Q. 【令和6年度】業務改善助成金を活用してパソコンや車を購入できますか?
- 事業で使うパソコンや車の購入にあたり業務改善助成金が活用できるのか
- 業務改善助成金の経費対象となる取り組み

建設業を営んでいます。現在、現場への機材運搬はレンタル車両を使っており、車両を取りに行ったり機材を積み込む時間が非常に勿体ないと感じています。
設備投資を検討できるくらい、事業資金も溜まってきたので車両購入を考えているのですが、業務改善助成金を使って費用負担は受けられるのでしょうか?
また、営業時に設計イメージを伝えるために、タブレット端末の新規導入も検討しています。

A. 車両・パソコンやタブレットの購入費用も業務改善助成金の対象になる場合があります。
結論申し上げますと、業務改善助成金の制度において「物価高騰等要件」に該当する特例事業者であれば「生産性向上・労働能率の増進に資する設備投資であることを前提に
- 定員7人以上又は車両本体価格200万円以下の乗用自動車
- 貨物自動車
- パソコン、スマートフォン、タブレット等の端末と周辺機器の新規導入
に掛かる経費についても、業務改善助成金の対象となります。

逆に、特例事業者の要件を満たさない場合は一般事業者となり、車両・パソコンの購入費用を業務改善助成金で補填することはできません。
「物価高騰等要件」に該当する特例事業者とは
令和6年度の業務改善助成金における「物価高騰等要件」は、申請前3か月間のうち任意の1月の利益率(売上高総利益率又は売上高営業利益率)が、前年同期に比べ、3%ポイント以上低下していることが要件になっています。
なお、「売上高総利益」「売上高営業利益率」どちらであっても、所定の様式である「物価高騰等要件に係る事業活動の状況に関する申出書」を作成・提出しなければなりません。
「物価高騰等要件」に該当するかどうか、労働局に書類提出・審査・立ち入り検査がありますので、真摯に対応しましょう。
売上高総利益率の低下に関する申出書の記入例

売上高総利益率の低下による場合、交付申請書提出月の前月から遡って3か月間うち、どこか1ヶ月を選び、その月の売上高・売上総利益から「売上高総利益率」を算出します。
その後、前年同月においても売上高・売上総利益から「売上高総利益率」を算出し、その差し引いた数値が3%以上低下しているのかどうかで判断されます。
計算にあたり、売上高総利益率は小数点以下第2位まで記載する必要があります。
【A】指定する期間のうち 2024年3月1日から2024年3月31日まで | 【B】Aに対応する前年同期の 2023年3月1日から3月31日まで | 【C】B-A | ||||
---|---|---|---|---|---|---|
売上高 a1 | 売上総利益 a2 | 売上高総利益率 (a2/a1)✕100 | 売上高 b1 | 売上総利益 b2 | 売上高総利益率 (b2/b1)✕100 | |
1,500万 | 100万 | 6.66% | 2,000万 | 200万 | 10% | -3.34% |
また、売上高総利益率の減少理由も忘れずに記入しましょう。
書類提出時に添付書類として「月次損益計算書」や「試算表」が必要になりますので用意しておきましょう。
売上高営業利益率の低下に関する申出書の記入例

売上高営業利益率の低下に該当する場合、交付申請書提出月の前月から遡って3か月間うち、どこか1ヶ月を選び、その月の売上高・営業利益から「売上高営業利益率」を算出します。
その後、前年同月においても売上高・営業利益から「売上高営業利益率」を算出し、その差し引いた数値が3%以上低下しているのかどうかで判断されます。
計算にあたり、売上高営業利益率は小数点以下第2位まで記載する必要があります。
【A】指定する期間のうち 2024年3月1日から2024年3月31日まで | 【B】Aに対応する前年同期の 2023年3月1日から3月31日まで | 【C】B-A | ||||
---|---|---|---|---|---|---|
売上高 a1 | 営業利益 a2 | 売上高営業利益率 (a2/a1)✕100 | 売上高 b1 | 売上総利益 b2 | 売上高営業利益率 (b2/b1)✕100 | |
5,000万 | 160万 | 3.2% | 6,500万 | 420万 | 6.46% | -3.26% |
また、売上高営業利益率が減少した理由も忘れずに記入しましょう。
売上高営業利益率の場合も、書類提出時に添付書類として「月次損益計算書」や「試算表」が必要になります。
パソコンやタブレット等の場合は「新規導入」に限られます
「物価高騰等要件」を満たしている場合であっても、
- パソコン
- スマートフォン
- タブレット等の端末と周辺機器
については「新規導入」に限られます。現在会社で利用しているパソコンの新調においては活用ができない点注意してください。
申請書に新規購入の理由を記載します。例えば「営業効率を上げるためにクラウドソフトを導入する。営業職が利用できるタブレット端末がないため、営業職の人数分新しくタブレット端末を購入する」といった形になります
社会保険労務士によるワンポイント解説
令和6年度の業務改善助成金においては、特例事業者のうち「物価高騰等要件」に該当すると、
- 定員7人以上又は車両本体価格200万円以下の乗用自動車
- 貨物自動車
- パソコン、スマートフォン、タブレット等の端末と周辺機器の新規導入
といった経費についても「生産性向上・労働能率の増進に資する設備投資」に認められることで助成対象になりますので、車両購入・PCの新規導入により生産性を上げていきたい経営者の方は必ずチェックしておきましょう。
とはいえ業務改善助成金を受給するまでに「申請書の作成」「事業場内最低賃金の引き上げ」など複雑かつ間違えることのできない取り組みが必須です。そのため業務改善助成金を活用しきれていない企業も多くありますので、少しでも気になる経営者の方はお気軽にご相談ください。
また、業務改善助成金の制度については下記コラム記事で解説していますので、併せてご一読いただければ幸いです。

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矢野 貴大
TSUMIKI社会保険労務士事務所/代表・社会保険労務士
金融機関・社会保険労務士法人・国内大手コンサルティング会社を経て大阪で社会保険労務士事務所を開業。
25歳で社労士資格を取得した後、社会保険労務士・経営コンサルタントとして延べ200社を超える企業・経営者をサポートする。その経験を活かし「想いを組み立て、より良い社会環境を形づくる」というMISSIONに向かって日々活動中。
