「お気をつけて行ってらしてください」って正しい?意味・使い方・例文まとめ

日常生活やビジネスシーンで、人を送り出す際に使う言葉の一つが「お気をつけて行ってらしてください」です。
この表現、丁寧で上品な印象がありますが、「正しい日本語なのか?」と疑問に思ったことはありませんか?本記事では、「お気をつけて行ってらしてください」の意味や使い方、そして実際の例文を交えて、正しい表現なのかを詳しく解説します。丁寧な言葉づかいを身につけたい方や、相手に失礼のない言い回しを探している方はぜひ参考にしてください。
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「お気をつけて行ってらしてください」とは?意味と成り立ち
「お気をつけて行ってらしてください」は、相手の無事を願って送り出す丁寧な表現です。
特に目上の人やビジネス相手に対して、気遣いの気持ちを込めて使われることが多い言葉です。日常的な「行ってらっしゃい」よりも、より改まった場面で使われるのが特徴です。
「お気をつけて」の敬語的意味
「お気をつけて」は、「気をつける」に丁寧語の接頭語「お」と、動作を促す「〜て」を加えた表現です。これにより、相手の行動(気をつける)を丁寧に促すニュアンスになります。
- 「気をつける」+「お」=「お気をつける」→自然な敬語表現ではない
- 「お気をつけて」→行動をうながす丁寧な表現として一般的
つまり、「お気をつけて」は「事故やトラブルがないように注意してくださいね」という、相手の安全を願う気遣いの気持ちを表す言葉といえるでしょう。
「行ってらしてください」のニュアンスと語源
「行ってらしてください」は、「行ってらっしゃる」の命令形「行ってらっしゃい」に、さらに尊敬の意を込めた「〜してください」を付けた形です。
- 「行く」→尊敬語「行ってらっしゃる」
- 「行ってらっしゃい」→相手に対する親しみある送り出しの表現
- 「行ってらしてください」→さらに丁寧な依頼・尊敬表現
このように、「行ってらしてください」はかなり改まった印象を与える表現であり、かしこまった場面やフォーマルな挨拶として使用されます。口語ではやや不自然に感じることもありますが、書き言葉やビジネスシーンでは違和感なく使えるでしょう。
正しい使い方:シーン別の言い回し
「お気をつけて行ってらしてください」は丁寧な響きがある一方で、使う場面や相手によっては不自然に聞こえることもあります。
ここでは、シーン別に適切な使い方や言い換え表現を紹介し、状況に応じた自然なコミュニケーションを目指しましょう。
普段の送り出し挨拶として
家族や親しい友人を送り出す際には、「お気をつけて行ってらしてください」はやや堅苦しい印象を与える可能性があります。日常会話では、以下のような表現のほうが自然です。
- 「気をつけてね!」
- 「いってらっしゃい、無理しないでね」
- 「今日は暑いから水分しっかり取ってね!」
これらはカジュアルで親しみやすく、相手との距離感に応じて使い分けることが大切です。
旅行・出張時に使う場合
誰かが長距離の移動を伴う旅行や出張に出かける際は、「お気をつけて行ってらしてください」が適した丁寧な表現となります。特にメールや手紙での挨拶文として活用しやすいです。
- 「ご出張とのこと、道中どうかお気をつけて行ってらしてください」
- 「ご旅行、楽しんできてくださいね。お気をつけて行ってらしてください」
ここでは、相手の体調や天候、交通状況などに配慮する一文を添えると、さらに気遣いの伝わる挨拶になります。
ビジネスや目上の人へ使うときの注意
ビジネスシーンや目上の方に対して使う場合、「お気をつけて行ってらしてください」は一見丁寧な表現ですが、文法的にはやや不自然との見方もあります。より自然で失礼のない表現に言い換えると安心です。
代替表現としては
- 「どうぞご安全にお出かけください」
- 「道中、どうかお気をつけてお過ごしくださいませ」
- 「無事のご到着をお祈りしております」
特に改まったメール文や挨拶状では、こうしたフォーマルな言い換えがより適していると思われます。
よくある表現パターン比較
