就業規則の作成だけを社労士に依頼できる?費用・メリット・依頼方法を紹介
会社の憲法に例えられる就業規則は、従業員が10人未満の企業では作成義務はありませんが、社内のルールを整えたいのであれば企業規模問わず、むしろ従業員を一名でも雇用するのであれば作成すべき書類です。
しかしながら、就業規則を作成するためには労働基準法をはじめ専門的な知識が必要不可欠。簡単に作成することはできませんので、専門家である社労士に相談されることをおすすめします。
社労士に就業規則を依頼する際に、就業規則の作成のみを依頼するスポット契約と、顧問契約を結び就業規則と労務管理のアドバイスを併せて依頼する方法があります。
今回の記事では、就業規則を社労士に依頼したときの費用やメリット、安心して依頼するための方法を解説いたします。
なお、社労士と顧問契約をするメリットやデメリットについては下記コラム記事にて解説しておりますので、併せてご一読ください。
矢野 貴大
TSUMIKI社会保険労務士事務所/代表・社会保険労務士
金融機関・社会保険労務士法人・国内大手コンサルティング会社を経て大阪で社会保険労務士事務所を開業。
25歳で社労士資格を取得した後、社会保険労務士・経営コンサルタントとして延べ200社を超える企業・経営者をサポートする。その経験を活かし「想いを組み立て、より良い社会環境を形づくる」というMISSIONに向かって日々活動中。
就業規則を社労士に依頼する場合の費用
就業規則は「会社の憲法」や「職場のルールブック」と呼ばれるほど重要な書類で、社内における働き方や、禁止事項を明文化しておくことで組織の秩序を守ることが可能です。また雇用している従業員が10人以上いる場合、労働基準法により作成義務・労働基準監督署へ届け出義務が発生する点も注意しなければなりません。
しかしながら就業規則の作成においては
- 労働基準法や労働契約法などの法令遵守
- トラブルを防止するための服務規律の設計
- 社内の実態に応じたルールの構築
といった専門的な知識が必要不可欠であり、社会保険労務士に依頼を検討している経営者の方も多いのではないでしょうか。まずは、就業規則の作成を社労士に依頼した場合、どの程度費用が必要になるのか確認してみましょう。
就業規則のみを依頼する方法と、顧問契約を結んだ上で依頼する方法がありますので、それぞれ解説いたします。
就業規則の作成のみを依頼する場合
顧問契約を依頼せずに、就業規則単発で依頼する場合には、一般的に15万円から20万円程度必要になります。この費用は
- 打ち合わせ回数
- 作成までに必要な期間
- 作成する規則の量や規程の種類
によって変動します。
会社によっては就業規則にすべてのルールを記載せずに「賃金規程」や「育児・介護休業規程」など別規程として作成することもあります。この場合、より詳細に規程作成が行われることがあり、その分費用が変わるのです。
顧問契約を結ぶと一部割引が発生することも
顧問契約を結んでいると、就業規則の作成費用を割り引く社労士事務所もあります。
就業規則の作成する上で経営者や人事責任者との打ち合わせは重要な時間になりますが
- 事前に就業規則の内容を理解しており、修正箇所を把握している
- 会社の労務管理状況のキャッチアップがしやすい
- 関係性が構築されており打ち合わせ自体もスムーズに行える
顧問先であれば社労士事務所側に上記のようなメリットがあるため、工数を抑えてサービス提供が可能となります。その結果、顧問先割引としてスポットで就業規則を依頼する際の料金よりも安く対応できる事務所があるのです。
就業規則や各種規程ごとに、3万円から5万円程度の割引額が期待できるのではないでしょうか。
社労士にスポットで就業規則の作成を依頼するメリット
顧問契約をせずに就業規則をスポット契約(単発契約)で社労士に依頼すると
- 顧問契約をするよりもトータルコストが安くなる
- 会社が必要とするタイミングで就業規則の見直しが可能
このようなメリットがあります。具体的に解説いたします。
顧問契約をするよりもトータルコストが安くなる
会社の規模や社労士事務所によって顧問料金は様々ですが、顧問契約を結ぶと毎月固定費用が発生します。就業規則をスポットで依頼すると、顧問料はもちろん不要ですので、年間のトータルコストは安く抑えられるでしょう。
会社が必要とするタイミングで就業規則の見直しが可能
会社内で専任の人事労務担当者を雇用している場合、社労士との顧問契約は不要なこともあるでしょう。顧問契約を結ばなくとも
- 法改正の内容に対応する規定導入
- 社内ルール変更による規定変更
このように会社が必要とするタイミングごとに依頼することが可能です。
社労士にスポットで就業規則の作成を依頼するデメリット
就業規則をスポットで依頼すると費用削減に効果的ですが、その一方でいくつかデメリットがありますのでご紹介します。
サービス範囲・相談できる内容には限りがある
就業規則のみを依頼する場合も、社労士と打ち合わせをする時間がありますので、その時間内であれば相談可能です。
ただし、顧問契約におけるサービス内容と就業規則の依頼によるサービス内容は種類がそもそも異なりますので、就業規則の作成に関係のない相談をすることは難しくなります。
打ち合わせ中に「そのご相談には対応しかねます」とすぐに言われることはありませんが、顧問契約をしていなければ相談できない内容もありますので、注意はしておきましょう。
スポット依頼といっても社労士を何度も変更することはリスク
スポット契約は顧問契約と異なり依頼する社労士事務所の変更は簡単にできます。従って
- 何度か業務を依頼したが、レスポンスも悪いため他の社労士事務所に代えたい
- 就業規則の作成は当初3か月前後と聞いていたが、半年以上経ってもまだ納品されない
上記のような不満があれば別の社労士に依頼をするだけで済みます。しかしながら、何度も社労士を変更していると、自社の経営課題を深く理解してくれる専門家に出会うまで時間が掛かり、安心して相談できる関係作りが難しくなってしまいます。
スポット契約とはいえ、業務を依頼する社労士事務所はある程度決めておくことをおすすめします。
就業規則は単発で依頼するべき?顧問契約も必要?
