Q. 給料日が土日・祝日・年末年始の場合は前倒しと後ろ倒しのどちらが良いのでしょう?
- 給料日が土日や祝日、年末年始のように金融機関の休日にあたるときの対応方法
- トラブルを避けるための給料日の設定方法

これから従業員をはじめて採用します。給料日を決めたいのですが、支給する日が土曜日や日曜日、年末年始のように金融機関の休日にあたるとき、振込日はどうすればいいのでしょうか?
法律的に注意すべきことがあれば教えてください。

A. 給与振込は前倒し・後ろ倒しどちらでも大丈夫です
結論申し上げますと、給料日(従業員に給料が振り込まれる日)が金融機関の定休日に当たる場合、当月内であれば前倒し・後ろ倒しどちらの対応であっても問題ありません。
例えば、給与支給日の25日が土曜日だった場合、
- 前倒し:24日(金曜日)
- 後ろ倒し:27日(月曜日)
上記いずれかの対応で従業員に給料を振り込みましょう。

ただし、
- 就業規則に定める必要がある
- 後ろ倒しの場合:支給日が月を跨ぐと違法
上記のような注意点がありますので、確認していきましょう。
後述する注意点に関係しますが、給料日が土日等の定休日の場合の取り扱いとしては、前倒しにされている企業が多いです。
就業規則に定める必要がある
給料日を前倒し・後ろ倒しする場合、その取り扱い方法は就業規則で明文化しておく必要があり、一度決めた支払い方に沿って運用しなければなりません。
また、従業員の方で給料日が土日や年末にあたる場合、いつ振込みされるのか気になる方もいるでしょう。勤務先の就業規則でどのような定めになっているのか確認してください。
| 給料を「前倒し」で支給する場合の規定例 | 給料を「後ろ倒し」で支給する場合の規定例 |
|---|---|
| 賃金の締め日・支払日は下記と定める。 ◯賃金計算期間:毎月1日から当月末日 ◯支払日:翌月25日 ただし、支払日が金融機関の休業日にあたる場合は、その前日に繰上げて支払うものとする。 | 賃金の締め日・支払日は下記と定める。 ◯賃金計算期間:毎月1日から当月末日 ◯支払日:翌月25日 ただし、支払日が金融機関の休業日にあたる場合は、その翌日に繰り下げて支払うものとする。 |
後ろ倒しの場合:支給日が月を跨ぐと違法
給料日が土日・祝日・年末に被った場合、当月内であれば就業規則に定めた上で前倒し・後ろ倒しを決めておけば問題ないと説明しましたが、給料日が月末近くに設定されている会社は「後ろ倒し」をすると違法になる可能性があります。
例えば、給与の支給日を毎月月末と定めている会社もあるでしょう。この場合給料日である月末が土日・祝日・年末年始に被った際に後ろ倒しをすると翌月に跨ってしまうことになります。
実は給料の支払いについては労働基準法に「賃金支払の5原則」というものが定められており、給料が翌月支払いになると5原則の中の「毎月1回以上支払いの原則」に抵触することになるのす。
賃金支払の5原則:毎月1回以上払いの原則とは?
労働基準法では、賃金を少なくとも月に1回は支払わなければならないことを定めています。
このため、給料日が月末の会社が後ろ倒しで支払ってしまうと「毎月1回以上の支払い」が満たせないため、法律違反になってしまうのです。
なお、賃金支払の5原則とは、労働基準法第24条の内容のことです。その中で「毎月1回以上払いの原則」と呼ばれるルールがあり、根拠条文は下記の赤色部分となります。
(賃金の支払)第二十四条
① 賃金は、通貨で、直接労働者に、その全額を支払わなければならない。ただし、法令若しくは労働協約に別段の定めがある場合又は厚生労働省令で定める賃金について確実な支払の方法で厚生労働省令で定めるものによる場合においては、通貨以外のもので支払い、また、法令に別段の定めがある場合又は当該事業場の労働者の過半数で組織する労働組合があるときはその労働組合、労働者の過半数で組織する労働組合がないときは労働者の過半数を代表する者との書面による協定がある場合においては、賃金の一部を控除して支払うことができる。
e-GOV「労働基準法」
② 賃金は、毎月一回以上、一定の期日を定めて支払わなければならない。ただし、臨時に支払われる賃金、賞与その他これに準ずるもので厚生労働省令で定める賃金(第八十九条において「臨時の賃金等」という。)については、この限りでない。
賃金支払の5原則については、下記コラム記事で詳しく解説していますので、併せてご一読いただければ幸いです。

一般企業のよくある事例
一般企業では、「5」や「10」のつくいわゆる五十日(ごとおび)に給料日が設定されていることが多く見受けられます。特に
- 月末締め・翌月15日払い
- 月末締め・翌月25日払い
上記二パターンのケースがあり、弊社でも給与計算のアウトソーシングを請け負っておりますが、多数のお客様がこのパターンで給料日を設定されています。
その他、給料に関する締め日・支払日について、法的観点は下記のコラム記事で解説していますので、併せてご一読いただければ幸いです。

給料が振込みされる時間に決まりはある?何時でもいい?
「給料日」の取り扱いは解説した通り、賃金支払の5原則が守れていると前倒し・後ろ倒しどちらにするのか企業側に裁量があります。では、給料の振込時間についてはルールはあるのでしょうか?法律上の取り扱いを確認してみましょう。
結論:給料は支給日の朝10時までに着金する必要があります
実は、給料の振込み時間(従業員の口座に着金する時間)について、昭和50年の通達で「賃金支払い日の午前10時ごろまでに払い出しが可能になっていること」と明文化されています。
また、実際に労働基準監督署に問い合わせしてみたのですが「古い通達とはいえ遵守するように」とのことです。
振込日までの3営業日前に手続きをする会社が多いと思います。振込予約をしていると振込予定日に着金しますので、実務的には振込みされる時間(着金時間)までは気にしなくても問題ないでしょう。
給料を支給日当日に振り込むために
企業が振込みに利用している金融機関によりますが、一般的に複数の振込みを行う場合は「振込み日までの◯営業日前」と決められます。この日にちを過ぎてしまうと、振込みしたい日に間に合わないことになりますので、法律違反になってしまいます。
インターネットバンキングであれば、リアルタイムに着金できる場合もありますが、振込タイミング・金融機関の状況によっては振込手続きをした翌日になるケースもあるでしょう。
給料日当日、従業員の口座に各日に振込みを行うのであれば、スケジュールを守った給与計算・振込み手続きが必要不可欠といえます。
社会保険労務士によるワンポイント解説
給料日が土日・祝日・年末に重なることはよくあります。注意点としては
- 給料日と金融機関の定休日が重なった場合の取り扱いは就業規則に定める
- 前倒しでも後ろ倒しでも法律上は問題ないが、給料日が月末に近い場合は前倒しする
上記を守っていただけると、トラブル防止につながるでしょう。給料は従業員の生活に関わりますので、法律を遵守を心がけてください。
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矢野 貴大
TSUMIKI社会保険労務士事務所/代表・社会保険労務士
金融機関・社会保険労務士法人・国内大手コンサルティング会社を経て大阪で社会保険労務士事務所を開業。
25歳で社労士資格を取得した後、社会保険労務士・経営コンサルタントとして延べ200社を超える企業・経営者をサポートする。その経験を活かし「想いを組み立て、より良い社会環境を形づくる」というMISSIONに向かって日々活動中。