「お気をつけて行ってらしてください」は確かに丁寧な言い回しですが、似たような表現がいくつか存在し、それぞれに微妙なニュアンスの違いがあります。ここでは代表的な表現を比較し、適切な使い分け方について解説します。
「お気をつけて行ってらっしゃいませ」
この表現は、「行ってらっしゃい」に丁寧語「ませ」を付けたものです。相手への敬意をしっかりと示しながらも、比較的口語的な印象もあるため、接客業やビジネスメールなど幅広い場面で使用できます。
- 柔らかく丁寧な印象
- 店舗や企業などでお客様を送り出す際に使われることが多い
- 改まりすぎず自然に聞こえるため、使いやすい表現
- 例文:「本日はご来店ありがとうございました。お気をつけて行ってらっしゃいませ。」
「お気をつけてお出かけください」
この表現は、「行く」という動作をやや抽象的に「お出かけ」として表現しており、やわらかく品のある言い回しです。相手が向かう先が明確でなくても使いやすく、特に書き言葉に適しています。
- 行き先を問わない汎用性の高い表現
- 柔らかく上品な敬語としてメール文などに適する
- 性別や年齢を問わず使いやすい
- 例文:「お忙しい中お時間をいただきありがとうございました。お気をつけてお出かけください。」
「道中お気をつけて」の違いと使い分け
「道中お気をつけて」は、移動中の安全を特に強調した言い回しです。「道中」という言葉により、移動時間そのものへの配慮が強く表現されるのが特徴です。
- 長距離移動や旅行、出張などの場面で適している
- 書き言葉としてやや格式がある
- 相手の無事を祈る気持ちをしっかり伝えられる
- 例文:「お足元が悪い中ありがとうございます。どうか道中お気をつけてお帰りください。」
このように、それぞれの表現には適した場面やニュアンスの違いがあります。相手や状況に応じて言葉を使い分けることで、より自然で心のこもったコミュニケーションが実現できるでしょう。
使い分けガイド:相手別・シーン別
「お気をつけて行ってらしてください」などの丁寧表現は、相手との関係性やシチュエーションによって微調整することが大切です。ここでは、相手別・シーン別に使える自然な言い回しや注意点を具体例とともに紹介します。
目上の人・上司へ
上司や取引先など目上の方に使う場合は、丁寧さと品位を保ちつつも、ややフォーマルな言い回しを選ぶことが求められます。
「お気をつけて行ってらしてください」も使えますが、より自然で格式のある表現に言い換えるのが無難です。
おすすめ表現としては
- 「どうぞご無理なさらず、お気をつけてお出かけください」
- 「道中の安全をお祈りしております」
- 「本日はお忙しい中ありがとうございました。ご移動、どうかお気をつけて」
これらの表現は、対面でもビジネスメールでも違和感なく使えるでしょう。
同僚や友人へのフランクな表現
親しい関係では、あまり堅苦しい表現よりも、親しみやすく気持ちが伝わるカジュアルな言い回しが好まれます。とはいえ、軽すぎる言い方は避け、適度な丁寧さは保ちましょう。
おすすめ表現としては、
- 「気をつけてね、いってらっしゃい!」
- 「体調崩さないようにね、いってらっしゃい」
- 「寒いからあったかくして行ってね!」
こうした表現はLINEやカジュアルなチャットでも自然に使えます。
メール・チャットで送るときの文例
文章で伝える場合は、口語と違って多少丁寧な表現が好まれる傾向にあります。特にビジネスチャットやメールでは、やや改まった表現を意識しましょう。
文例(ビジネスメール)
○○様
本日はご多忙の中、貴重なお時間をいただき誠にありがとうございました。
どうかお気をつけて行ってらっしゃってくださいませ。
文例(社内チャット)
○○さん、今日は寒いですね!外出時はお気をつけて行ってらっしゃいませ~。
相手や関係性に合わせたトーンを選ぶことが、思いやりのあるコミュニケーションには欠かせません。
「お気をつけて行ってらしてください」に関するよくある誤用と注意点
丁寧に伝えたいという気持ちから敬語表現を使うのは素晴らしいことですが、使い方を誤ると逆に不自然に聞こえたり、相手に違和感を与えることもあります。
ここでは「お気をつけて行ってらしてください」に関連するよくある誤用と、その注意点を解説します。
二重敬語になりやすい表現とは?