就業規則の作成を社労士に依頼することを決めたとしても、就業規則だけスポットで任せるのか、顧問契約を結んだ上で依頼するのか迷うこともあるでしょう。
どのように依頼するのか迷った場合は次の2点をぜひ参考にしてください。
まずは最低限度の法対応を目指したい方
働き方改革関連法をきっかけに、近年では労働諸法令は度重なる法改正が行われています。そのため、
- 法律にどのように対応すればいいのかわからない
- 就業規則は過去に作成しているが、古いため何から見直すべきかわからない
このように法改正に全く対応ができていないケースが見受けられます。
まずは最低限の労働諸法令を遵守した規則作りをしたい企業であれば、コストも抑えられるスポット契約が良いのではないでしょうか。
労務環境の整備をしっかりと進めたい方
一方で「法律だけでなく、労務トラブルをしっかりと予防していきたい」「会社の規模拡大を目指して従業員は積極的に採用していく」このように、日々の労務管理も重要視している企業であれば顧問契約をした上で就業規則も依頼されることをおすすめします。
就業規則は作成だけでなく、運用しなければ意味がありません。
顧問社労士がいると自社でトラブルが発生した場合にも、就業規則に基づいたトラブル対処方法のアドバイスが受けられるだけでなく、状況に応じた就業規則変更の提案も受けることが可能となります。
就業規則の作成・見直しの依頼方法は?
社労士に就業規則の作成や見直しを依頼するのであれば、
- 無料相談サービスに申し込んで就業規則の変更内容や作成費用を具体的に聞いておく
- 就業規則の無料診断サービスで問題点を可視化してもらう
上記のような無料サービスを活用しながら、信頼できる社労士事務所を探しましょう。
社労士の無料相談サービスを利用する
就業規則の作成を単発で検討しているのであれば、まずは最低限
- どういった方向感で作成・見直しをしてくれるのか?
- どの程度作成に時間が掛かるのか?
- 費用はいくらになるのか?
依頼予定先の社労士事務所に確認することが大切です。この際、「無料相談」は積極的に利用しましょう。自事務所のWEBサイトを持っている社労士事務所であれば「初回相談に限り無料」を打ち出していることがあります。
すぐに仕事を依頼するのではなく、社労士事務所の人となりを知るためにもまずは無料相談サービスを利用されることをおすすめします。
就業規則の無料診断サービスを利用する
社会保険労務士事務所によっては、既存の就業規則で変更・修正が必要な箇所について無料診断を実施していることがありますので、就業規則を過去に作成している企業であれば「就業規則診断」も見逃せません。
自社の労務管理の状況や就業規則の内容に関する簡単な質問に答えるだけで、就業規則の問題点を可視化してもらえます。近年では電話やメールではなく、WEB上でのアンケートに答えるだけで完結するため、お手軽に自社の課題を知ることができるのです。
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まとめ
就業規則の作成は専門的な知識が必要ですので、自社で完結させずに社労士への依頼を検討している経営者の方も多いのではないでしょうか。
従業員が働きやすい環境構築であったり、労務トラブルの起こりにくい職場作りを目指すのであれば就業規則の作成・整備は必須となります。しかしながら、就業規則の作成を依頼する場合は15万円から20万円程度が相場にはなり、顧問契約も依頼すると更にコストは増えてしまいます。
今回の記事を参考に、依頼する社労士事務所は慎重に選んでいただき、自社に最適な就業規則の作成を支援してくれる社労士事務所に出会っていただければ幸いです。
人事・労務の悩みは、従業員を雇用している限り常に発生する可能性があります。中小企業であっても、大企業であっても経営に必要な資産は「ヒト」ですので、人事・労務の悩みには向き合っていかなければいけません。
TSUMIKI社会保険労務士事務所では「想いを組み立て、より良い社会環境を形づくる」をMISSIONとして、経営者・従業員ともに安心して働ける環境作りの支援をしています。就業規則の作成においては単なる法的なアドバイスにとどまらず、改善施策のご提案をして参りますので、お気軽に相談いただけると幸いです。
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