう
句読点は文章を読みやすくするために重要ですが、すべての文に必ず必要というわけではありません。
場面によっては句読点をあえて省略することで、見た目をスッキリさせたり、自然な流れを保ったりすることができます。ここでは、句読点を「打たない」方がよい代表的なケースを紹介します。
タイトル・見出し・箇条書きでは省略OK
文章の中でも特に「見出し」や「箇条書き」では、句点や読点を打たないのが一般的です。視認性を高め、文の構造をシンプルに見せるためです。
- 見出しの例
- 誤:「読点と句点の正しい使い方。」
- 正:「読点と句点の正しい使い方」
- 箇条書きの例
- 誤
- 文を区切るために使う。
- 意味を明確にするために必要。
- 正
- 文を区切るために使う
- 意味を明確にするために必要
- 誤
これらのケースでは、文章として完結していなくても意味が伝わるため、句点の省略が推奨されます。
「」や()の中文末には打たない
前述の通り、会話や引用などで使う「かぎかっこ」や「かっこ」の中の文末では、句点は打ちません。
| 正しい使い方 | 誤った使い方 |
|---|---|
| 「この件はあとで相談しよう」と彼は言った。 明日、この件について相談させてください(商談のアドバイスをしたいです)。 | 「この件はあとで相談しよう。」と彼は言った。 明日、この件について相談させてください。(商談のアドバイスをしたいです。) |
読みやすい文章の目安と留意点
句読点の使い方は、単に正確さだけでなく「読みやすさ」にも大きく関わります。
文章のリズムや視認性を考慮しないと、読み手にストレスを与える原因となることも。ここでは、1文あたりの文字数や句読点の配置に関する実用的な目安と、過不足による違和感について解説します。
1文あたりの文字数と句読点数の目安
日本語の文章では、「1文の長さ」が読みやすさを左右する大きな要素のひとつです。文章の長さに「正解」はありませんが、特にWebコンテンツやビジネス文書では、以下のような基準を参考にしてみてはいかがでしょうか。
- 1文あたりの文字数:40〜60文字前後が理想
- 80文字を超えると読みにくくなる傾向がある
- 短くても伝わる内容なら30文字程度でも問題なし
- 1文あたりの句読点数:句点は40〜60文字前後に一つ、読点は20〜30文字前後で1〜2個以内が目安
- 読点が多すぎるとリズムが崩れ、逆に読みにくくなる
- 長文になりがちな場合は、適宜句点で文を分けることが推奨される
例えば、
- 読みにくい例:私は昨日、友人と映画を見に行き、その後、カフェで長い時間、将来について話をし、最後に駅まで一緒に歩いて帰りました。
- 読みやすい例:私は昨日、友人と映画を見に行きました。その後、カフェで将来について話をしました。最後に、駅まで一緒に歩いて帰りました。
適度に句読点を挟みつつ、読みやすい長さで区切ることで、読者の理解を助ける文章になります。
句読点の多すぎ・少なすぎは違和感を与えてしまうことも
句読点が多すぎたり、少なすぎたりすると、読み手に違和感を与えます。その原因と効果を整理しておきましょう。
- 読点が多すぎる場合
- 文章が細切れに感じられ、テンポが悪くなる
- 落ち着きのない印象や、過剰な説明感を与えてしまう
- 読者がどこに注目すればいいのか迷いやすい
- 読点が少なすぎる場合
- 情報が詰め込まれすぎて、意味が取りづらくなる
- 読解に時間がかかり、読み手が途中で疲れる
- 誤読を招きやすく、誤解の原因になる
- 句点の少なすぎる文章
- 一文が長くなりすぎて、内容が頭に入らない
- 論点がぶれたり、何を伝えたいのかが曖昧になる
バランスの取り方のコツとしては、
- 書いた文章を音読してみる
- 一文が長く感じたら、思い切って文を2つに分ける
- 修飾関係が曖昧な箇所には読点を入れる
読者の立場を意識し、句読点の数や位置を調整することで、ストレスのない読みやすい文章を作ることができるでしょう。
句読点のルールや由来・公的基準について
現在私たちが使っている句読点の使い方には、実は歴史的背景と公的なルールがあります。学校教育や公的文書などで一定のルールが定着しているのは、それが時代を経て整理・制定されてきた結果なのです。ここでは、句読点に関する歴史的なルーツと、現代における公式な基準について見ていきましょう。
明治時代の「句読法案」から学ぶ
日本で句読点の使用が広く普及したのは、明治時代以降とされています。それ以前は、和文に明確な句読点のルールがなく、漢文を読むときに使われる返り点や送り仮名といった補助的記号が中心でした。
調べたところ、明治39年に発表された文部省の国定教科書の表記基準「句読法案」が初めとされているようです。
- 句読法案の要点
- 「。」を文の終わりに打つこと
- 「、」で文中の区切りを示すこと
- 読みやすさと意味の明確化を目的とすること
この制度的な整備によって、学校教育や出版物における標準的な日本語表記が形作られたと考えられますね。
公用文作成の要領について
現代においても、日本の官公庁や教育機関では一定の基準に基づいた句読点の使い方が推奨されています。その代表的なものが「公用文作成の要領」です。
- 要領の主なルール
- 一般には「、」と「。」を使用する
- 文が長くなりすぎる場合は適切に句点を入れて区切る
- かっこや引用符の中の句読点の位置にも留意する
この文書は公文書だけでなく、学校教育や報道機関の文体指針にも影響がありますので、句読点の標準的な使い方の指針となっています。
一方で、現代のWebライティングやSNSなどでは柔軟な句読点運用も増えてきているのが実情でしょう。
例えば、
- 読点を少なくしてテンポを重視する
- 会話調で句点を省略する
- 三点リーダー(…)や絵文字を句点の代わりに使う
こうした変化は、媒体や読者層によって適応される「文体の多様化」の一例とも言えるでしょう。
まとめ:句読点の理解が文章力を変える
「、」や「。」といった句読点は、一見すると単純な記号ですが、実際には文章の意味や読みやすさを大きく左右する重要な要素です。正しく使えば、伝えたいことが正確に、かつスムーズに読み手へ届けることができます。
- 読点は意味の区切りや読みやすさのために使う
- 句点は文の終わりを示すことで論理を整理する
- 「かっこ」や見出しなど、句読点を打たない方がよい場面もある
- 誤用や多用は違和感の原因になるので、バランスが重要
- 公式文書では「公用文作成の要領」などの基準に沿うのが安心
読点や句点を意識して文章を書くことで、表現力だけでなく、読み手に対する配慮も磨かれていくでしょう。日々の執筆や情報発信の中で、ぜひこのルールを活かしてみてください。