「お気をつけて行ってらしてください」は、「行ってらっしゃる(尊敬語)」+「〜してください(尊敬語)」の組み合わせで、文法的には二重敬語と見なされる場合があります。特に言語指導や公的な文書では、このような過剰な敬語表現が指摘されることもあります。
ただし、実際の会話やビジネスシーンでは「不自然ではない丁寧さ」として許容されることも多いため、過度に神経質になる必要はありません。とはいえ、フォーマルな文書では「お気をつけてお出かけください」など、別の言い回しを選ぶのが無難です。
カジュアルすぎて失礼になるケース
反対に、敬語を避けすぎてカジュアルになりすぎると、ビジネスシーンでは失礼に受け取られることがあります。たとえば、目上の人に対して「気をつけてね」「じゃあ、行ってらっしゃい!」などの表現を使うのは避けたほうがよいでしょう。
NG例
「じゃ、いってら~」→ 友人同士ならOKだが、上司には不適切
「気をつけてな」→ 方言や砕けた印象が強く、ビジネスには不向き
相手の立場に応じた言葉選びが重要です。
文脈を欠く「お気をつけて」の注意
「お気をつけて」だけを単独で使うと、何に対して気をつけるのかが曖昧になり、やや唐突に感じられることがあります。特にメールや書き言葉では、文脈を補う一言を添えることで印象が良くなります。
改善例
✕「それでは、お気をつけて。」
〇「本日は天候が悪いようですので、どうぞお気をつけてお帰りください。」
このように、相手の状況や文脈に合わせて一言添えることで、自然で思いやりのある表現になります。
例文14選!「お気をつけて行ってらしてください」の状況別フレーズ・類語集
ここでは「お気をつけて行ってらしてください」やその類義表現を、実際の使用シーンごとにまとめた例文集を紹介します。フォーマルからカジュアルまで幅広く使えるフレーズを参考に、場面に応じた表現を身につけましょう。
出張送別のメール文例
- このたびのご出張、どうかお気をつけて行ってらっしゃってくださいませ。
- ご出張先でのご活躍をお祈りしております。道中、どうぞご安全に。
- 天候が不安定なようですので、くれぐれもお気をつけてお出かけください。
- 長旅かと存じますが、どうぞお体にお気をつけて行ってらしてください。
- ご出張、お疲れ様です。無事のご帰着をお祈りしております。
家族・友人の旅行を送り出す言葉
- 楽しい旅行になりますように!気をつけて行ってらっしゃい。
- おみやげ話、楽しみにしてるね。道中お気をつけて!
- 暑いから水分しっかり取って、体調気をつけてね。
- 写真いっぱい撮ってきてね!いってらっしゃい~
- 渋滞に巻き込まれませんように。安全運転でね!
ビジネスメールでの例文
- 本日はご来社いただきありがとうございました。お帰りの際はどうかお気をつけて。
- ○○様のご出張の成功を心よりお祈り申し上げます。どうぞお気をつけてお出かけください。
- お足元の悪い中、誠にありがとうございます。どうかご無理なさらず、お気をつけてお帰りください。
- お忙しい中のご移動、大変かと存じます。体調には十分お気をつけてお過ごしくださいませ。
これらのフレーズは、相手や状況に応じて微調整することで、より自然で心のこもった挨拶になります。敬意や思いやりを言葉に乗せることで、信頼関係の構築にもつながるでしょう。
まとめ:「お気をつけて行ってらしてください」は丁寧さと配慮の言葉
「お気をつけて行ってらしてください」は、相手の無事を願う気持ちを丁寧に伝える表現として、日常からビジネスまで幅広く活用できます。ただし、使う相手や場面に応じて、敬語の度合いや言い換えを工夫することが重要です。
- 丁寧すぎると二重敬語になる可能性がある
- カジュアルすぎると失礼になることもある
- 文脈や状況に合った自然な一言を添えるのがポイント
敬語表現は細かいニュアンスで印象が大きく変わるため、今回紹介したパターンや注意点を参考に、相手に寄り添った言葉づかいを心がけてみてください。
\表現の幅を広げたいなら『大人の語彙力ノート』がおすすめ!「大人な言い換え」が学べます/
